
羽の色がスタイリッシュで美しいカラス科の鳥「カケス」は、霊長類に匹敵する認知能力を持つことから、しばしば「羽毛の生えた類人猿」というニックネームで呼ばれることもある。
最新の研究で、人間の子供も自制心を調べる「マシュマロ実験」を鳥でありながらクリアできることが判明したそうだ。
自制心は、より良い報酬を得るために目の前の誘惑に打ち勝つ力だが、これは将来の結果を見越して、より効果的な意思決定を行うためにも重要な能力だ。
これは、鳥の「自制心と知能との関連性」を示す証拠だという。ただし個体差はかなり大きかったようだ。
おいしいものは後に取っておく。カケスの自制心 カケスは後で食べるために、食べ物をとっておくことがある。つまり、彼らは未来の満足のために、目の前の満足を我慢することができるのだ。
今回の研究チームは、こうした習性がカケスの自制心の進化を促したのではないかと推測する。
ヒトやチンパンジーでは、自制心と知能とには関係があることが知られている。知能が高ければ高いほど、自制心も高くなるのだ。
カケスの自制心と知能についての今回の結果は、こうしたことが遠く離れた種であっても共通しており、それらが別々の動物でそれぞれ独自に進化しただろうことをうかがわせる。
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photo by iStock
カケスにマシュマロ実験を試してみた 『Philosophical Transactions of the Royal Society B』(2022年10月31日付)に掲載された研究では、カケス(Garrulus glandarius)でマシュマロ実験を試している。
スタンフォード大学の研究者によって考案された「マシュマロ実験」は、子どもの自制心を計測する方法として有名だ。
やり方はこう。子どもにマシュマロを1つ差し出して、「戻ってくるまで食べないでいたらもう1つあげるよ」と約束して、実験者は部屋を出る。部屋に一人で残された子どもが約束通り我慢できたら、自制心が強いということになる。
このテストで見事マシュマロを我慢できる子どもは、知能が高いことが知られている。
だがカケスにとってマシュマロは魅力ある食べ物ではないので、代わりにイモムシやパンやチーズが与えられた。
本当のところ一番の大好物はイモムシなのだが、それを食べるためには、目の前に置かれたパンやチーズを食べずに我慢して、イモムシが置かれた部屋のドアが開くのを待たねばならない。
この結果、どのカケスも目の前の誘惑を我慢できたが、その長さには個体差があったという。
ある個体は目の前のチーズとパンを無視して、5分半もじっとイモムシを待つことができた。
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こちらはカケスの「ジェイロー」。最高の自制心の持ち主で、5分半も目の前のエサをじっと我慢し続けた / image credit:Alex Schnell
反対に一番誘惑に弱かった個体は20秒しか待てなかった。
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一番自制心がなかったのは「ホーマー」。目の前のエサを20秒しか我慢できなかった/ image credit:Alex Schnell
ケンブリッジ大学のアレックス・シュネル博士は、「こんなに我慢ができるカケスがいるなんてびっくりです。
ちなみに、カケスはパンやチーズを見せられると、誘惑から気を紛らわそうと目をそらすのだそうだ。これはチンパンジーや子どもでもそうだという。
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photo by Pixabay
自制心が強いカケスは、やっぱり知能も高かった 今回の研究では、一般的な5つの方法でカケスの知能も測定されている。
その結果によれば、知能が高かったカケスは、より長い時間我慢できたとのこと。このことから、カケスでも知能と自制心が関係していることがうかがえる。
なお、カケスは状況に応じて、我慢すべきかどうか判断することもできるようだ。
たとえば、イモムシが見えても、絶対に届かないところにある場合、カケスは決まって目の前のパンやチーズを食べた。
また、我慢の長さは、2番目に好きな食べ物(個体によってチーズよりパンが好きなことも、その逆であることもあった)を出されたときでは、3番目に好きな食べ物を出されたときよりも短かった。
こうしたことは、カケスが我慢するのは、それが正当化されるときだけであることを示しているそうだ。
ちなみに頭足類であるコウイカや スズキ目の魚「ホンソメワケベラ」も、マシュマロ実験で自制心があることが判明している。
References:Just like humans, more intelligent jays have greater self-control / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
最新の研究で、人間の子供も自制心を調べる「マシュマロ実験」を鳥でありながらクリアできることが判明したそうだ。
