季節ごとに、空を渡って旅をする渡り鳥の群れ。だが彼らにとって、人間が建てた高層ビルは危険極まりない障害物になる。
夜間に移動する渡り鳥にとって、人工照明が方向感覚を狂わすだけでなく、夜景を反射するビルの窓は、空間が続いているようにしか見えないのだ。
そこでアメリカで野鳥の保護活動を行っているNPO団体「全米オーデュボン協会」では、「明かりを消そう」運動を展開中。これは鳥たちが渡りを終えるまでの間、街の照明を落とそうという取り組みだ。
高層ビルを彩る照明が渡り鳥の旅を脅かす 現代の大都市では、夜も夜中も明け方も、不夜城のごとく煌々と明かりが灯り続けている。キラキラとした明かりが反射する高層ビルの窓は、鳥たちにとって空が続いているようにしか見えない。
さらに夜でも明るい人工照明は、月や星を頼りに飛び続ける渡り鳥たちの方向感覚を狂わせる。
その結果、毎年何千・何万どころか、何億羽もの鳥たちがビルに突っ込んで命を落とし続けているのだそうだ。
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photo by iStock鳥たちの安全のための消灯キャンペーン そこでアメリカでは鳥たちが渡りを行う期間中、できるだけ夜間の照明を消して、野鳥たちの命を守ろうという運動が広がっている。
ここテキサス州でも「電気を消そう」キャンペーンは推進されており、ダラスやフォートワース、ヒューストンといった都市部でも3月から5月中旬までの間、高層ビルの照明が落とされ、目覚ましい成果を上げている。
テキサス州はアメリカ大陸を上下に移動する渡り鳥たちにとって、その経路のちょうど真ん中に位置する重要な通過点なんだとか。今年も渡りのシーズンを迎え、テキサスでも鳥たちのために消灯を促すメッセージが流れるようになった。
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Lights Out, North Texas! helps billions of birds during migration season
この運動は年を重ねるごとに周知され、協力する企業やビルのオーナーも増えているようだ。一般市民の理解も進み、多くのコミュニティで自主的に屋外の照明を消す取り組みが行われているという。
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photo AC夜間照明に惑わされる鳥たち だが、人工照明は本当に渡り鳥たちに影響を与えているのだろうか。ニューヨークで行われた調査を紹介しよう。
毎年一度、9月11日の夜に、ニューヨークの夜空を青い光の柱が貫く。
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image credit:Kim Carpenter, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
そこでこの追悼の光に集まる野鳥たちが、どんな行動をとるかの調査が行われた。地上から観察した結果、下の動画の通り、照明が灯されると同時に、大量の野鳥たちが光の周りに集まってくることがわかったのだ。
これは地上から照射された光によって、鳥たちが方向感覚を狂わされるためだと考えられているらしい。
そこで現在では鳥たちの数が1,000羽を超えると、15~20分ほどの間照明が落とされるようになったそうだ。
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Birds fly in Tribute in Light 4, 9/11/2015照明を減らすことで鳥の死を60%防ぐことができる シカゴで活動している研究者らによると、夜間の高層ビルの照明を減らすことで、窓に衝突して死亡する鳥の数を、なんと60%も減らす効果があることが判明したとのこと。
窓に映る夜景は、確かにその向こうにも空があるように見えてしまう。
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photo AC
この「スイッチ一つでできる」運動は全米各地に広がり、特に光害のひどいシカゴやニューヨーク、フィラデルフィアといった大都市圏を中心に、協力が呼びかけられている。
照明を消したり暗くしたりといったこと以外に、窓にステッカーを貼っても激突防止の効果があるらしい。
実際に暗くなったフォートワースの夜景を見てみよう。ビルだけでなく、一般の住宅でもこの作戦に協力する家庭が増えているそうだ。
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Texans encouraged to turn off lights to help birds migrate
テキサスでの今回の消灯キャンペーンは、来月12日まで続けられるという。
References:Millions of Birds Now Migrating Safely Through Darkened Texas Cities After Successful Lights Out Campaign / Why birds can cause 9/11 light tribute to go dark at times / written by ruichan/ edited by parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
夜間に移動する渡り鳥にとって、人工照明が方向感覚を狂わすだけでなく、夜景を反射するビルの窓は、空間が続いているようにしか見えないのだ。
