2023年1月7日より放送中のアニメ『NieR:Automata Ver1.1a』のオリジナル・サウンドトラック『NieR:Automata Ver1.1a Original Soundtrack』が4月26日(水)にリリースされる。本作はアニメのための新規描きおろし楽曲と、リアレンジ曲、計15曲収録予定だ。


本作の音楽及びサウンドトラックの制作を手がけたのは、NHK連続テレビ小説の『ちむどんどん』や、『アイドルマスター』シリーズ、TVアニメ『アイカツ!』、TVアニメ『Wake Up, Girls!』などの音楽制作を担うクリエイター集団・MONACAである。

本稿では、『NieR:Automata Ver1.1a Original Soundtrack』のリリースを記念して、MONACA代表・岡部啓一、帆足圭吾、高橋邦幸のインタビューを前後編にわたりお届け。後編では新規・既存曲のリアレンジのエピソードや、3人にとっての『NieR』という存在を探っていく。

INTERVIEW『NieR Replicant』『NieR:Automata』からTVアニメ『NieR:Automata Ver1.1a』まで、音楽の歴史を振り返る。音楽:MONACA(岡部啓一、帆足圭吾、高橋邦幸)【前編】

INTERVIEW & TEXT BY 逆井マリ

アニメ『NieR:Automata Ver1.1a』の曲作り

──第3話にはゲームにも登場したジュークボックスから「砂塵ノ記憶」(『NieR:Automata』/以下、『オートマタ』)が響いてきました。この楽曲はどなたが作られたのでしょうか?

高橋邦幸 「砂塵ノ記憶」は自分が作りました。
シーンの想定をしやすい曲でしたね。

岡部啓一 新規楽曲制作中は、リテイクが全く来なかったので意図通りのモノが出せているのか、それとも気を遣われているのか、どっちなんだろう?と心配することがありました(笑)。1曲だけ絵合わせの曲があって(第4話挿入曲「美シキ歌(Ver1.1a)」)、それは帆足が担当しているんですけども、何回か「ここはこうしてほしい」というリテイクがあったので「これは気を遣われているわけではないんだな」と感じて「良かったな」と(笑)。

帆足圭吾 「美シキ歌」は結構細かくやり取りしましたよね。僕は直すのは気にしないタイプなのですが「ここをこうしたいので、もうちょっと変えていただいてもいいですか」といったやり取りがあって、ものすごい熱量で作っていただいているんだな、嬉しいなと感じました。

岡部 帆足とはほかのプロジェクトで絵合わせの曲を作ることもあるのですが、ゼロから作ることが多いんです。
今回は元々ある「美シキ歌」に、新しい場所を作るという、あまり今までにないパターンだったよね。

帆足 あまりないですね。

岡部 当時のオリジナルデータも流用しているんです。それを編集しつつ、新しいところは新規で作って。全部ゼロから作れるときは、好き勝手にできるんですけど、元々の曲のデータを使いつつとなると縛りが出てきてしまうんです。そこは大変でもあり、新鮮なところだったと思います。


帆足 そうですね、面白かったです。曲を作りながら「ああ、『オートマタ』ってこんな感じなんだ」と思い出しつつ。

高橋 それは特殊でしたよね。

岡部 前編でも伝えた通り、ゲーム用に作った曲はループすることを考えている曲が多いので、「終わりを作ってほしい」というリクエストも何曲かありました。そういった場合は昔のオリジナルデータ……5年くらい前のものを引っ張り出すので「そもそも、開くのかな?」と(笑)。

──(笑)。
スリリングさもあったと。


帆足 5年前だと、まず開くかどうかが怪しいんですよね(笑)。

岡部 制作ソフトやプラグインのバージョンがね、変わってますから。使う素材は、マスターの場合もあれば、最初の打ち込みデータから引っ張ることもあって。

帆足 開いた瞬間に「これが見つかりません」「これが見つかりません」となるので(笑)。

──そういうことがやはりあるのですね(笑)。


帆足 めちゃくちゃありますね! 2・3年くらいでも怪しいんです。5年っていけるのか?と。

岡部 映像のソフトもそうだと思うんですけど、大元のソフト自体は大丈夫なんです。ただ、プラグインでサードパーティのソフトをどんどん組み込んでいくんですよ。それが大元のソフトがバージョンアップしてしまうが故に、プラグインがバージョンアップしていないと立ち上がらないことがあるんですね。そうすると、アラートが出まくるっていう。


──恐ろしい……!今回はそういったことはなく?

