日本の支援を受け、ウガンダ初の人工衛星の打ち上げに成功
 日本の支援を受けて開発された東アフリカの内陸国、ウガンダ初の人工衛星「PearlAfricaSat-1」が国際宇宙ステーションの(ISS)補給船シグナス(NG-18)を搭載したアンタレスロケットで打ち上げられたそうだ。

 11月6日の午後(米国東部時間)に打ち上げられるはずだったが、技術的な不具合が生じたことから中断、その翌日、再度打ち上げが試みられ、7日午前5時27分(米国東部時間)、米バージニア州ワロップス飛行施設内にある中部大西洋地域宇宙基地から無事宇宙へ送り出された。

 補給船シグナスには人体組織を宇宙空間で3Dプリントする機器も入っており、微小重力が卵巣機能に与える影響などが調べられるという。

日本の支援を受けてウガンダ初の人工衛星の打ち上げ成功 この人工衛星は、日本が支援する宇宙新興国との学際的衛星開発計画「BIRDSプロジェクト」の一環として、ウガンダのエンジニアによって開発された。

 開発者は九州工業大学で学んだエドガー・ムジュニ氏、ボニー・オマラ氏、デリック・テバスウェケ氏の3名。  今年5月に見事ウガンダ初となる人工衛星「PearlAfricaSat-1」を完成させ、最終試験のためにJAXAに預けていた。

この人工衛星は、国際宇宙ステーションの(ISS)補給船シグナス(NG-18)を搭載したアンタレスロケットで打ち上げられた。

シグナスには、3.7トン以上の貨物が搭載されており「PearlAfricaSat-1」もその1つで、ISSの「きぼう」日本実験棟から放出された。

 「PearlAfricaSat-1」の大きさは1U(キューブサットの規格で10cm四方)で質量 1kg。

 20メートルの解像度で農業の状態を詳しく調べたり、東アフリカの原油パイプラインの監視や鉱物探査、地滑りや干ばつなどの環境予測にも使われるという。

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SCRUBBED: Launch of Antares Rocket with Cygnus NG-18 Cargo Craft for ISS 宇宙で行われる人体組織3Dプリント実験 ちなみに、補給船シグナス(NG-18)にはユニークな器材も搭載された

 たとえば、微小重力下で人体組織を3Dプリントする実験用の器材などだ。これをわざわざ宇宙で行うのには理由がある。

 人間の組織や内臓の3Dプリントは、10年近く前から実現されているが、1つ大きな問題がある。それは複雑なパーツを3Dプリントするには、そのための足場も複雑になってしまうということだ。これを作るのは、重力がある地上では難しい。

 だがほとんど重力がかからない場所なら、そもそも足場自体が必要ない。だから複雑な人体組織を3Dプリントするなら、宇宙がふわさしいと考えられるのだ。

 ちなみにPearlAfricaSat-1で3Dプリントされた組織は、微小重力が卵巣機能に与える影響を調べるために役立てられるとのこと。

 ほかにも、微小重力を利用して山火事で発生する危険な土石流を解明する研究や、宇宙に適応した植物の特徴が種を通じて次世代にも受け継がれるか調べる研究といったことも行われるそうだ。

References:Uganda’s satellite successfully launched into space - Nile Post / BIRDS-5 Project / written by hiroching / edited by / parumo

追記:(2022/11/18)タイトル、本文を一部訂正して再送します。

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