海は地球の7割を占めるほど大きいのでこれまで調査された海域は、全体のほんの一部に過ぎない。特に深海となるとなおさらだ。
今回太平洋の「クラリオン・クリッパートン海域」の4000~5000mで行われた深海底調査では、ソコダラや奇妙なナマコの仲間など、さまざまな生物が観察されており、そのいくつかは新種だと考えられている。
特にユニークな発見は、ピンク色がキュートな豚にも似たナマコの一種だ。小さな足のかわいらしささも加わって「バービー・ピッグ」という愛称が付けられた。
太平洋の深海調査で新種発見 メキシコからハワイにかけて広がる太平洋の深海「クラリオン・クリッパートン海域(CCZ)」での最新調査は、太平洋深海で営まれる生態系の解明を目的とす「SMARTEXプロジェクト」の一環として行われた。
昨年の調査で、すでにそこには5,578種の深海生物が生息していることが分かっており、そのうちの88%~92%(約5000種)はまだ知られていない、全く新しい種の可能性があった。
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今回発見された生き物たちはその一部だが、ひときわユニークだったのが、「アンペリマ(Amperima)」というナマコの仲間だ。
その中にはバービーの世界から飛び出してきたようなファンシーなピンク色をした個体もいた。「バービー・ピッグ」という愛称が付けられたこのナマコは新種である可能性もあるという。
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他にも、形も色も大きさも様々なナマコが生息していて、海のユニコーンを彷彿とさせる透明なナマコ「ユニカンバー」(unicumber)も発見された。
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透明なナマコ「ユニカンバー」 / image credit: cSMARTEX Project, NERC/smartexccz.org
また水深4000~5000mの調査では、「ソコダラ」というこのような深海でも生きられる数少ない脊椎動物も見つかっている。
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海でも生きられる珍しい脊椎動物「ソコダラ」の仲間 / image credit: cSMARTEX Project, NERC/smartexccz.org
水中をゆっくりと降下する有機物の粒子群「海雪」をキャッチしようと触手を伸ばす珍しいイソギンチャク。
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image credit: cSMARTEX Project, NERC/smartexccz.org
今回発見された生物の多くが新種だろうと考えられている。
実は彼らの姿はこれまでにも目撃されている可能性はある。それでも、標本が採取されていなかったり、正式に記載されていなかったりすることがあるのだという。
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まるで異世界生物のような海綿動物も発見された / image credit:cSMARTEX Project, NERC/smartexccz.orgクラリオン・クリッパートン海域はマンガン団塊の宝庫 調査が行われたクラリオン・クリッパートン海域は、今世界中から熱い注目を浴びているところだ。というのも、ここは”海のジャガイモ”とも呼ばれる「マンガン団塊」の宝庫だからだ。
電気自動車などに搭載されるリチウムイオン電池にはコバルト・ニッケル・マンガンといった鉱物資源が使われるが、マンガン団塊にはそれがたっぷりと含まれている。
ゆえにクラリオン・クリッパートン海域は、世界最大量のコバルト・ニッケル・マンガンが眠る埋蔵地となっている。
この海域の広さ自体は世界の海底の1%の半分にも満たないが、その資源量は、陸上のすべてを合わせたものより何桁も多いのだそうだ。
くわえて深海の資源は、地上のものに比べて純度が高く、有害な廃棄物や汚染物質の流出が少ないという長所もある。
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ほっそりしていてミミズのようなタナイス目の甲殻類 / image credit:cSMARTEX Project, NERC/smartexccz.org貴重な深海の生物を守るために 深海はエサが限られているため、陸地に比べれば生物の密度が非常に低いと考えられている。
その一方で、生物の分布がまだら模様になっているという特徴もある。たとえば、ある海域ではたくさん見られた深海ナマコが、別の場所に行けばまったく見られないということもある。
そうした深海の生き物について考える際には、広い空間で捉えたときにどのような種が存在し、それぞれがどう関連しているのか知ることが大切になるという。
マンガン団塊を採掘することで、そこで暮らす生き物や環境にどのような影響が出るのか? この大切な疑問について調べることがSMARTEXプロジェクトの主な目的の1つだ。
追記:(2024/03/28)本文を一部訂正して再送します。
References:Expedition to the Pacific deep sea reveals extraordinary creatures never seen before | Natural History Museum / "Barbie Pigs" Among Strange And Possibly New-To-Science Species Discovered In The Pacific | IFLScience / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