岡部 はい、なんとか(笑)。その時点でホッとしました。

「Weight of the World」のエピソードも
──思い入れのある曲というと、いかがでしょうか?

帆足 今回のサウンドトラックには収録されてはいないのですが「曖昧ナ希望」(ゲーム『オートマタ』)は思い出深いです。一度は制作側からOKをいただいたのですが、気に入らなくて「すみません、もう一度作り直させてください」と、1から作り直した記憶があります。雰囲気は合ってたと思うんですけど、自分で聴くと「あんまり良い曲じゃないなぁ」と。それで作り直しました。

高橋 アニメのために新しく作り直した曲はやっぱり思い入れがありますね。特に「虚ロナル献身」はゲームの音楽を踏襲して声を録って作ったのですが、アニメ用に横の時間軸で展開が作りやすい構成も同時に意識して作ってる曲もあります。ニーアに限らないですが、僕は狂った感じといいますか(笑)、そういった曲を担当することが多いんです。今回も楽しくやらせてもらいました。

岡部 今回既存曲をアニメでも使っていただけるとのことで、構成の編集をしたところはあるのですが、テーマ曲の「Weight of the World/English Version(Ver1.1a)」(トラックナンバー12)は自分としては一番思い入れがある曲です。

帆足 最初に出来た曲ですもんね。

岡部 そうですね。ゲームの『オートマタ』が出る1年前くらいに、イベントをやっているんです。そのときは『NieR Replicant』(以下、『レプリカント』)」の音楽コンサートとゲームの情報を発表するイベントだったのですが、そのときに『オートマタ』の曲をやりたい、と言っていたんです。曲は完成していない状態ではあったのですが、(シリーズディレクターの)ヨコオ(タロウ)さんから「コンサートで聴いたことのない曲をいきなりやられても、みんなポカンとしてしまうと思うから、事前にネットで発表しておきたい」という提案があって。で、出さないといけないとなると、音源としてある程度完成させないといけないぞと(笑)。「嘘でしょ?」と思いながら、急いで作った曲が「Weight of the World」でした。

帆足 あの辺りの曲は、ゲームの制作作業前からあった曲なんですよね。それで方向性を掴めたところもありました。

岡部 リファレンス的な役割を担ったところがありましたね。で、もう1曲はゲームショーで発表するPV用に作っていた曲だったんです。そこは『レプリカント』とは違う側面として作っていたところがあったので、2人としては『レプリカント』と『オートマタ』の振り幅のようなものはイメージしやすかったんじゃないかなと思います。

──『NieR:Automata Ver1.1a Original Soundtrack』の聴きどころについてもぜひ教えてください。

岡部 既存曲と対になるようなイメージで作られた新曲が多いんです。そういうものってなかなかほかにない作り方で。『オートマタ』でいうと、このラインの新曲なんだなというのを音で感じとっていただけると思います。元々の『NieR』ファンの方には、ぜひそういう楽しみ方、聴き方をしていただけると嬉しいですね。

──それは、トラックナンバー6~7に顕著ですよね。どの曲と対になっているかは改めて聴くことで楽しみにしてもらいつつ……。

帆足 新曲も『オートマタ』っぽくなったなと自分では思っています。新曲を作っているときに『オートマタ』の曲って、何をもってして『オートマタ』らしくなってたんだっけ……と思って。とりあえず作ってみるか、と作っているうちに「やっぱり同じ人が作ってるからこそ、『オートマタ』っぽくなるんだな、と。

