記憶力を上げたい?古代オーストラリアの先住民「アボリジニアの記憶術」を試してみよう!【ライフハック】

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 勉強であれ、仕事であれ、雑務であれ、覚えておかねばならないことはたくさんある。記憶力が良いにこしたことはない。


 前回、記憶を場所として脳に保存する古代から伝わる記憶術「記憶の宮殿」についてお伝えしたが、もっと優れた記憶術があるという。

 オーストラリアの先住民、アボリジニが使用していたという5万年の歴史を持つ記憶術は、「記憶の宮殿」よりも効果的であることが明らかになったそうだ。

【架空の場所に覚えたいものを収納する記憶術「記憶の宮殿」】
 印刷技術のなかった時代、手書きの本は貴重で高価なものだった。そこで人類は記憶術という技を考案した。特に有名なのが、古代ギリシャにさかのぼる「記憶の宮殿」と呼ばれる方法で、記憶したいものを視覚的なイメージに結びつけるというやり方だ。

 頭の中に想像上の家(実在する家や場所を思い浮かべてもOK)を思い浮かべ、その家の中の特定の場所に覚えておきたい物事を置いていく。思い出したい時は、想像上の家の中を移動し、置いた場所に近づいていくことで、場所と関連づいた物事が引き出される。

 古来より人の脳は生き延びるために重要な「場所」を覚える能力が発達した。場所の記憶は長期記憶として残りやすく、それと紐づけられた記憶もやはり頭に残りやすくなるという。

 この手法は、シャーロック・ホームズやハンニバル・レクター博士も使用していたと言われており、個人差もあるだろうが、通常の2倍の記憶力が発揮できるという。

[動画を見る]【場所にくわえて物語を作る「アボリジニの記憶術」】
 一方、オーストラリアの先住民族アボリジニたちにとっても記憶術は重要だった。彼らは文字を持たなかったために、歴史、部族の掟、天文、食料源、道具の使い方、複雑な部族関係といった生きるために大切な事柄をどうにかして記憶に留めねばならなかったからだ。


 アボリジニ式の記憶術では、彼らが住む場所(ロックガーデン)に動植物などの物体にまつわる物語をつくり、その中に数字や部族関係などの細かい情報を盛り込んでいく。

 思い出す時は、ストーリーを思い出しながら想像上の場所を移動し、関連する物体に近づくようなイメージを思い浮かべる。

 場所に紐づけるという点では記憶の宮殿に非常によく似ているが、さらに物語もあわせて利用するという点がユニークだ。
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【アボリジニの記憶術で記憶力が3倍に】
 豪モナシュ大学などのグループが『PLOS ONE』(5月18日付)に掲載した研究では、医学部の学生(76人)に記憶の宮殿かアボリジニ式記憶術かどちらかを教え、20種の蝶の名前を覚えてもらうという実験が紹介されている。

 まず被験者に蝶の名前が記載されたリストを配り、それを10分かけて覚えてから、何も見ないでできるだけたくさんの名前を回答してもらう。

 さらにその後、いずれかの記憶術のトレーニングを30分受け、再度同じような記憶テストに挑戦してもらう。

 その結果、記憶の迷宮を教えられたグループでは、全正解する割合が2倍に増加。十分素晴らしい結果だが、アボリジニ式記憶術では3倍にも増加した。
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【アボリジニ文化に興味がある人にもオススメ】
 この研究を主導したデビッド・レザー博士によると、医学生や医師は膨大な情報を暗記しなければならないが、これが大きなストレスになるのだそうだ。

 アボリジニの記憶術は彼らの負担を軽減するとともに、オーストラリア先住民の文化を学べるという点でも楽しめるだろうとのことだ。

 ところで、もし宮殿をイメージするのも、物語を考えるのも面倒だと思ったら、試しに後ろ向きに歩いてみるといいかもだ。それにより短期記憶が向上するという研究結果もある。


References:Ancient Australian Aboriginal memory tool superior to 'memory palace' learning/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:記憶力を上げたい?古代オーストラリアの先住民「アボリジニアの記憶術」を試してみよう!【ライフハック】 https://karapaia.com/archives/52302244.html
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