
外国語様アクセント症候群になった女性 image credit: youtube
頭痛が続いた後、脳梗塞を発症した女性。退院後、失った言葉をなんとか徐々に取り戻すことができたものの、口から発する言葉は今まで自分が話していたアクセントとはまるで異なる外国語訛りに変わっていた。
その症状を「外国語様アクセント症候群」と診断された女性は、現在ロシア、イタリア、フランス、ポーランドと4か国訛りの英語でしか話せなくなってしまったという。
[動画を見る]
Woman speaks with four different accents after mystery brain injury | SWNS
【2週間続いた頭痛の後、脳梗塞を発症した女性】
イギリスのエセックス州に住むエミリー・イーガンさん(31歳)は、エセックス州で生まれ育ち、これまでハイピッチで強いエセックス訛りの英語を話してきた。
地元ボーンマスの児童養護施設の管理スタッフとして勤務していた時も、その独特のエセックスアクセントによって、電話応対の際も名前を名乗る前に相手はエミリーさんだとわかるほどだったそうだ。
ところが今年1月、そんなエミリーさんの人生が劇的に変わる出来事に襲われた。
2週間ほど頭痛が続いていたエミリーさんは、突然発声が低くなり、会話のスピードもゆっくりになった。また、その途中で言葉が詰まったりするようになったことから、エミリーさんの同僚らは「もしかして脳梗塞では」と疑った。
果たして、病院に搬送されたエミリーさんは複数の検査後、脳梗塞と診断された。その時には、エミリーさんは完全に話す能力を失ってしまっていたという。
3週間の入院後、自宅へと戻ったエミリーさんだったが、言葉を発することができないままだったため、職場で習得した基本的な手話と電話のテキスト読み上げアプリを使って、家族や友人と会話をする日が続いた。
その後、神経科医からできるだけ心身をリラックスさせるようにと休暇を勧められたこともあり、エミリーさんはパートナーとタイへ旅行に出た。
そして、旅先からイギリスへ戻って来た数日後に、再び言葉を発することができるようになったが、エミリーさんの口から出た英語は、今までのエセックス訛りとは異なる外国語訛りに変わっていた。
[画像を見る]
geralt/pixabay
【4か国語の外国語訛りで英語を話すように】
言葉が回復して間もないエミリーさんだが、当時のことを振り返り、ロシア訛りの英語でこのように話している。
休暇中、聴覚障がいを抱える人が話すような話し方で言葉を発するようになりました。体が完全にリラックスして神経経路が再び開き始めたのでしょう。
でも、旅行から帰ってくると、私が発する言葉は外国のアクセントになっていて、外国訛りの英語しか話せなくなってしまったのです。
エミリーさんの場合、ロシア、イタリア、フランス、ポーランドの人々が発する英語の訛りで話すようになったという。
脳梗塞など、激しい頭痛を引き起こした病に見舞われた結果、患者が外国語訛りのように聞こえる話しぶりを身につけるという珍しい医学的症状を発症する場合がある。
「外国語様アクセント症候群」と呼ばれるその症状は、例えばアメリカ出身でアメリカ育ちの人物がイギリス訛りやオーストラリア訛りの英語で話したり、オーストラリア人が行ったこともない東ヨーロッパ訛りで話したりするようになるというもので、周りからは出身において誤解を受けることもしばしばだ。
エミリーさんも、3月にその「外国語様アクセント症候群」であると診断を受けた。
[画像を見る]
【慣れない外国語訛りの英語を発する自分に葛藤する日々】
現在、エミリーさんは休職中だ。外国語様アクセント症候群と診断されて以来、言語療法士にセラピーを受けており、いまだ脳梗塞からの回復途中という理由が一番大きいが、慣れない外国訛りの英語を話す自分に大きなショックとストレスを感じてしまい、職場復帰が困難な状況だという。
言葉が再び話せるようになった時はとても興奮し、喜びました。でも今は自分の口から出る言葉が自分のものとは認識できず、自分の声でないような気もします。
事情を知らない周りからは、私の話し方から私を移民や観光客と勘違いし、差別的な態度を取ることも考えられるため、それがストレスを悪化させることにもなりかねないので、今は仕事を休んでいます。
まだ31歳なのに、数か月で自分の人生がこんなに劇的に変わるとは思ってもいなかったので、とてもショックです。今の私にとって最も困難なのは、この訛りを自身が受け入れて問題ないと思えるようになること、すぐに言葉を発することができなくても大丈夫だと思えるようになることです。
今はまだ慣れていませんが、きっといつかそう思える日が来ることを願っています。
医師によると、外国語様アクセント症候群を抱える患者は、長い間もしくはこの先一生、その症状が残る可能性があるという。
なお、エミリーさんのように激しい頭痛を経験した後、複数のアクセント(イギリス、アイルランド、オーストラリア)で話すようになったアメリカのアリゾナ州に住む女性や、オーストラリアのシドニーで生まれ育ったにも関わらず、東ヨーロッパ訛りの英語で話すようになった女性の例も過去にメディアで報じられている。
[動画を見る]
日本の場合だと、津軽弁や福岡弁などのアクセントで話せるようになるということになるのだろうか?それとも英語っぽかったり、フランス語っぽいアクセントで話すようになるということなのだろうか?
The women who woke up with foreign accents | 60 Minutes Australia
written by Scarlet / edited by parumo
記事全文はこちら:脳の病気を患った後、4か国の外国語なまりで英語を話すようになった女性(イギリス) http://karapaia.com/archives/52292377.html
編集部おすすめ