そこでアメリカで野鳥の保護活動を行っているNPO団体「全米オーデュボン協会」では、「明かりを消そう」運動を展開中。これは鳥たちが渡りを終えるまでの間、街の照明を落とそうという取り組みだ。
高層ビルを彩る照明が渡り鳥の旅を脅かす 現代の大都市では、夜も夜中も明け方も、不夜城のごとく煌々と明かりが灯り続けている。キラキラとした明かりが反射する高層ビルの窓は、鳥たちにとって空が続いているようにしか見えない。
さらに夜でも明るい人工照明は、月や星を頼りに飛び続ける渡り鳥たちの方向感覚を狂わせる。
晴れた夜には、地上の照明はなんと上空4,000mにまで影響を及ぼすのだという。
その結果、毎年何千・何万どころか、何億羽もの鳥たちがビルに突っ込んで命を落とし続けているのだそうだ。
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photo by iStock鳥たちの安全のための消灯キャンペーン そこでアメリカでは鳥たちが渡りを行う期間中、できるだけ夜間の照明を消して、野鳥たちの命を守ろうという運動が広がっている。
ここテキサス州でも「電気を消そう」キャンペーンは推進されており、ダラスやフォートワース、ヒューストンといった都市部でも3月から5月中旬までの間、高層ビルの照明が落とされ、目覚ましい成果を上げている。
テキサス州はアメリカ大陸を上下に移動する渡り鳥たちにとって、その経路のちょうど真ん中に位置する重要な通過点なんだとか。今年も渡りのシーズンを迎え、テキサスでも鳥たちのために消灯を促すメッセージが流れるようになった。
・渡り鳥は何千㎞も移動し、中には25,000㎞以上を旅するものもいる「鳥たちのために、夜11時から朝6時まで必要以外の照明を消しましょう」と呼びかけるTVニュースの一コマ。
・その移動スピードは時速約50㎞にも達する
・約20億羽の渡り鳥がテキサス上空を通過する
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Lights Out, North Texas! helps billions of birds during migration season
この運動は年を重ねるごとに周知され、協力する企業やビルのオーナーも増えているようだ。一般市民の理解も進み、多くのコミュニティで自主的に屋外の照明を消す取り組みが行われているという。
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photo AC夜間照明に惑わされる鳥たち だが、人工照明は本当に渡り鳥たちに影響を与えているのだろうか。ニューヨークで行われた調査を紹介しよう。
毎年一度、9月11日の夜に、ニューヨークの夜空を青い光の柱が貫く。
2001年の9.11同時多発テロ事件を追悼して、ツインタワーを模した青い光が空へと真っすぐに灯されるのだ。
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image credit:Kim Carpenter, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
そこでこの追悼の光に集まる野鳥たちが、どんな行動をとるかの調査が行われた。地上から観察した結果、下の動画の通り、照明が灯されると同時に、大量の野鳥たちが光の周りに集まってくることがわかったのだ。
これは地上から照射された光によって、鳥たちが方向感覚を狂わされるためだと考えられているらしい。
そこで現在では鳥たちの数が1,000羽を超えると、15~20分ほどの間照明が落とされるようになったそうだ。
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Birds fly in Tribute in Light 4, 9/11/2015照明を減らすことで鳥の死を60%防ぐことができる シカゴで活動している研究者らによると、夜間の高層ビルの照明を減らすことで、窓に衝突して死亡する鳥の数を、なんと60%も減らす効果があることが判明したとのこと。
窓に映る夜景は、確かにその向こうにも空があるように見えてしまう。
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photo AC
この「スイッチ一つでできる」運動は全米各地に広がり、特に光害のひどいシカゴやニューヨーク、フィラデルフィアといった大都市圏を中心に、協力が呼びかけられている。
照明を消したり暗くしたりといったこと以外に、窓にステッカーを貼っても激突防止の効果があるらしい。
実際に暗くなったフォートワースの夜景を見てみよう。ビルだけでなく、一般の住宅でもこの作戦に協力する家庭が増えているそうだ。
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Texans encouraged to turn off lights to help birds migrate
テキサスでの今回の消灯キャンペーンは、来月12日まで続けられるという。
一羽でも多くの渡り鳥が、無事に目的地まで旅を続けられますように。
References:Millions of Birds Now Migrating Safely Through Darkened Texas Cities After Successful Lights Out Campaign / Why birds can cause 9/11 light tribute to go dark at times / written by ruichan/ edited by parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』