トリックアートではありません。ギリシャのゴーストタウンにある傾いた教会廃墟
 これはトリックアートではないし、斜めに撮影したわけではない。右側の奥に写る建物を見てほしい。
中央の赤い屋根の建物だけが激しく斜めに建っているのだ。

 2012年に起きた大規模な自然災害によりゴーストタウンとなったギリシャの村では、地滑りにより17度傾斜した教会がその状態のまま時を刻んでいるという。

 ちなみにイタリアにあるピサの斜塔の傾斜角度は3.99度である。その4倍以上傾いているのだから、中を歩くのも大変だ。

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Crooked Church Is Slanted 17 Degrees地滑りで17度傾いた教会 ギリシャ中央部にあるロポト(Ropoto)という村は、美しい自然に囲まれた地域で、かつては多くの人々が暮らしていた。

 ところが2012年、大雨に襲われ地下水があふれ、緩んだ地盤が崩れたことで大規模な地滑りが発生した。


 死者は出なかったものの、300世帯が村から避難することを余儀なくされ、現在はゴーストタウンと化している。

 その時にこの教会は地滑りで約180メートルも流されたものの、崩れ落ちることはなかった。一見何の損傷もないと思えるほどの状態でひっそりとたたずんでいる。

 だが大きく違ってしまったのは、その傾きである。傾斜角度は17度。この傾き方はピサの斜塔の4倍以上だ。


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image credit: youtube

トリックアートのようなリアル世界 今回、この村についてのドキュメンタリー映像を制作するため、都市探検家のボブ・ディッセンさんとフレデリック・センペルズさんが教会を訪れた。

 しかし、17度に傾いた建物内に足を踏み入れた途端、その奇妙さを実感する。まるでトリックアート、錯視の世界に迷い込んだかのようだという。

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 ボブさんとフレデリックさんは、カメラを回しながら教会内を探訪していくが、姿勢を調整しないことには、うまく歩けないようだ。

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 教会の1階から2階へとらせん状の階段を上る2人は、傾斜角度が原因で気分が悪くなり、思わず吐き気を感じてしまったことを動画内で告白している。

 「目の錯覚じゃないですよ!」と言いながら撮影する2人。
実際に現場にいる本人だけでなく、見ている方も奇妙な感覚にとらわれていく。

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 動画を見た1人のユーザーは、このようにコメントを残している。
自分は、この村の出身なんだ。祖父母の家はこの教会か200メートルほどのところにあるよ。

2012年以前は、多くの人々がこの教会の周りに住んでいた。

私の子供の頃の私の思い出も全てここにある。


州政府は、地下の地盤に問題があることを何年も知っていたのに、何もしなかった。

大雨で、村の地下水が溢れて山が滑り落ち、村のほとんどが破壊された。災害が起こった後で、政府はようやく行動を起こしたんだけど、住民は村を出て行かざるを得なかったんだ。
 ちなみに、自然に傾斜した建物としてギネス世界記録を保持しているのは、ドイツのニーダーザクセン州ズールフーゼン村にある中世に建てられた教会で、その塔の傾斜度は5.19度ということだ。

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written by Scarlet / edited by parumo

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