アイドルマスター シンデレラガールズ」のライブイベント“THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 燿城夜祭 -かがやきよまつり-”DAY2が2023年6月11日、大阪城ホールにて開催された。

DAY2には一ノ瀬志希役の藍原ことみ、宮本フレデリカ役の髙野麻美、前川みく役の高森奈津美、椎名法子役の都丸ちよ、安部菜々役の三宅麻理恵、速水奏役の飯田友子、浅利七海役の井上ほの花、白坂小梅役の桜咲千依、脇山珠美役の嘉山未紗、桐生つかさ役の河瀬茉希、八神マキノ役の二ノ宮ゆい、大和亜季役の村中知、塩見周子役のルゥティン、依田芳乃役の高田憂希、難波笑美役の伊達朱里紗、小関麗奈役の長野佑紀、星輝子役の松田颯水、城ヶ崎美嘉役の佳村はるか片桐早苗役の和氣あず未、小日向美穂役の津田美波が出演した。
この内津田美波はDAY2のみの出演。DAY2に出演予定だった大槻唯役の山下七海、藤原肇役の鈴木みのりは、体調による出演見合わせが発表された。

TEXT BY 中里キリ

開演前のステージ上ではDAY1に続き、わたあめ、たこ焼き、ヨーヨー釣り、かき氷の簡易屋台が設営され、ライブ関連各社の主要スタッフとダンサーたちが縁日を楽しむ空間が繰り広げられた。ライブコンセプトに合わせてステージ上や花道は灯篭のある石畳に模されているので、祭囃子が鳴り響くと本当の縁日のような雰囲気だ。さらにステージには、映像特典収録のために会場を訪れていたラジオ「CINDERELLA PARTY!(デレパ)」の主催・多田李衣菜役の青木瑠璃子がサプライズ登場! 青木は大観衆の手拍子に応えてエアギターを見せたりと大サービス。ヨーヨー屋台の主(日本コロムビアの柏谷プロデューサー)にわたあめを差し出すかわりにヨーヨーをわしづかんでいったりと、とても自由に縁日をエンジョイしていた。
協賛企業紹介の後、スクリーンにはアシスタントの千川ちひろが前説諸注意のために登場。祭囃子を背に発声練習をリードする彼女も心なしテンションが高い様子だ。

開演の時を迎え、「いよいよ、よまつりDAY2の開演でしてー?」と先頭に立って駆け込んできたのは高田憂希。都丸ちよ、飯田友子、嘉山未紗、二ノ宮ゆい、高田憂希、伊達朱里紗、長野佑紀、和氣あず未による「Yes! Party Time!!」の和太鼓アレンジでライブは幕を開けた。衣装は和のテイストにシンデレラ感を散りばめた「燿城羽衣」で、衣装カラーはキュートクールパッションの属性色で分けられている。和楽器を散りばめたゴキゲンなナンバーと久々の有歓声ライブに会場の盛り上がりも早くも最高潮だ。
「今宵は 大胆でも“ええよ”」と高田がキュートに関西弁アレンジを入れれば、伊達朱里紗が「真ん中から、時計回りにウェーブ、いくでー!」とステージを取り囲む観衆のウェーブを先導。明示はされていないが、高田と伊達が本公演のダブルリーダー的配置になるようだ。

高田と伊達が「シンデレラガールズ」3年ぶりの有観客有歓声公演であること、今回のライブのテーマが夏のお祭りであることを伝えて、いよいよライブ本編はスタート。

薄暗い照明に照らされたステージが異界めいた雰囲気に変わり、やがて深紅の明かりに照らし出される。真紅と闇のマントをまとって登場したのは桜咲千依と松田颯水。「私たちのお祭りが始まるよ」「今夜は血祭りでスタートだぁ!!」と煽ると初っ端からの「Bloody Festa」だ。
桜咲のウィスパー調の歌声が松田のパワーボイスとせめぎあって拮抗するのは不思議な感じだが、それだけ桜咲の歌声に芯の強さがあるのだろう。松田の狂気を覗かせる笑顔が絶好調。歩みよったふたりが背中合わせに寄り添って、両手を絡み合わせるくだりでは大歓声が巻き起こった。

スタイリッシュなイントロに手拍子が合わさると、ライトアップされたステージに手元に銃を構えたポーズの村中知と和氣あず未が登場。「ハートボイルドウォーズ」だ。ダンサーを従えて、射撃をモチーフにしたダンスで余裕たっぷりに会場を魅了していく。
動きの中に射撃や銃のモチーフが散りばめられていて、SEに合わせたリロードから射撃のアクションが怖いぐらいに絵になる。ボーカル質の違うふたりがパフォーマンスの真剣勝負を繰り広げるような鮮やかなショウタイムだった。