──そうですよね、作り手は一緒だから。

帆足 5年経つと作風も変わるもので。でも当時の気持ちを思い出しながら作ったら自然とそうなるもんなんだなと思いましたね。

高橋 きっとサントラまで聴かれる方は、5年前から原作ゲームの音楽を聴いてくれている方が多い思うんですが、今回加わった新曲も同じ世界観を意識して作られているので、どうか「知ってる曲じゃないぞ!」と怒らずに聴いてほしいなと(笑)。

──(笑)それは大丈夫ですよ……!

岡部 (笑)。部分的にいじっている曲もサントラには入れてもらえる予定なんです。元々ゲームで知っていた曲もアニメバージョンとして使ったものが収録されるので、元々の曲を知ってくださっている方も楽しんでもらえるんじゃないかなと。

帆足 それは沸きますね(笑)。サントラファンの方にとっては「アニメで使われていた曲がそのままで」というのは嬉しいと思います。

──劇伴が出来たとき、ヨコオさんからは何かご感想などはあったのでしょうか?

岡部 今回、音楽面においては僕とヨコオさんは直接話していないんですよ。益山監督をはじめとしたアニメスタッフからのオーダーで作っていってるので……その手前では何かしゃべっているんですかね?

アニプレックススタッフ 基本的には監督のイメージにお任せします、ということでした。

岡部 ということだそうです(笑)。

──いつかヨコオさん側からのご感想も聞いてみたいです。

岡部 「あの曲どうだった?」とヨコオさんに聞いたらディスしか出てこないと思いますよ(笑)。

──(笑)。個人的には「パスカル」のリアレンジ(「パスカル(Ver1.1a)」としてボーナス・トラック収録)がすごく好きで。

岡部 あれは高橋の編曲ですね。

高橋 ゲームのほうでボーナストラックで8bitバージョンにしているものがあるんです(『NieR:Automata Original Soundtrack』2017年リリース)。その中に「パスカル」は入っていないのですが、できる限り当時の音に近づけたほうが喜ばれるだろうなと思って。意外と時間がかかりました。でもそういうのもサプライズの仕掛け人の気分で楽しかったです。

岡部 リアレンジの場合、普段とは違うポイントがありましたね。元々のゲーム『オートマタ』では、バトル曲やフィールドで戦う場面でハッキング時に流れている楽曲のアレンジが8bitバージョンへシームレスに変化するという演出があるのですが、それを予約特典として「8bitバージョンCD」を作ったので、世の中にはそこまで出ていないのですが、そのノリで「パスカル」は作ってくれていました。



──私もそれは持っていなくて。

高橋 それを持っている方は「そのノリで新しい曲が出てきたんだな」とニヤニヤされるんじゃないかなと(笑)。

──真珠湾降下作戦のシーンが描かれる第6話には新規曲がたくさん使われていますよね。心情を表した曲が多く、個人的にもグッときました。

帆足 そのうちのピアノ曲「少女ノ記憶」(トラックナンバー2)に関しては僕が作ったのですが、特に深く考えずというか。そう言ってしまうと語弊があるかもしれませんが、一度弾いてみて、良い感じに弾けたら「これで良し!」という感じでした。自分の中で「良い」と思えて、かつ作品の世界観に合っているもの、と考えると最適解のようなものが導かれていて。その作り方は会社に入ったときから変わっていない気がします。それはそれで、どうなんだろうと思いつつ(笑)。

岡部 (笑)。「光芒」(トラックナンバー3)は『NieR』っぽさを意識して書いています。

──岡部さんの曲はどこか物悲しさを感じさせるギターの音色が印象的です。岡部さんの中で『NieR』っぽさと、『オートマタ』っぽさに違いはあるのでしょうか?