なので新たな調査をすると、驚きの発見に巡り合える。
今回太平洋の「クラリオン・クリッパートン海域」の4000~5000mで行われた深海底調査では、ソコダラや奇妙なナマコの仲間など、さまざまな生物が観察されており、そのいくつかは新種だと考えられている。
特にユニークな発見は、ピンク色がキュートな豚にも似たナマコの一種だ。小さな足のかわいらしささも加わって「バービー・ピッグ」という愛称が付けられた。
太平洋の深海調査で新種発見 メキシコからハワイにかけて広がる太平洋の深海「クラリオン・クリッパートン海域(CCZ)」での最新調査は、太平洋深海で営まれる生態系の解明を目的とす「SMARTEXプロジェクト」の一環として行われた。
昨年の調査で、すでにそこには5,578種の深海生物が生息していることが分かっており、そのうちの88%~92%(約5000種)はまだ知られていない、全く新しい種の可能性があった。
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今回発見された生き物たちはその一部だが、ひときわユニークだったのが、「アンペリマ(Amperima)」というナマコの仲間だ。
その中にはバービーの世界から飛び出してきたようなファンシーなピンク色をした個体もいた。「バービー・ピッグ」という愛称が付けられたこのナマコは新種である可能性もあるという。
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他にも、形も色も大きさも様々なナマコが生息していて、海のユニコーンを彷彿とさせる透明なナマコ「ユニカンバー」(unicumber)も発見された。
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透明なナマコ「ユニカンバー」 / image credit: cSMARTEX Project, NERC/smartexccz.org
また水深4000~5000mの調査では、「ソコダラ」というこのような深海でも生きられる数少ない脊椎動物も見つかっている。
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海でも生きられる珍しい脊椎動物「ソコダラ」の仲間 / image credit: cSMARTEX Project, NERC/smartexccz.org
水中をゆっくりと降下する有機物の粒子群「海雪」をキャッチしようと触手を伸ばす珍しいイソギンチャク。
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image credit: cSMARTEX Project, NERC/smartexccz.org
今回発見された生物の多くが新種だろうと考えられている。
実は彼らの姿はこれまでにも目撃されている可能性はある。それでも、標本が採取されていなかったり、正式に記載されていなかったりすることがあるのだという。
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まるで異世界生物のような海綿動物も発見された / image credit:cSMARTEX Project, NERC/smartexccz.orgクラリオン・クリッパートン海域はマンガン団塊の宝庫 調査が行われたクラリオン・クリッパートン海域は、今世界中から熱い注目を浴びているところだ。というのも、ここは”海のジャガイモ”とも呼ばれる「マンガン団塊」の宝庫だからだ。
電気自動車などに搭載されるリチウムイオン電池にはコバルト・ニッケル・マンガンといった鉱物資源が使われるが、マンガン団塊にはそれがたっぷりと含まれている。
ゆえにクラリオン・クリッパートン海域は、世界最大量のコバルト・ニッケル・マンガンが眠る埋蔵地となっている。
この海域の広さ自体は世界の海底の1%の半分にも満たないが、その資源量は、陸上のすべてを合わせたものより何桁も多いのだそうだ。
くわえて深海の資源は、地上のものに比べて純度が高く、有害な廃棄物や汚染物質の流出が少ないという長所もある。
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ほっそりしていてミミズのようなタナイス目の甲殻類 / image credit:cSMARTEX Project, NERC/smartexccz.org貴重な深海の生物を守るために 深海はエサが限られているため、陸地に比べれば生物の密度が非常に低いと考えられている。
その一方で、生物の分布がまだら模様になっているという特徴もある。たとえば、ある海域ではたくさん見られた深海ナマコが、別の場所に行けばまったく見られないということもある。
そうした深海の生き物について考える際には、広い空間で捉えたときにどのような種が存在し、それぞれがどう関連しているのか知ることが大切になるという。
マンガン団塊を採掘することで、そこで暮らす生き物や環境にどのような影響が出るのか? この大切な疑問について調べることがSMARTEXプロジェクトの主な目的の1つだ。
追記:(2024/03/28)本文を一部訂正して再送します。
References:Expedition to the Pacific deep sea reveals extraordinary creatures never seen before | Natural History Museum / "Barbie Pigs" Among Strange And Possibly New-To-Science Species Discovered In The Pacific | IFLScience / written by hiroching / edited by / parumo
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