エベレストの空が騒がしい、現在ヘリコプターやドローンが大量に飛び回っている
 ヒマラヤ山脈にある世界最高峰の山、エベレストの上空がこれまでにないほど騒がしくなっているという。ベースキャンプやクンブ氷瀑の上空にはたくさんのヘリコプターやドローンが飛び交っていて、もはやかつての静寂はない。


 これは、今年の登山シーズンの準備のため、前例のない「今年限り」という条件で標高6400mにあるキャンプ2へのヘリやドローンによる装備や物資の輸送が許可されたせいだ。

 ルート整備に必要なロープも空輸され、強靭なシェルパのチームが早速作業を開始し、標高7900mのサウスコルに到着している。

 サウスコルは、エベレストとローツェの間の鞍部のことで、エベレストを目指す者のための最終キャンプがここに設営される。
 

登山シーズンを前にシェルパたちが登頂予定 ヘリでの物資輸送と熟練チームのおかげで、ロープの設置はスムーズに行われている。11人のシェルパがこの最終キャンプから頂上を目指し、5月5日には登頂予定だというが、頂上はまだまだ風が強い。

 シェルパとは、ネパール・ヒマラヤの登山時に雇用される案内人のことだ。


 シェルパたちの後には一般のクライマーが続き、いよいよ本格的なエベレストシーズンが始まるはずだが、まだもう少し時間がかかりそうだ。

 単独で登頂を狙う者はもっと早く登ることができるが、テントなど自分ですべての装備を運ばなくてはならない。[画像を見る] ヘリやドローンは山の環境には優しくない これまで、ベースキャンプの上空をヘリが飛べるのは、救助あるいは頂上までのルート整備が必要になった場合の装備や人員を運ぶためだけだった。

 しかし、今季はクンブ氷瀑を通るルートの開通が遅れ、より長く危険なルートとなってしまったため、当局は方針を転換してヘリであらゆる物資をキャンプ2まで運ぶことを許可したのだ。

 ヘリを許可した今回の措置は、エベレスト登頂を請け負う旅行会社からの圧力のせいだ。

 モンスーンが来る前の5月下旬の好天の時期に間に合わせるため、登頂ルートを整備させようと躍起になっているためだ。
ヘリの活用を増やさなければ、今シーズンのタイムリーな登頂は不可能だとまでいう。

[画像を見る]

 一方、こうした措置によって地元のシェルパたちの安全性が高まる利点はあるという。

 普段は重い荷物を人力で運ぶためにどうしてもペースがダウンし、氷瀑を通過する時間が長くなってしまうが、それを避けることができるからだ。

 しかし、この取り組みは環境に優しいとは言えず、人間の活動による山への影響をできるだけ軽減するというクンブ当局のこれまでの意図に反している。

 今回の措置は重要な先例となるかもしれない。クンブ氷瀑は常に危険な場所なので、安全性に関する議論は今後もしていかなくてはならないだろう。
[画像を見る]  ヘリを飛ばせば、危険な氷瀑を避けたい登山者をキャンプ2まで直接運ぶことができるため、収益を増やすことができるという魅力は確かにあるかもしれない。

 昨年、23人のクライマーがキャンプ2からベースキャンプまでの下山ルートをショートカットするためにヘリを使った例があった。ドローンが解決になる? 近頃はより環境に優しい代替手段として、カーゴドローンで荷物を運ぶことを提案する者もいる。

 この春は、キャンプ1からベースキャンプまでゴミを下すために、DJIFlyCart30物流ドローンが使われる予定だという。

 通常なら、重量65kgのドローンは95kgの荷物を運んで、28km飛行することができるが、エベレストの5350mから6000mの酸素の薄い環境で、同じように機能できるかどうかはまだ未知の段階だ。

 ドローンは、ふたつの電池で動力を供給され、オペレーターはベースキャンプから機体を操縦するという。


[画像を見る]

photo by Pixabay
References:Drones, More Helicopters Than Ever Buzz Over Everest Skies ≫ Explorersweb / written by konohazuku / edited by / parumo

画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。