岡部 あくまで僕の中ですが、心情のしんみりした曲に関しては『レプリカント』『オートマタ』で同じカラーだなと思っていて。そこはトータルで見て『NieR』の曲っぽさというのを意識しています。ピアノのソロ曲は帆足に作ってもらうこともありますし、元々僕が作った曲のピアノバージョンを帆足に作ってもらうこともあります。ギターの曲の場合、『レプリカント』のときってフォークギターのようにスティール弦のものと、ナイロン弦のクラシックギターがあるんですけど、『NieR』のしんみりした曲の場合は、クラシックギターっぽい音を使っています。その“枯れた音色”が『NieR』の世界に合っているなと。『NieR』の世界観での心情描写のようなシーンに使っていただいたところもありました。

帆足 なるほど。

岡部 ピアノ曲は元々帆足に任せようと考えていたので、今回僕が担当した新規の曲はクラシックギターっぽい音にしようと思っていました。

──“枯れた音色”というのは、まさに『NieR』にピッタリだなと思っていました。それこそ岡部さんが音楽を担当されている『SINoALICE -シノアリス-』(スクウェア・エニックスとポケラボが共同で企画・運営をしているスマートフォン向けゲームアプリ)にも通じるところがあると思いますが。

岡部 そうですね。年寄りの枯れた感じが出せたらと(笑)。

──いやいや!

岡部 ゲームの音楽って、昔はパワー感や派手な雰囲気を求められることが多かった印象なんです。映像もビビッドな印象が多いなかで、『NieR』は彩度が一段落ちてるというか。少しシックな色味が、絵としてのカラーかなと思っています。だから音的にも、枯れ感が出ると、より心情の奥深さが伝わるのかなと。ただ、当時はゲームで聴くと「地味すぎるかも」「ゲーム音楽好きからはウケが良くないかもな」と思っていました。でも「意外と受け入れられるんだな」とわかって。それであれば『NieR』のカラーの1つとして、『オートマタ』にも引き継ぎたいなと考えて、それで今回の曲も帆足の曲と対になるような、クラシックギターの曲を入れたんです。

──この10年でゲーム音楽も変化しましたよね。

岡部 そうですね。

帆足 ゲームもハードも多岐にわたっていますよね。昔のゲームってもう少しシンプルだったような気がするんです。ゲームとハードの進化により、音楽も色々なジャンルが増えた印象です。

岡部 アニメの場合は業界自体も成熟しきっている印象があるんですけど、ゲームはアニメなどの映像に比べると若い業界なので、当時は作っている人たちも若い人たちばかりだったんですよね。で、僕も含めて、高齢化していて(笑)。

帆足・高橋 (笑)。

──(笑)。業界として成熟してきたということですよね。その変遷について振り返ったときに、サウンド作りについてどのような想いがありますか?

岡部 僕が最初に(バンダイナムコエンターテインメントで)入った部署はアーケードゲームの専門だったんですよ。スクウェア・エニックスさんがリードしていたJRPGの世界は、比較的心情を表現するようなこともされてましたけど、アーケードゲームは短い時間の中でどれだけアドレナリンを出すかが勝負。とにかく派手に、闘争心を煽るようなスピード感のある曲をと言われ続けていました。つまり、曲が鳴っていないところがないという演出の音楽だったんです。最近はオープンワールドのゲームが増えてきたので、音楽がずっと鳴っているとしんどくなってしまう。それで曲なのか、効果音なのか、そのどちらとも捉えられるような曲が増えてきました。昔のゲームではありえない曲だなと思う一方で、アニメの劇伴には昔からあったものなので、僕らもアニメの劇伴を作るなかで勉強させてもらって。そこで学んだものがゲームの『NieR』のサウンド作りに活かせていると思います。それを今度は逆輸入的に、アニメ側に引っ張ってくるっていう感覚で作れたんじゃないかなと。

──良い好循環があったんですね。

岡部 そうですね。本当にそう思います。

──岡部さんのお話を帆足さん、高橋さんが頷かれながら聞いていましたが、どのような想いだったのでしょうか?

