不要なマネキンが大量に積み重なったマネキンの墓場。ここから始まる復活プロジェクト
image credit:rozmannakin/Instagram

 ファッション業界のディスプレイには欠かせないマネキンだが、壊れてたり、劣化したマネキンは、マネキンはゴミとして捨てられる。分解できない素材でできているマネキンは、リサイクルが困難なことから、行きつく先は埋め立て地だ。

 イギリスのリンカンシャー州には、「マネキン墓場」と呼ばれる場所がある。そこは不要なマネキンが大量に積み重なっている。

 だが、ただ捨て置かれているわけではない。これはある女性が回収したもので、これらのマネキンを復活させる為に集められたものなのだ。

[動画を見る]

The meters-high mountain of mannequins in the Midlandsマネキンを一か所に集め、復活させるプロジェクト イギリス・リンカンシャー州フルベックにあるサルベージ・ヤード(スクラップ回収所)は、マネキンの墓場と呼ばれるほど何万もの廃棄されたマネキンで埋め尽くされている。

 大量のマネキンが横たわるその光景は、独特の雰囲気を醸し出しており、地元のランドマークともなっている。[画像を見る]  しかし、これは勝手に捨てられたものではない。ロズ・エドワーズさん(49歳)が回収し、ここにまとめておいたものだ。彼女はこのマネキンを復活させるプロジェクトを行っている。
ここは、マネキン(mannequine)の綴りを文字って、マナキンホール(Mannakin Hall)と名付けています。

Manna(マナ/マンナ)は、旧約聖書「出エジプト記」にある言葉で、神からの奇跡の食べ物という意味。それに同胞・気心の合う人を意味するKindred Spirit(キンドレッド・スピリット)からのkinを取って、Mannakinと名付けました。

当時、人生に意味を見出せなかった時期にいた私にとって、この命名はパーフェクトだと思えました。
 主にファッション業界で使用されるマネキンは、出番が終わればゴミとして捨てられる。

 パーツがバラバラになったり汚れたりしたマネキンは、文字通り大量の山となり、埋め立て地行きとなる。グラスファイバーでできているマネキンは、分解性がなく、リサイクルが困難だからだ。

 ロズさんは、そんなマネキンをこの敷地内に集め、マネキンの墓場を作った。

 やがて「マネキンを回収して集めている変わった女性がいる」と噂が噂を呼び、マナキンホールには海を超えたヨーロッパからも大量のマネキンが持ち込まれた。[画像を見る] 捨てられたマネキンを復元し再利用 リサイクルできないのであれば、捨てられたマネキンを復元して再利用してはどうか、というアイデアを思い付いたロズさんは、汚れたパーツを綺麗にし、愛情をこめて復元する作業に取り組んだ。[画像を見る]  2018年にはマネキンの墓場で火災が発生し、数千体のマネキンが燃えたが、それさえもロズさんはできる限り復元させた。

 現在、15000~20000体はあるとされるマネキンは、イベント用に販売したり、貸し出したりしている他、再びファッション業界に戻ったり、映画やミュージックビデオ、アートプロジェクト、個人の庭のオブジェなど、様々な用途に使用されているという。[画像を見る]  また、人々がマネキンの墓場をドライブスルーして、マネキンを購入することも可能だ。
50ポンド(約7800円)払えば、15分間敷地内を車でスルーしてもらって、好きなだけ好きなパーツを集めて車に詰め込んで持ち帰ることができます。

コロナ禍でも結構人気があったので、予約制にして皆さんに来てもらいました。
 手や脚など、細かいそれぞれのパーツは、少なくとも10セット1つにまとめて置かれてある。15分で十分な量を回収することができるようにというロズさんの客への気配りだ。
以前、大量に手だけを回収して行ったお客さんがいました。車のトランクにはマネキンの手がたくさん伸びていて、ちょっと不気味でした(笑)
[画像を見る] ハロウィーン時期にはマネキン墓地イベントも 地域では、“不気味なランドマーク”として知られているこのマネキンの墓地は、ハロウィーン時期にはぴったりのイベントが実施される。[画像を見る]  夜に、血塗られたゾンビのようなマネキンがディスプレイされる敷地内を歩いて回るというツアーだ。

 こちらも結構な人気で、毎年チケットはほぼ完売になるという。

 分解性ではないために、リサイクルできないマネキンも、ロズさんによって復元されると再利用が可能になる。  英メディアの取材で、ロズさんはこのように話している。
一度使っただけで捨てられてしまうのは悲しいことです。マネキンの復元はちょっぴりユニークなアイデアですが、物を大切にするというコンセプトで、マネキンだけでなく全てのものを再利用できるように取り組んでいくことが、今の私たちには必要ではないでしょうか。
written by Scarlet / edited by parumo

画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。