ベビーフェイスのアイアンマン。ジェットパックで空を飛ぶギャップ萌えなヒューマノイドロボット
 イタリア技術研究所で開発されているヒューマノイドロボット「iCub」はベビーフェイスが特徴的な子供型ロボットだ。

 不気味の谷とはまた別の意味での不気味さが際立っており、それがチャームポイントでもあったりなかったりするのだが、更なる進化を遂げたようだ。


 ジェットエンジンを搭載し、空を飛ぶ準備を進めているという。自由に空を飛び回るロボットというと、海外ではアイアンマンを連想させるらしく、iCub改め「iRonCub」と命名された。

 顔は子供で体は計4基のジェットエンジンを搭載した勇ましさ。このギャップがいろんな意味でシュールさを醸し出している。

ジェットパックを搭載し、飛行シミュレーション 今回は実際に飛行したわけではなく、シミュレーションが行われたのみである。

 iRonCubの足元には体重計が置かれており、ジェットエンジンを作動させたときの機体の挙動データが計測されている。

 ただの実験かもしれないが、キーンというジェットエンジンの甲高い音を聞くと、いやが上にも期待が高まるというものだ。

 この実験の詳しい内容については、『IEEE Robotics and Automation Letters』(21年11月19日付)に掲載された論文で説明されている。

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Momentum-Based Extended Kalman Filter for Thrust Estimation on Flying Multibody Robotsロボットが空を飛ぶメリット 私たち日本人にとっては、人型ロボットが空を飛ぶのは当たり前感があるが、研究グループのダニエレ・プッチ氏は、科学者の立場からその理由をIEEE Spectrumで次のように説明している。

 まず1つは、技術的なメリットがあることだ。ジェットエンジンによる飛行は、空中での物体制御やエネルギーの効率性を改善すると期待できる。

 これまで空を飛ぶロボットとしては、ロボットアームにプロペラを装着したタイプがあった。


 しかし、このタイプは環境との接触力によって移動することができない。そのために強風に弱く、緻密な姿勢コントロールが必要になる。

 ジェットエンジンを利用する補助システムは、そうした弱点を補い、ロボットの姿勢コントロールをよりシンプルで、確実なものにしてくれる。

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 また空を飛ぶ人型ロボットは、人間が装着するフライングスーツ開発を手助けしてくれる。

 世の中にはリチャード・ブラウニング氏のようなリアル・アイアンマンも存在するが、まだまだ開発の初期段階で、今後安全性や利便性を高めなければならない。

 そのための研究開発は、生身の人間にとっては危険なものだが、ロボットなら事故があっても取り返しのつかない事態になることはない。

 そして最後に挙げられているのが、科学的なメリットだ。

 空飛ぶ人型ロボットの研究開発は、数多くの理論的・実践的な問題を提起することになる。

 空中での制御・接触運動・飛行を包括的に扱う制御フレームワークはまだ存在せず、人型ロボットの補助的な駆動システムが担うべき役割も不明確だ。

 iRonCubの研究開発を通じて、立ち現れるだろう数々の疑問や難題は、科学全体にとって大きな財産になるはずだ。

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 そこで培われた科学技術の知見と、こんな命知らずの野郎どもがタッグを組んだら、一体どんなクレージーなパフォーマンスを見せてくれるのか楽しみだ。

 見た目は子供なこのルックス、日本だとアイアンマンというよりも鉄腕アトムが思い浮かぶ感じだよな。


 近い将来、空を自由に飛び回るのは鳥や飛行機だけでなく、ヒューマノイドロボットもってことになったらそれはそれで面白そう。

References:Jet-Powered Robot Prepares for Liftoff - IEEE Spectrum / written by hiroching / edited by parumo

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