2500年前の珍しい魔除けの円盤が地中海で発見される
 イスラエルでライフガードをしているデヴィッド・シャロームさんは、いつものように地中海で朝の水泳をしていたとき、浅瀬の海底になにか珍しいものが沈んでいるのを見つけた。

 潜って引き揚げてみると、それは滑らかな円盤状の大理石で、小型のシンバルのような形をしていた。


 この地域には、古代の難破船が数多く沈んでいるため、長い間失われていた太古の遺物ではないかと思い、シャロームさんはイスラエル考古学庁(IAA)に引き渡した。

 IAAの専門家はこの珍しい発見物に狂喜した。この円盤は2500年前のもので、悪霊や魔女の呪い、古くからの災難から、船を守るために装備する魔除けだったのだ。

大理石の円盤は、古代の邪眼に対抗するための魔除けだった イスラエル考古学庁(IAA)がFacebookで発表した内容によると、この大理石の円盤はおよそ2500年前、紀元前4世紀から5世紀にさかのぼるものだという。

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陶器、モザイク、古代のコインに描かれている絵や、紀元前5世紀からの歴史資料から、こういった円盤は、船の舳先に取りつけられるものであることがわかった。

邪眼や妬みから身を守り、航行を助ける機能があり、前方をよく見て、危険を察知する目としての役割を果たすものだった
 とIAAの海洋考古学者ヤーコフ・シャルビット氏は説明する。今日でも、ポルトガル、マルタ、ギリシャ、極東の船では、一般的に見られそうだ。

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古代ギリシャの陶器にも、イスラエル沖で発見された魔除けの円盤によく似た護符が描かれている / image credit: Israel Antiquities Authority2500年前の古代の港町に停めてあった船のもの ライフガードのシャロームさんが、この見事な魔除けの円盤を発見したのは、テルアビブの南24キロのところにあるパルマチム・ビーチ近く、ヤブネ・ヤム遺跡の沖合だ。

 2500年、ヤブネ・ヤムは活気あふれる港町で、ここからは陸上、水中両方から、遺物がたくさん見つかっている。

 この大理石の円盤がどの船のものかは、わからない。しかし、幸運のお守りを装備していたにもかかわらず、悲劇的な運命を避けられずに沈没した船のものだったことは、容易に推測できる。

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魔除けの円盤は、テルアビブ近くのヤブネ・ヤム遺跡の海岸沖で発見された / image credit:Yitzhak Marmelstein / CC BY-SA 4.0 魔除け円盤がこれまで4枚しか発見されていない この砂色の大理石の円盤は、直径およそ20cm。
完壁な円だが、下部に当たる面は平ら、その反対側の面はわずかに盛り上がっている。 つまり、シンバルのような形状だ。

 正確に真ん中に穴があけられていて、その周囲には、2つの円を描いた痕跡がある。目を表したモチーフではないかと専門家は言う。

 このような円盤は、古代では軍艦や商船の船首に取りつけられていた。乗組員は、中央の穴に鉛や青銅の釘を打ち込んで、船体に直接取りつけ、これであらゆる種類の邪悪な力から守られると信じて、危険な外洋に乗り出した。

 過去に、こうした魔除けの円盤がいかに一般的だったかを考えると、難破が日常茶飯事だった地域で、もっとたくさん見つかってもいいはずだ。

 だが、これまで、地中海海域から見つかったこうした護符は、たった4枚だけだ。

 トルコ西海岸沖のテクタス・ブルヌ遺跡での引き揚げ作業中に、沈没商船のそばで発見された紀元前5世紀のもの2点と、イスラエルのカルメル・ビーチのヤブネ・ヤム遺跡近くで発見されたもの1点が含まれている。

 長年の間にこうした遺物は、アマチュアのトレジャーハンターによって回収され、遺産団体、学術機関、博物館などに引き渡されることなく、闇市場で売りさばかれた疑いもある。

 シャルビット氏は、発見者であるシャロームさんが、正直にIAAに円盤を提出したことを評価する。その結果、IAAは非常に珍しい古代の遺物を所有することができたのだ。



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以前トルコ沖のテクタス・ブルヌ遺跡で発見された2枚の魔除けの円盤 / image credit:Anita Gould / CC BY-NC 2.0ヤブネ・ヤム遺跡とその考古学的恩恵 数十年におよぶ陸地と海中で行われた発掘調査によると、ヤブネ・ヤム遺跡は、およそ5000年にわたって栄えていたことが明らかになり、海陸どちらからもたくさんの遺物が見つかっている。

 ヤブネ・ヤムには、青銅器時代中期に初めて人々が定住し始め、それは中世まで続いたという。古代の墳墓の近くには、岩の岬に守られた天然の隠れ家的な港がある。

 つまり、ここは、船が錨を下ろすのに適した場所であることを意味しているが、遠い昔にこの付近で難破した船の多さを考えると、危険な場所でもあったようだ。

 ヤブネ・ヤムの港での海洋活動について知るために、1980年代にIAAの海洋考古学ユニットが、この海域での一連の潜水調査を実施した。そして、数隻の難破船から驚くべき遺構や遺物を発見した。

 こうした難破船は、明らかに商船か漁船で、回収された遺物には、石と金属でできた異なるサイズの錨、さまざまな種類の漁具や付属品、鉛製の調理用オーブン、砥石、石の鉢、青銅の矢尻、壺や鉢、保存用の瓶などの陶器があった。

 イヤリング、ビーズ、インゴット、装飾品の破片など、金が使われた工芸品も多数見つかった。カナンとフェニキアの神、バアルを描いた小さな像がふたつ見つかり、金片と同様、青銅器時代後期のものと思われる。

 慎重な分析の結果、これら遺物が回収された難破船は、青銅器時代後期から、ペルシャ、ヘレニズム、ローマ、ビザンチン時代まで何世紀もの間、水中に沈んでいたことがわかった。つまり、紀元前2000年後半から中世までの期間ということになる。

 見つかった陶器の多くは、レヴァントとも呼ばれる東部地中海沿岸地域で作られたものだが、遠く離れた地中海諸国から輸入したものもあったという。
水中遺物の起源が、多様であることがわかる。

 ヤブネ・ヤムの海洋交易は、古代では盛況だったことは確かで、行き交うたくさんの船が悪霊除けの大理石の円盤を装備していたものと思われる。

 これは長いこと続いた習慣だったため、古代の船長たちの多くが、この護符には効果があると信じていたに違いない。とはいえ、沈没した船にとっては、そうではなかったのも確かだ。

References:Israel Antiquities Authority / A rare 2,500-year-old marble disc, designed to protect ancient ships and ward off the evil eye discovered near Palmachim Beach - Arkeonews / written by konohazuku / edited by / parumo

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