40年続く謎の短波放送「UVB-76」がハッキングされる。ネットミームとなった音楽や画像が流される
 ソ連時代から40年近く続いている、ロシアの謎の短波ラジオ放送局「UVB-76」がハッキングされたそうだ。

 無線愛好家が電波をスペクトル分析機にかけたところ、ネットミームとなった画像やK-POPが流れていることを発見した。

 UVB-76は、数秒おきにブザー音のみを発する(時折物音や会話が聞こえる)だけの放送をしていることから、「ザ・ブザー」とも呼ばれている。

 SNSではロシアがウクライナに侵攻する前兆なのでは?という噂がまことしやかに囁かれている。

謎の短波ラジオ放送局「UVB-76」 「UVB-76」と呼ばれるロシアの短波ラジオ放送は、1973年に始まったと言われている。

 ラジオ放送といっても、まともな番組は流れていない。ほとんどが25分毎に規則的に発信される謎めいたブザー音のみである。当時は短い電子音だったが、1990年頃から特徴的な今の音色になったそうだ。

 だが時折、ブザー音に交じって物音や不可解な音声が聞こえてくることもある。以下のようなものだ。
Ya UVB-76. Ya UVB-76. 180 08 bromal 74 27 99 14. ボリス ロマン オルガ ミハイル アンナ ラリサ 74279914. コマンド135開始
 何者かが発した秘密のメッセージを連想させる。かつては、ロシア軍の暗号通信であるとの噂もあった。

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UVB-76 on RTUVB-76がハッキングされる 先日、このラジオ放送がいっそう不可解な状況に陥った。とあるラジオ愛好家がUVB-76の電波をスペクトル分析機にかけたところ、ネットミームとなった画像やK-POPが流れていることを発見したのだ。

 たとえば、放射線の警告マーク、Vフォー・ヴェンデッタ、トロルフェイスのようなミーム画像で、2012年にヒットした江南スタイルが流れることもあった。  どうやら何者かが電波をハッキングしたらしい。『Vice』の解説によれば、UVB-76の放送は公開されているので、ソフトウェア無線送信機を使ってフラッディング攻撃することは可能なのだという。

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photo by iStock
ハッカーの目的は? これがハッカーの仕業なのだとして、その目的は何なのだろうか? これについてSNSなどでは、ロシアとウクライナの緊張の高まりが指摘されている。

 現在ロシアがウクライナへの侵攻準備を進めているとの推測があるが、ハッキングの少なくとも一部(つまり複数のハッカーがいる可能性がある)は、ウクライナから試みられていると考えられているのだ。

 『Mysterious Universe』によると、UVB-76はもともとモスクワの北西10キロのところにあるポヴァロヴォから放送されていたらしい。

 だが、2010年にサンクトペテルブルグに移転し、さらに現在はモスクワのナロ・フォミンスクにある第69通信ハブから発信されているようだ。

 2011年、とあるグループがポヴァロヴォの建物を調べたところ、廃棄された軍の拠点と、4625kHzでの送信機の動作を確認するログ記録が発見されたこともあった。

 もしそれがロシア軍の極秘通信であるのなら、ウクライナのハッカーたちは彼らの侵略から祖国を守るべく、抵抗を試みたのだろうか?

 現時点では、ラジオ放送の混乱は沈静化しているようだ。UVB-76は日常を取り戻し、再び謎めいたビープ音を流し続けている。

 以下のYoutubeチャンネルではUVB-76の音声をライブ配信している

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UVB-76/The Buzzer (4625Khz) LIVE
References:Pirates Spammed an Infamous Soviet Short-wave Radio Station with Memes / Russia’s Mysterious ‘Number’ Station UVB-76 Gets Hacked | Mysterious Universe / written by hiroching / edited by parumo

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