河瀬茉希は「行くぞお前ら!!」の煽りも高らかにステージに登場すると、最新ソロ曲の「アタシガルール」を披露。TVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」第8話の挿入歌として登場したのも記憶に新しい楽曲を出し惜しみなしに投入だ。キャラクター(アイドル)への没入度の高い歌唱で、スタイリッシュで鮮烈な桐生つかさという存在を体現していく。間奏でダンサーたちと一列になってダンスパフォーマンスを見せた河瀬は、ダンサーたち一人ひとりをモノにしていくようなセクシーな絡みを見せる。
高難度な歌唱とパフォーマンスを繰り広げながらも、余裕ある笑顔を保ち続けるのがつかさのプロ意識を感じさせた。

高森奈津美、三宅麻理恵、井上ほの花のユニット・はぴのすは「全開!ミラクルアドベンチャー!」を披露。高森と三宅のおなじみのコンビに、井上演じる七海の舌ったらずなキュートさが加わって無敵の突破力を感じるトリオだ。不思議な空間に巻き込まれた3人を、会場いっぱいのISEKAIコールの乱舞が包み込んでいく。3人が願いを合わせるパートで、誰が何を言っているかが全くわからない“息の合ったバラバラさ”が最高! 弾けるような笑顔たちと突き抜けたテンションが印象的で、見るものすべてを幸せにするようなパフォーマンスだった。

「パ・リ・ラ」は河瀬茉希、伊達朱里紗、松田颯水の3人に、DAY2は津田美波を加えたカルテットで披露。
微妙な顔ぶれの変化による表現の違いが楽しめるのは2DAYSの公演ならではだ。身体を揺らしながらステージに登場した4人は、パッションにあふれた燃えるように情熱的なパフォーマンスを披露。DAY2バージョンを引っ張ったのはやはり津田で、先陣を切る“Ola! 秘密のリゾートへ行こう”の弾むような歌い方に心弾む躍動感とキュートさを一緒に詰め込んでくるのは匠の技。個性豊かに、そしていずれ劣らぬパワーボイスの魅力が爆発するような真夏の祭りだった。

今回のライブでは、各ブロック間に“シンデレラガールズチーム対抗よまつり王決定戦”と題したミニゲームで対戦。DAY2は勝者におみやげ豚まんが与えられるとあって演者もエキサイトして熱い対決が繰り広げられた。ここでは津田美波、桜咲千依、都丸ちよのチームドーナツと長野佑紀、伊達朱里紗、河瀬茉希のチームたこ焼きが輪投げで対決だ。都丸と伊達は前哨戦?で、都丸は指でドーナツ、伊達は指でたこ焼きの輪を作って合わせると、「ドーナツとタコ焼きで無限(∞)です」という謎の意気投合を見せていた。

対決ではドーナツチームの都丸が、プロデューサーの応援をあざとく要求しながら4点+9点のダブルシュートを決めてエースの貫録を見せると、桜咲は2本同時に投げる余裕プレイにも関わらず3点をゲット! 追い詰められたチームたこ焼きだったが、まずは二番手の伊達が9点ショットをキメてテーブルゲーム全般の強さを見せる。先輩後輩の力学でトリを任された長野は8点以上が勝利の絶対条件だったが、参謀・伊達の緻密なアドバイスもあって見事ラストで9点ショットを決める勝負強さを見せたのだった。チームたこ焼きの逆転勝利!

第2ブロックは飯田友子、二ノ宮ゆい、ルゥティンによる「不埒なCANVAS」からスタート。シンプルにボーカル力が高いクール属性の3人を集めた編成で、中でもきらりと眼鏡が輝く二ノ宮の歌唱技巧は感嘆のため息が出るほどだ。落ちサビで光輝いたのが楽曲オリメンのルゥで、カメラをまっすぐに見据えながらの美しく深みのある独唱には、吸い込まれそうな引力があった。

三宅麻理恵、村中知、和氣あず未は「エチュードは一曲だけ」を披露。どこか懐かしさのある歌謡曲テイストの楽曲に、歌い出しの和氣がまとう空気感があまりにもぴったりとハマる。この雰囲気にウサ耳姿のベテラン17歳である安部菜々=三宅が自然になじむのは言うに及ばず。このタイプの楽曲でセンターが村中というのが面白く、抒情的な楽曲で本格的な歌い上げを見せる。感情のこもった関西言葉での語り掛けも見事で、貫録すら感じさせるパフォーマンスだ。

