古生代ペルム紀のブラジルに、ねじれた顎と横向きに突き出た歯を持つ、新属新種の原始的な両生類(分椎目)が生息していた。
ブラジルやアメリカ、ドイツなどの国際研究チームが、億7500万年前の地層から化石を発見した。
さらにこの新種は、当時の時点ですでに数千万年前の古い特徴を残した「生きた化石」のような存在だったことも判明した。
この査読済み研究成果は『Royal Society Open Science[https://royalsocietypublishing.org/rspb/article/293/2066/20252106/480542/An-aberrant-stem-tetrapod-from-the-early-Permian]』誌に掲載された。
参考文献:
This ancient plant-eater had a twisted jaw and sideways-facing teeth
https://www.eurekalert.org/news-releases/1117989[https://www.eurekalert.org/news-releases/1117989]
発掘調査で発見された異形の古生物
ブラジルのピアウイ連邦大学、ドイツのベルリン自然史博物館、アメリカのフィールド自然史博物館などによる国際研究チームは、ブラジル北東部のパルナイバ盆地にある、現在は干上がった川床で15年間にわたる大規模な発掘調査を続けてきた。
この長期プロジェクトの初期段階で、ベルリン自然史博物館のイェルク・フレビッシュ教授が、ある不可解な顎の骨を発見した。
調査チームは当初、この場所でよく見つかる一般的な肉食の四肢動物の骨だと考えていたが、取り出された骨は、本来なら内側や上を向いているべき部分が不自然にねじれ、歯が外側を向くという異様な形状をしていた。
「ねじれた顎」の進化は植物を食べるため
研究チームがその後の継続調査によって、全く同じねじれ方をした顎の化石を合計9つ発見したことで、この奇妙な形状は個体の異常ではなく、一つの種として共通した進化上の特徴であることが裏付けられた。
この発見により、化石は新属新種「タニカ・アムニコラ(Tanyka amnicola)」として正式に命名された。
タニカ・アムニコラは、分類学的には「分椎目」というグループに属している。
分椎目(ぶんついもく)は古生代から中生代にかけて繁栄した原始的な両生類の仲間であり、現在のカエルやサンショウウオの遠い親戚にあたる。
発見された顎骨の化石の長さは約8cmであり、現代のサンショウウオのような比較的小柄な体格であったことが示唆されている。
タニカ・アムニコラはその中でも「ドヴィノサウルス類(Dvinosauria[https://en.wikipedia.org/wiki/Dvinosauria])」と呼ばれる、より古い形態を色濃く残した系統に分類される。
フィールド自然史博物館のジェイソン・パルド博士や、ピアウイ連邦大学のファン・カルロス・シスネロス博士らの分析によれば、下顎がねじれて歯が横を向く構造は、口の中に密集した「小歯状突起」と呼ばれるヤスリ状の突起と噛み合わせるためのものだという。
同時代の近縁種が鋭い歯で獲物を捕らえる肉食動物だったのに対し、タニカ・アムニコラはこれらの面を合わさるように動かすことで、硬い植物の繊維を砕く石臼(いしうす)の役割を果たし、独自の生存戦略を確立していたのだ。
ペルム紀まで生き残っていた「生きた化石」
タニカ・アムニコラは、2億7500万年前(ペルム紀)という生息時期において、すでに時代遅れの身体構造を持つ「生きた化石」としての側面を有していた。
タニカ・アムニコラが属するドヴィノサウルス類は、本来であればタニカ・アムニコラが生息していた時代より数千万年以上も前の石炭紀に全盛期を迎え、その後は衰退したと考えられていた古い系統である。
周囲でより現代的な四肢動物が多様化していく中で、タニカ・アムニコラだけが古い特徴を保持したまま、競合の少ない植物食、あるいは硬い殻を持つ無脊椎動物を食べることでペルム紀まで生き長らえていた。
この事実は、当時の生態系が予想以上に複雑であり、古い系統が特定の環境下で独自の進化を遂げながら長く共存していた進化の歴史を示している。
References: Eurekalert[https://www.eurekalert.org/multimedia/1117285] / Royalsocietypublishing[https://royalsocietypublishing.org/rspb/article/293/2066/20252106/480542/An-aberrant-stem-tetrapod-from-the-early-Permian]