帆足 良い話だなと。

高橋 「きれいに話がまとまってる!」と(笑)。

一同 (笑)。

岡部 それは年の功です(笑)。

──(笑)。今ご年齢のお話がありましたけど、以前『ニーア レプリカント ver.1.22… ザ・コンプリートガイド+設定資料集 GRIMOIRE NieR: Revised Edition』(2021年7月発売)のメッセージのコーナーで、岡部さんが「11年後何をしていますか?」という質問に対して「まだ音楽作ってますか?」と答えられていたことが印象的だったんです。

岡部 『レプリカント』のときもそうだったのですが……MONACAを設立して、若手を入れて、という体制になったときに、僕の立場としては仕切ることのほうが増えてきたんです。帆足や高橋と一緒にやってきて「僕が作らなくても十分に良い音楽を作る人がいるんだ」と。それは帆足、高橋以外のMONACA内の作家に対しても、MONACA外の若手の作家に対しても思っています。だから僕がしがみついて音楽を作る必要があるのかな、と考えた時期がありました。回答したのがちょうどその時期だったんですね(笑)。でも今もそういう思いは少なからずあって、この10年間「そろそろ仕切り側に回るのかな」とずっと考えていました。「年寄りだから」と冗談風には言ってますけど、それは本当に思っていて。でも逆に「年寄りだからできることもあるんだな」と感じることもあります。若い人ならではの今の時代に合ったテイストは敵わないなと思っているので、そういうところは若手に任せていきつつ、枯れた部分を出すときには僕の力が役に立つのかなと。それは今後もやっていきたいなと思っています。

──ずっと続けてほしいです。

岡部 ありがとうございます。でもそう言っていただけているうちに身を引くのが正しいのかなと思っているんですよ。老害にならないうちに(笑)。

──いやいや。でも作家陣にしてもそれこそミクスチャー感があるといいますか、チームならではの強みというのを感じます。

岡部 そうですね。とはいえ、この3人は全然若手じゃないんですけども(笑)。

帆足・高橋 (笑)。

岡部 でも2人と一緒に音楽を作っていると、自分が若いときとは違う作り方をしているんだなと見えてくるものがあります。ツールの進化もしているので、作り方も変化していますし。そこは刺激になりますね。1人でやっていると気づけないところがあるので、そこはチームのメリットだなと。

──そう考えると、すごく良いタイミングでアニメのお話がきて、音楽が作られたんだなと。

岡部 そうですね。良いきっかけを作っていただきありがたい限りです。

──最後に、皆さんにとっての『NieR』とは?

高橋 『レプリカント』から数えると、12年間最初から携わっているコンテンツで、本当にファンの方の愛が深い作品だと思っています。僕は途中から加わっていますが、これまでの多くのコンサート等も経て、自分の中のニーア遺伝子のようなものがしっかりと育てられてきた感覚があります。今後も長く大切にしていきたい作品です。

帆足 とても思い出深いタイトルです。先ほど新人だった時代の話もしましたが、アニメの楽曲制作時に、岡部さんに「あの頃と比べるとちゃんとした作家になったね」といった言葉をいただけて、さらにコンサートもできて、とコンテンツに育ててもらった感覚があります。色々やらせていただいたおかげで、自分も成長することができた、と思いたい(笑)。たくさんの恩恵を受けさせていただいているなという想いです。

岡部 今日もずっと話していましたが、『レプリカント』のときはこんなに長く続いていくタイトルになるとは思ってもいませんでした。ほかのインタビューでもお話しているのですが、MONACAのスタンスとして、アーティスト的な感覚で、自分が良いと思うものを表現して作る音楽ではなく、ゲームやアニメなどを盛り上げる音楽をプロとして作っていく集団でありたいと思っているんです。ただ、『レプリカント』を作ったときはほかのものに比べると、ヨコオさんとの関係性も含めて「僕が良いと思うものを作っちゃおうかな」という考えが強くあったんですね。そして、これはヨコオさんのオーダーでもあったのですが、「全部の曲に歌が入っていてほしい」と言われて。歌入りの曲は、アニメやゲームの場合、セリフと被ってしまったり、主張が強くなりすぎてしまったりする可能性があります。それは常日頃言われていましたし、僕自身もそう思っていました。でもそれをゲーム側のディレクターがオーダーしてくるのであれば「じゃあ、やらせてもらいますよ」と。

