猫も犬同様、あるいはそれ以上に飼い主に強い愛着を持ち、深い絆でつながっていることが新たなる研究で明らかに(米研究)

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 昔から「犬は人間の最良の友」と言われている。では猫はどうだろう?

 わりとそっけない態度をとることが多いことから人間に関心がないかのように見られがちだ。
だが、猫は猫なりの愛情表現で、飼い主を愛してくれていることを、長年猫を飼っている人なら知っているだろう。

 新たに行われた研究によると、猫は飼い主に対し、犬同様、あるいはそれ以上に強い愛着を持っており、社会的な絆を築いていることがわかったという。

 我々は猫の社会的能力を過小評価していたようだ。
【猫の飼い主に対する愛着心を調査】

 アメリカ・オレゴン州立大学のクリスティン・ヴィターレ氏らの研究チームは、見知らぬ環境に置かれたネコが飼い主に対してどのような反応を示すか観察する、いわゆる「心の安全基地」テストという実験を行なった。

 心の安全基地とは、アメリカの心理学者メアリー・エインスワースが唱えた人間の愛着行動に関する概念で、幼い子供が母親などから安心を感じられていると、外の世界に好奇心が向けられ、探検に出ることができるという理論だ。危険を感じれば母親にしがみつくが、安全になれば再び探検に向かう。

 たとえばイヌを見知らぬ環境においてから、そこに飼い主さんに登場してもらうと、イヌが飼い主にきちんとした愛着を感じている場合、安心して周囲の探索を始めるようになる。
 
 ところが、あまり信頼関係が結ばれていないようだと、イヌは飼い主から離れようとしないか、できるだけ避けようとするか、いずれかの行動をとる。

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 ヴィターレ氏らは、79匹の子猫と38匹の成猫を対象にこの実験を行ない、録画されたそのときの様子から、各ネコの愛着タイプを「安定型(secure)」「不安定両価型(insecure-ambivalent)」「不安定回避型(insceure-avoidant)」に分類した。

 実験の手順はこうだ。まずネコと飼い主さんには初めての部屋に入って2分間一緒に過ごしてもらう。このとき、飼い主は床にマークされたサークルの中に座る。
ネコがサークル内に入ってくるなら、撫でたりしても構わない。

 それから飼い主はネコを残して退室し、ネコにはそのまま1匹で過ごしてもらう。2分経過した時点で、再び飼い主が入室し、サークル内でさらに2分間一緒に過ごしてもらう。

実験の様子は以下の動画でみることができる。
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Cat attachment experiments

【猫は人間や犬並みに飼い主に愛着を持っていることが判明】

 その結果、子猫では64.3パーセントが安定型、35.7パーセントが不安定型、成猫では65.8パーセントが安定型、34.2パーセントが不安定型だった。

 興味深いことに、この数値は人間の幼児で見られる割合(安定型65パーセント)とほぼ一致している。さらに犬を対象とした2018年の研究結果よりも若干高い割合であった(犬の場合、安定型61パーセント、不安定型39パーセント)。

 なお成猫は一度しかテストを受けなかったが、子猫の場合は最初のテストの後に、6週間の社会化訓練を受けてもらい、再度テストが行われている。

 ここから社会化訓練と愛着のタイプには関係がなく、ひとたび愛着のタイプが出来上がると、おそらくはその後もそう滅多に変わることはないらしいことが明らかになっている。

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【猫の愛情表現に飼い主が気づくかどうかがポイント】

 以前、ヴィターレ氏の研究によって、一般的なイメージほどネコは人に無関心なわけではないことが明らかにされていた。

 実際のところ、手荒な扱いをされない限り、ネコは紛れもなく社交的で、深い愛情を感じることができる。食べ物やおもちゃよりも人間と遊ぶことを好むネコも多い。
また、飼い主が別の対象をかわいがると、やきもちだって焼く。

 今回の研究でも、ネコには人間と固い絆を育むために必要な能力と特性が備わっていることが示唆されている。

 ただ人間には少々わかりにくい形でしかそれを表現しないだけということらしい。

 猫は個体差が大きいので、わかりやすく常に甘えてくる子もいれば、そうじゃない子もいる。いつもはつんつん、そっけない態度に見えるが、気が付くと一定の距離を保ちつついつも視界に入る場所にいる。寝ている間はぴったりとそばに寄り添っている。それは飼い主に強い愛着を示している証拠なのだ。

外に出かけてネコと触れ合おうとして、どうなるのか観察してみてください。イヌにはイヌの、ネコにはネコのやり方があると思われがちですが、どちらも個性豊かですよ

 とヴィターレ氏はコメントしている。

 この研究は『Current Biology』(9月23日付)に掲載された。

 犬と猫、その愛情表現に違いはあるものの、自分を愛してくれる人に対しては強い愛着を持っているし、深い絆でつながっているということだ。
 
References:Will you still need me, will you still feed me: Yes, your cat bonds with you | Ars Technica/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:猫も犬同様、あるいはそれ以上に飼い主に強い愛着を持ち、深い絆でつながっていることが新たなる研究で明らかに(米研究) http://karapaia.com/archives/52282884.html
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