自制心は、より良い報酬を得るために目の前の誘惑に打ち勝つ力だが、これは将来の結果を見越して、より効果的な意思決定を行うためにも重要な能力だ。
これは、鳥の「自制心と知能との関連性」を示す証拠だという。ただし個体差はかなり大きかったようだ。
おいしいものは後に取っておく。カケスの自制心 カケスは後で食べるために、食べ物をとっておくことがある。つまり、彼らは未来の満足のために、目の前の満足を我慢することができるのだ。
今回の研究チームは、こうした習性がカケスの自制心の進化を促したのではないかと推測する。
ヒトやチンパンジーでは、自制心と知能とには関係があることが知られている。知能が高ければ高いほど、自制心も高くなるのだ。
カケスの自制心と知能についての今回の結果は、こうしたことが遠く離れた種であっても共通しており、それらが別々の動物でそれぞれ独自に進化しただろうことをうかがわせる。
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カケスにマシュマロ実験を試してみた 『Philosophical Transactions of the Royal Society B』(2022年10月31日付)に掲載された研究では、カケス(Garrulus glandarius)でマシュマロ実験を試している。
スタンフォード大学の研究者によって考案された「マシュマロ実験」は、子どもの自制心を計測する方法として有名だ。
やり方はこう。子どもにマシュマロを1つ差し出して、「戻ってくるまで食べないでいたらもう1つあげるよ」と約束して、実験者は部屋を出る。部屋に一人で残された子どもが約束通り我慢できたら、自制心が強いということになる。
このテストで見事マシュマロを我慢できる子どもは、知能が高いことが知られている。
だがカケスにとってマシュマロは魅力ある食べ物ではないので、代わりにイモムシやパンやチーズが与えられた。
本当のところ一番の大好物はイモムシなのだが、それを食べるためには、目の前に置かれたパンやチーズを食べずに我慢して、イモムシが置かれた部屋のドアが開くのを待たねばならない。
この結果、どのカケスも目の前の誘惑を我慢できたが、その長さには個体差があったという。
ある個体は目の前のチーズとパンを無視して、5分半もじっとイモムシを待つことができた。
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こちらはカケスの「ジェイロー」。最高の自制心の持ち主で、5分半も目の前のエサをじっと我慢し続けた / image credit:Alex Schnell
反対に一番誘惑に弱かった個体は20秒しか待てなかった。
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一番自制心がなかったのは「ホーマー」。目の前のエサを20秒しか我慢できなかった/ image credit:Alex Schnell
ケンブリッジ大学のアレックス・シュネル博士は、「こんなに我慢ができるカケスがいるなんてびっくりです。
私はとっくに飽きていたのに、中には5分以上チーズを無視して、辛抱強くイモムシを待つカケスもいたんです」と話す。
ちなみに、カケスはパンやチーズを見せられると、誘惑から気を紛らわそうと目をそらすのだそうだ。これはチンパンジーや子どもでもそうだという。
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自制心が強いカケスは、やっぱり知能も高かった 今回の研究では、一般的な5つの方法でカケスの知能も測定されている。
その結果によれば、知能が高かったカケスは、より長い時間我慢できたとのこと。このことから、カケスでも知能と自制心が関係していることがうかがえる。
成績には個体差があり、どの課題でも好成績を収めるカケスもいれば、平凡なカケスもいました。と、シュネル氏は説明する。
面白いのは、ある課題が得意なカケスはどの課題をやらしても上手だったことです。
つまりカケスの成績には、知能全般が関係しているということです
なお、カケスは状況に応じて、我慢すべきかどうか判断することもできるようだ。
たとえば、イモムシが見えても、絶対に届かないところにある場合、カケスは決まって目の前のパンやチーズを食べた。
また、我慢の長さは、2番目に好きな食べ物(個体によってチーズよりパンが好きなことも、その逆であることもあった)を出されたときでは、3番目に好きな食べ物を出されたときよりも短かった。
こうしたことは、カケスが我慢するのは、それが正当化されるときだけであることを示しているそうだ。
ちなみに頭足類であるコウイカや スズキ目の魚「ホンソメワケベラ」も、マシュマロ実験で自制心があることが判明している。
References:Just like humans, more intelligent jays have greater self-control / written by hiroching / edited by / parumo
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