
頭が良く、高度な社会性を持つことで知られるカラスは、情にも熱い。一度でも敵認証されたら、仲間にそれを伝え、末代までロックオンされるというが、その逆もしかり。
愛情をもってやさしく接すると、感謝の気持ちを持ち続けるようになる。
カラス情味にあふれる生き物なのだ。
これまでも、カラスにやさしくしたら、カラス式の恩返しをしてもらったという話をお伝えしているが(該当記事)、アメリカに住む男性が、カラス一家を助けた所、感動のサプライズギフトをもらったのだ。
【昔カラスを飼っていたこともある鳥好き男性】
ワシントン州シアトルに住むスチュワート・ダールクイストさん(56歳)は、幼い頃から鳥類が大好きだった。
コマドリやカササギなどの野鳥を保護した経験もあるスチュワートさんだが、カラスに対してはより特別な感情を持っている。というのも過去に10年ほど、ペットとして1羽のオスのカラスを飼っていたのだ。
コルマック・マッカーシー作の小説『Blood Meridian』の中に出てくるキャラクターから名づけたというThe Judge(ザ・ジャッジ)というそのカラスは、残念なことにある夜アライグマに殺されてしまったが、彼は困ったカラスを見かけたら放っておけない。
在りし日のザ・ジャッジ
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The Judge... our pet crow!
羽根を折ったカラスには包帯を巻いて手当をし、世話をしたカラスたちが元気になると自然へと返してやっていたスチュワートさん。
ここ4年ほどは、あるカラスの一家に餌をやり続けていた。
【ヒナが巣立ちに失敗したのをきっかけに、カラス一家に餌をやるように】
カラスの一家に餌をやるようになったきっかけは、つがいのカラスに生まれた2羽のヒナだった。
カラスのつがいは、スチュワートさん一家の前庭にある大きな米松の木に巣を作っていた。やがてヒナが生まれ、スチュワートさんは、親から餌を与えられているヒナたちが元気に鳴く声を聞き、心を和ませていた。
しかしある日、2羽の子ガラスが地面に落ちているのを発見した。
子ガラスは、ほとんど飛べるまでに成長していたが、巣立ちに失敗してしまったようだった。
そこでスチュワートさんは2羽の子ガラスを木に戻してやり、餌をやるようになった。最初、親ガラスはスチュワートさんを威嚇していたが、やがて慣れ、散歩中もスチュワートさんについて回るように上空を飛び、電線や近くの枝に止まる時もあれば、カァーカァーと鳴いて、直接餌をねだるようになった。
スチュワートさんがカラスに主に与えているのは、良質のドライキャットフードだそうだ。「カラスはトウモロコシが好き」と思う人もいるようだが、スチュワートさんによるとカラスはトウモロコシには興味を示さなかったという。
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photo by pixabay
【カラス一家からの恩返し、サプライズギフトにびっくり!】
このカラス一家との交流にすっかり慣れていたスチュワートさんは、ある日、思いもよらぬギフトを貰い、仰天した。
そこで3月24日、自身のツイッターアカウントに写真とともにこのように投稿した。
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2歳になる2羽の子ガラスがいるカラスの家族に何年間か餌をやってきたんだけど、先週2日続けて、彼らはギフトを残していってくれたんだ。
それは空き缶のプルトップに松の小枝を挟んだものだ。カラスの恩返しに驚いただけじゃなく、このクリエイティブで芸術的なギフトには心底驚かされたよ。
その後米メディアの取材で、スチュワートさんは、ツイッターにこの投稿をする少し前に、母親カラスがアライグマに襲われて死んでしまったことを明かし、次のように語った。
カラスは、素晴らしい生き物だと子供の頃からずっと思ってきました。私は、全ての種類の鳥に興味を持っていて、鳥を眺めたり、鳴き声を聞いたり、鳥の種類を判別したりすることが大好きなのです。もちろん、鳥が困っていたら助けずにはいられません。
優れた双眼鏡を使うプロのバードウォッチャーではないですが、私の中では、鳥が人生の大部分を占めているといっても過言ではなく、鳥は私の人生を楽しませてくれる大きな役割を果たしてくれていますよ。
【カラスの心がわかるスチュワートさん】
スチュワートさんの投稿を見たユーザーらの中には、過去にスチュワートさんの助けを借りてカラスを保護した人もおり、スチュワートさんがいかにカラスの扱いに手慣れているかを驚きとともにツイートした。
更に、フェイスブックユーザーらからはこのようなコメントが寄せられた。
・カラスもあなたのことが大好きなんだね。
・カラスって、3歳児ほどの知能があるんじゃなかったっけ。道具を使ったり、難解なパズルを解いたりすることができるんだよな。だからカラスが大好きなんだ。
・ゴス風の羽根を持つ天使って感じだね。
・うちにも、ラッセルとシェリルっていうカラスがいるわよ。カラスたちは、私たちの歩く場所にキラキラした小石を落としていくの。いつもカラスに餌をやる時、口笛を吹いて呼び寄せているんだけど、去年、私たちの庭に生まれたヒナを店に来た時には、私たちの口笛を真似たのよ! カラスって本当に可愛いわ。
・カラスは素晴らしい生物よ。私たちも、怪我したヒナを数日間世話したことがあったわ。母カラスは庭から一度も離れなかった。ヒナを離す日、ヒナが鳴き声をあげると母カラスはすぐに飛んできて、何百羽ものカラスがその母カラスとヒナを迎え入れるように、上空をグルグルと飛んでいたわ。
・僕たちも、地元のカラスに少しの間だけピーナッツをあげたことがあるよ。そしたらある日、僕の車のワイパーの下にカラスの羽根がきちんと挟まれてあって、プレゼントをしてくれたんだと思ったよ。
・私のカラスたちは、カニやベリーの実を運んできてくれるわ。去年、ヒナを助けてからは、私が散歩に行くたびについてくるのよ。
・鳥って、頭いいわよね。力を合わせて何かをする行為には驚かされるわ。うちの猫が木に登っても、カラスやハト、カササギやクロウタドリなんかが順番にやってきて、集団で猫を集団で怖がらせて追い払うのよ。
・いい話だね。僕の場合は、野ギツネに骨付きの肉をやったら、骨を切り株に置いて、まるで「もっと肉をくれ」といわんばかりのジェスチャーをされた経験があるよ。
・俺は、野良猫に餌をやったら、ネズミの死骸をお礼に持ってこられたよ。しかも、1匹じゃなく、何匹も。頭と尻尾の向きを揃えて、奇麗に横一列に並べてさ。
都会のゴミを漁り大群で上空を舞うカラスの姿を、不吉な象徴として忌み嫌う人も多いが、スチュワートさんのように、カラスを知り、リスペクトし、可愛がる人も決して少なくはない。
今回、鳥が大好きで、鳥に詳しいスチュワートさんをも驚かせるほどのクリエイティブなギフトを残したカラス。
敵に回すより味方にしたほうが心強いカラス。私も常々カラスとは友達になりたいと思っているのだが闇雲にカラスに近づいていっても警戒させるだけだ。
まずはカラスに関する知識を集め、良いタイミングでしかるべき手段をとりながら、仲間になりたいものだ。困ってるヒナはいねが~(なまはげ風
・いつかアイツと分かり合いたい。
カラスと仲良くなるための5つのステップ : カラパイア
References:facebook/ written by Scarlet / edited by parumo
記事全文はこちら:カラスの恩返し。子ガラスを助け、一家に餌を与えていた男性にカラスからのサプライズギフト!(アメリカ) http://karapaia.com/archives/52273235.html
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