一同 (笑)。

岡部 そこで、自分が好きなものを提案して。それが結果的に評価に繋がっているんだなと感じられたときに、もう少し自由な感覚を持っても良いのかもしれない、と気づかせてもらいました。そのあと僕が作っていく音楽やスタンスにも影響を与えてくれたので、高橋も言ってましたけど、僕自身の成長に繋がった部分があります。また、僕の内部的なところではなく、『NieR』の音楽を聴いて、僕と仕事をしたいと言ってくれる方と出会い、お仕事をいただく機会もあって。それまで見たことのない景色を見せてくれた、大きな作品です。それが、技術的なところも含めて一巡したうえで、アニメ作品にも携われて。本当に大きな経験をさせてもらっています。僕のクリエイター人生の中で、外せないタイトルになっています。それが僕の中での『NieR』という存在です。

●リリース情報
『NieR:Automata Ver1.1a Original Soundtrack』
2023年4月26日(水)発売

価格:¥2,750(税込)
品番:SQEX-11015

詳細はこちら

●作品情報
アニメ『NieR:Automata Ver1.1a』

<国内配信>
各配信プラットフォームにて第1話~第8話配信中。

【STAFF】
原作:「NieR:Automata」(スクウェア・エニックス)
監督:益山亮司
シリーズ構成:ヨコオタロウ/益山亮司
キャラクターデザイン・総作画監督:中井 準
アクション監修・プロップデザイン:橘 駿
CGアクション監修・Blender監修:稲田正輝
Blender監修:川越崇弘
2Dワークス:平賀みえ
軍事考証:金子賢一
美術監修:加藤 浩(ととにゃん)
美術監督:坂上裕文(ととにゃん)
美術:ととにゃん
美術設定:高橋武之
色彩設計:茂木孝浩
CGディレクター:野間裕介
サブCGディレクター:大川 威
撮影監督:青嶋俊明
編集:三嶋章紀(三嶋編集室)
音楽:MONACA
音響監督:長崎行男
制作:A-1 Pictures
製作:人類会議

【CAST】
2B:石川由依
9S:花江夏樹
A2:諏訪彩花
ポッド042:安元洋貴
ポッド153:あきやまかおる
アダム:浪川大輔
イヴ:鈴木達央
パスカル:悠木 碧
司令官:加納千秋
オペレーター6O:磯部恵子
オペレーター21O:初美メアリ
リリィ:種﨑敦美
デボル/ポポル:白石涼子

<Introduction>
西暦5012年。
突如地球へと飛来してきた<エイリアン>と、彼らが生み出した<機械生命体>により、人類は絶滅の危機に陥った。
月へと逃げのびた僅かな人類は、地球奪還のため、<アンドロイド>の兵士を用いた反攻作戦を開始。
しかし無限に増殖し続ける<機械生命体>を前に、戦いは膠着状態に陥る。
人類は最終兵器として、新型のアンドロイド<ヨルハ>部隊を地球へ派遣。
新たに地球へと派遣された<2B>は先行調査員の<9S>と合流し、任務にあたるが、その最中で、数々の不可解な現象に遭遇し……。
これは人類のために戦い続ける、命なき<アンドロイド>の物語――。

©SQUARE ENIX/人類会議

関連リンク
『NieR:Automata Ver1.1a』公式サイト
https://nierautomata-anime.com

『NieR:Automata Ver1.1a』公式ツイッター
https://twitter.com/NieR_A_ANIME

MONACA 公式サイト
https://monaca.jp/