「これを破った者は死ぬ」という警告が刻まれたヒッタイト王家の呪いの印章が発見される
 紀元前17世紀頃、現在のトルコで王国を建設し、西アジアで最初に鉄器を使用してメソポタミアまで支配を広げたヒッタイトの人々にとって重要な軍事基地だった ビュクリュカレの遺跡で、興味深い王家の印章が発掘された。

 「これを破った者は死ぬ」という厳しい警告文が刻まれていて、ヒッタイト人が合意や契約を非常に重視していたことを示している。


ヒッタイト王国の重要な軍事基地「ビュクリュカレ」   ビュクリュカレは、トルコの首都アンカラの南およそ100kmのところにあるカラケチリ地区キョプルキョイ村近くのクズルマルク川のほとりに位置している。

 ヒッタイト王国の最盛期に繁栄した地で、中近東文化センターの松村公仁氏率いる日本の調査チームの14年間にわたる調査で、この時代の遺物が次々と発掘されている。

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発掘が行われている ビュクリュカレ遺跡 / image credit:İhlas News Agency厳しい警告が刻まれた印章を発掘 楔形文字が刻まれたヒッタイト時代の印章が見つかったのは2023年のこと。

 「これを破った者は死ぬ」というメッセージは、古代文明において、取り決めたことを破ると厳しい結果が待っていることを強調している。

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ビュクリュカレで発見されたヒッタイト王家の印章 / image credit:Ihlas News Agency

 これほど厳しいメッセージはとくに注目に値する。

 ヒッタイトの法律では、違反に関する罰則は死ではなく罰金や賠償金を課すのが普通だったからだ。

 つまり、この印章は守るべき協定の内容が並外れて重要だったことを表している。

 王や王妃が使ったとされるこの印章は、 ビュクリュカレとヒッタイトの首都だったハットゥシャ(現在のトルコのボアズカレ近郊)との間の密接な関係の証といえる。
この印章には、偉大なる王タバルナまたは王妃タバナンナによって「これを破る者は死ぬ」と楔形文字で記されています


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印章の破片 / image credit:Ihlas News Agency 印章が使用された背景 こうした印章は通常、契約書に押印され、契約違反があった場合には厳しい罰則が課せられることを意味している。

  ビュクリュカレでこうした印章が見つかったということは、この都市がヒッタイト王国の首都ハットゥシャと王族との交流の重要な拠点になっていたことを示している。

 この都市で最近発見されたフルリ人(紀元前2000~1200年頃に中東に住んでいた古代民族)の粘土板からは、ヒッタイト王族によって宗教儀式が行われていたことがわかり、この都市の重要性が裏づけられた。

 今年の発掘調査では、王族の印章だけでなく、図柄が描かれたテラコッタの印章もいくつか発見された。
その正確な意味と重要性は専門家の今後の調査が待たれるところだ。

 ビュクリュカレにおけるこれら遺物の発見と調査の継続によって、この遺跡の歴史的、文化的重要性が浮き彫りにされている。

 ヒッタイト帝国の政治、法制度、宗教慣習に関する重要な洞察をもたらしてくれ、この古代文明への理解がさらに進むことだろう。

References:Hittite royal seal found in Buklukale warns 'Whoever breaks this will die' - Anatolian Archaeology / Hittite Royal Seal Found in Buklukale Warns ‘Whoever Breaks This Will Die’ | Ancient Origins / written by konohazuku / edited by / parumo

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