保険金詐欺を企てた大学生、凍傷を装うためドライアイスに10時間足を浸し足を切断するはめに
 台湾の大学生2人組が、複数の保険会社に加入し約2億円の保険金をだまし取ろうと企てた。寒い日にバイクで長時間走行したために凍傷になったという虚偽の事実をでっちあげるため、ドライアイスに10時間足を浸した。


 実際に凍傷になり両足を切断するはめになったが、この計画は彼らの思い通りにはならなかった。この凍傷に疑問を持った保険会社が徹底的に調べ上げたのである。

 友人に足を切断するよう説得されたその学生は、足だけを失う結果に終わったようだ。

保険金をだまし取るためドライアイスに足を浸して凍傷を装う 台湾の刑事局は、2023年1月にチャン(23歳)という名の大学生がリャオという名の高校時代の同級生と共謀し、保険金詐欺を企てたとして告発した。

 検察に提出された証拠によると、チャンは昨年1月、少なくとも5つの保険会社で生命保険、旅行保険、傷害保険などの高額な保険に加入したという。

 すべては、加入した保険から約4100万台湾ドル(約1億9700万円)を得ることが目的だった。


 だが、高額な保険金を狙うにはリスクも高くなければならない。

 2人は深夜にバイクで台北市内を走り続け、寒さのために凍傷になったというストーリーを思い付いた。そのためには実際に凍傷にならなければならない。

 1月26日の夜、リャオは過酷な痛みに耐えられるようチャンの両足を椅子に縛った。そしてちゃんはドライアイスの入ったバケツに両足を10時間以上浸した。

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photo by iStock重度の凍傷を負い両足を切断する羽目に ドライアイスに長時間足を浸したチャンは重度の凍傷となった。
1月28日に入院し、両ふくらはぎから下の切断を余儀なくされた。

 退院後、チャンはすぐに保険会社に連絡し保険金を請求した。

 ある保険会社からは23万台湾ドル(約110万円)が支払われたが、他の保険会社はこの件を疑い、詳しく調査することにした。

 すると、真実が見えてきた。

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photo by iStockチャンは借金があったリャオにそそのかされて事件を遂行 チャンが入院した病院とも連絡を取った保険会社は、チャンが凍傷を負うわずか数日前にこれほど短期間に異例の数の保険契約が結ばれたこと、チャンが凍傷で負傷した状況を不審に思い、この件を地元当局に通報した。

 その後の捜査で、検察はチャンが靴や靴下の跡のない左右対称の傷を負っていることを突き止めた。


 また、凍傷が起きたとされる1月26日の夜の天気を調べたところ、気温は摂氏6度から摂氏17度で、凍傷を起こすほどの寒さではなかった。

 当局は「台湾は亜熱帯地域であるため、切断を必要とする重度の凍傷のケースは、自然の気候条件のために前代未聞である」と声明で述べた。

 さらに当局が去年11月に2人の自宅を調べたところ、チャンの足を凍らせるのに使われたとみられるプラスチックのバケツ、保険書類や医療記録、ドライアイス用の白い発泡スチロールの箱、携帯電話8台、タブレット型パソコン1台が発見されたと捜査局は述べている。

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image credit:TAIWAN’S CRIMINAL INVESTIGATION BUREAU

 検察は、暗号通貨の取引で損失を被って借金を背負い暴力団に追われていたリャオが、チャンを巻き込み、巨額の報酬を得るよう説得したことを突き止めた。

 1月17日に逮捕された2人は、3月14日に詐欺罪で起訴された。リャオは、チャンの身体に重傷を負わせた罪でも起訴された。


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 台湾刑事局は、チャンが最初に請求して支払われた保険金23万台湾ドル(約110万円)が差し押さえとなることを明らかにしている。

 友人だと思っていた男に利用されたチャンは、両足を失うという大きなリスクを負っただけとなった。

References:Taiwan Man Persuades Friend To Get Legs Amputated For $1.3 Million Insurance Scam / written by Scarlet / edited by parumo

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