一緒に写真を撮るために木からむりやり引きずり下ろされた子グマ、救出され保護区に移送
 先月16日、アメリカ・ノースカロライナ州アッシュビルで、木の上にいた2頭の子グマを近くに住む住民が無理やり引きずりおろし、一緒に写真撮影をするという事案が発生した。

 住人たちは当局より厳重な注意を受け、そのうちの1頭は当局によって無事に保護された。


 現在は野生動物保護施設に移送され、元気に暮らしているという。将来は野生に返される予定だが、この出来事がきっかけで、子グマは母親と引き離されることになってしまったのだ。

[動画を見る]

CAUGHT ON CAMERA: Group pulls bear cubs from tree for photoshoot子グマを無理やり抱っこして写真を撮っている住民たち 事件は4月16日の夕方、バンコム郡の集合住宅近くで、木の上から子グマを引きずり降ろして一緒に写真を撮ろうとしている近隣住人の一団が目撃された。

[画像を見る]

 映像を見ると、住人たちは木に登っていた子グマを無理やり抱き下ろして、カメラに向かってポーズをとっている。

[画像を見る]

 この映像を撮影し、警察に通報したレイチェル・スタウトさんは、当時の状況について以下のように語っている。
私は彼らに止めるように言ったのですが、彼らは聞く耳を持ちませんでした。
それで私は、その様子を撮影することが、野生動物を守るのに役立つかもしれないと思ったんです
通報受けた当局が子グマの1頭を保護 その後警察からの協力要請を受けて、ノースカロライナ州の野生生物資源委員会(NCWRC)所属の生物学者、アシュリー・ホブズさんが駆け付けた。

 映像には2頭写っているが、アシュリーさんが現場に到着したときには、1頭は逃げ去っており姿が見えなかった。また、住人の1人が子グマに噛まれたという。
現場はフェアビュー地区にあるアパートの近くでした。私が子グマを見つけたとき、その子はアパートの人工池にいました。体が濡れていて力なく震えていました。
また、ケガをしたのか、前足をかばうようにしていました
 この子グマはアシュリーさんたちの手で救出され、現在はアパラチア野生動物保護区(AWR)にある施設で保護された。

[動画を見る]

 NCWRCのスタッフがもう1頭の子グマの捜索を行ったが、発見には至らなかった。まだ幼い子グマがひとりで生きていくのは難しいため、母親と再会できたことを祈るしかなかった。

[画像を見る]

無責任な行動を慎むようアドバイス アシュリーさんたちは子グマと写真を撮っていた住人達とその場で対決。子グマを母親から引き離すことがいかに無責任で、場合によっては彼らの命にかかわる可能性があることを説明した。

[画像を見る]

 AWRの常任理事サバンナ・トランサムさんは、以下のように語っている。
今回の事件がニュースになったのは、「相手が熊だったから」です。悲しいことに、野生動物たちに対する虐待は日常的に発生しています。

亀や蛇、ウサギ、オポッサム、リス、鳥、アライグマ、そして小鹿といった動物たちを人々が困らせたり、危害を加えたりしたときにも、目撃した人が今回と同じように救助に協力してくれるのであれば、救われる動物たちは増えるでしょう
 NCWRCによると、母グマは食料を探すために、しばらくの間子グマの傍から離れることがあるという。
 たとえ子グマが母親とはぐれてしまったように見えても、近づいたり捕まえようとしたりせず、以下を守ってください。

・触れない
・捕まえようとしない
・移動させない
・餌を与えない

 特に餌は絶対に与えないようにしてください。一度人間に慣れてしまうと、野生に戻すのが難しくなってしまいます。
 事件はまだ当局により捜査中だが、住人たちの告訴は行わない方向とのこと。ちなみに今回保護された子グマは、施設で親を失ったオスの子グマと仲良くなり、毎日元気に過ごしているそうだ。

 上手くいけば今年の秋には野生に返す方向で、準備を進めているという。もしかすると離れ離れになった母親やきょうだいとも再会できるかもしれないね。

References:People caught on camera pulling bear cubs from trees in North Carolina / written by ruichan/ edited by parumo

画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。