バンクシー、元刑務所を購入しアートセンターにするため、15億円の資金を調達
image credit:banksy / Instagram

 イギリスの覆面アーティスト、バンクシーは神出鬼没で、世界中のあらゆる場所にユニークなアートワークを残している。今年3月にはイギリス・ブリストルのレディング元刑務所の壁に描いた脱獄犯の絵が話題になっていた。


 レディング元刑務所は2019年から競売にかけられていたのだが、バンクシーはそこをアートセンターにするために15億円の資金を調達したようだ

 元刑務所の入札を申し入れたことが『The Guardian』などで報じられた。

バンクシー、元刑務所の壁に脱獄犯の絵を描く 今年3月、バンクシーはイングランド南部ブリストルにあるレディング元刑務所だった建物の壁に、脱獄犯の絵を描き、注目を集めた。

 後に、バンクシーはこの絵は自分が描いたものであることを認め、自身のインスタグラムでも壁に絵を描く様子が動画でシェアされた。[画像を見る] この刑務所をアートセンターに レディング刑務所はアイルランド出身の作家、オスカー・ワイルドが収監されていたことで知られている。

 バンクシーは明言していないが、壁にはタイプライターの紙を使って脱走を図ろうとするオスカーと思われる囚人が描かれている。

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 オスカーは、かつて同性愛を禁じるために適用されていた法律により、「ひどいわいせつ行為」を働いた罪で、1895年~1897年の2年間レディング刑務所に投獄されていたという。

 バンクシーが、そのことを知ったのはつい最近だったようだ。
ある日、刑務所を通過する代行バスに乗るまで、私はレディングという町にさほど興味は抱いていませんでした。

でも、町の真ん中に長さ500メートルにも及ぶ塗装可能な建物の壁を見た時、急に興味が湧いて、実際に隣の乗客を押しのけるようにして近くで見ようとしました。
 元刑務所を発見して以来、“情熱プロジェクト”が沸き上がったバンクシーは、刑務所で過ごしたというオスカー・ワイルドの歴史を知り、ますます建物に興味を惹かれるようになったという。
オスカー・ワイルドの人生の一部を台無しにした場所を、芸術の中枢に変えることは完璧なプロジェクトであり、まさに私たちがしなければならないことです。
 レディング刑務所は、2013年に遺棄され2019年に政府によって競売にかけられている。
そこで、バンクシーは元刑務所をアートセンターに変えるための資金調達を呼びかけた。

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約15億円の資金を調達し建物の入札を申し出る バンクシーは、壁に描くのに使用するアートワークのステンシルを美術館やアートギャラリーに販売し、建物の敷地を購入するための資金調達を開始した。

 このプロジェクトはセレブの間にも広がり、ハリウッド俳優のサー・ケネス・ブラナー、ケイト・ウィンスレット、ナタリー・ドーマー、ジュディ・デンチなどもバンクシーを支援した。

 1000万ポンド(約15億円)という資金を集めることに成功したバンクシーは、レディング・バラ評議会からの1260万ポンド(約19億円)の資金と合わせて、法務省に入札の申し入れを行った。

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 レディング・イーストの労働党マット・ロッダ議員は、このように話している。
評議会は、バンクシーからの入札を歓迎しています。ストリートアーティストの公約は、刑務所を開発者から救うためのキャンペーンとして、実に影響力のある強い後押しになると言えるでしょう。

私は、彼と彼のチームと数か月にわたって話をしてきましたが、住宅開発者たちから元刑務所だった建物を救うという彼の情熱に感銘を受けました。また、驚異的な金額の資金を調達してくれた彼の寛大さにも感動しています。

この刑務所は、オスカー・ワイルドと繋がりがあるだけでなく、ヘンリー1世が埋葬された旧読書修道院の敷地の上に建てられた重要な歴史的建造物なのです。

もし、元刑務所がアートセンターになれば、レディングの町にとって最高のプレゼントになります。

政府がこの入札を検討し、元刑務所を私たちコミュニティと国の芸術的中心となる場所に変える手助けをしてくれることを願っています。
 なお、法務省は「入札は締め切られており。現在、受け取った申し出を検討中」と回答しているという。入札額次第で、バンクシーが落札できるかどうかが今後決まるということだ。

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Banksy - Create Escape in Reading, UK
written by Scarlet / edited by parumo

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