「Sunshine See May」は、高田憂希と鈴木みのりのユニット・山紫水明の楽曲。今回のライブに鈴木は参加できないことが発表されていたこともあり、イントロが流れると会場はざわめきに包まれた。優しいイントロとともにスポットライトが灯ると、水面のような明かりの中に高田が一人で登場。ソロで歌う高田の手元が映し出されると、手首には2つのブレスレットが輝く。鈴木と肇の分も含めた想いを背負っての歌唱となった。おだやかな微笑みを浮かべ、遠くを見つめながらの高田の歌唱は柔らかく、包みこむようなしなやかな広がりを感じさせる。サビで鈴木の歌声が流れるのを万感の想いを込めて聴くと、ラストはふたつの歌声がひとつに。ユニットの想いを背負った渾身の歌唱だった。

関西と言えばの京女・小早川紗枝立花理香)の楽曲「花簪 HANAKANZASHI」は藍原ことみ、髙野麻美、都丸ちよがトリオでカバー。藍原が引き込まれそうに力のあるボーカルで歌い出しを雅やかに歌いきると、髙野が笑顔の花を咲かせた軽やかで楽し気な歌唱で空気を変える。都丸の歌唱は流麗でつややかで、楽曲の色に寄り添う引き出しの多彩さで驚かせた。和傘を背負い、ダンサーたちとともに一列に並んでのパフォーマンスは華やかの一言。楽曲への入り込み方も様々だったが、都丸演じる法子の中学生離れした妖艶さは新境地だと感じられた。

楽し気な祭囃子が徐々に不穏な響きと光を伴い、ステージに幽玄の気と共にスモークが満ちる。幻想の気配の中登場したのは桜咲千依と高田憂希、ユニット・かくりよがたりの「廻談詣り」の時間だ。ふたりのかわいらしい歌声が、ほんの少し位相を変えるだけでこの世ならざる冷気さえも運んでくるのが興味深い。ささやくように歌いながらステージを回るふたりを、色とりどりのレーザーが照らし出す狙いすましたミスマッチ。カメラをじっと見つめる高田の魔性の表情と「「まぁだだよ」」とキュートにシンクロさせる歌声の落差に幻惑される。かわいらしいからこそ恐ろしい、和ホラーの境地だった。

会場を雨音が満たすと、和傘を肩に持った村中知がしっとりと歌い出す。髙野麻美、三宅麻理恵、河瀬茉希、村中知、和氣あず未による「ささのはに、うたかたに。」だ。この5人のしっとりとした歌唱はここまでのセットリストで見せた姿からの変化の幅が大きく、ひとつのライブの中でのメリハリと意外性を感じさせてくれる。淡く美しい歌声の中で、河瀬の力強い存在感が印象的なワンポイントとして効いてくる感じだ。やがて雨は上がり、閉じた傘を携えた5人が凛と眼差しを上げるキメが印象的だった。

がらりと空気を変えたのは、都丸ちよ、井上ほの花、桜咲千依、長野佑紀、松田颯水による「なつっこ音頭」。アニメ「シンデレラガールズ劇場」発の楽曲だ。明るい手拍子とともに登場した井上が「さぁてみなさんお待ちかね! 楽しいおんろの時間れすよ!」と魅惑のラ行で場の空気をさらう。ダンサーたちが浴衣にうちわの祭りモードで登場すると、会場の天井にはレーザーで祭囃子を奏でる太鼓奏者が描き出された。それぞれにキュートで元気な歌い継ぎを見せるが、その中にも長野の飛び出してくるような印象的な歌声や、しんゆうに語りかけるような松田の歌唱など、個性の幅がとんでもない5人だ。音頭の動きがシンプルだからこそ、動きの中にアイドルのニュアンスやカラーを出す余地があるのが発見だった。

チーム対抗よまつり王決定戦第2弾は、嘉山未紗、ルゥティン、髙野麻美のチーム・絶対コロキングと、村中知、高森奈津美、松田颯水のチーム・共通の話題なさそうずが“コロコロビンゴ対決”で対戦。3×3のビンゴマシンにボールを転がしていき、縦横ななめのどこかでビンゴしたら勝ちというゲームだ。

先攻の絶対コロキングは、髙野が「人の金で、豚まんを食いたーい!」とゆるく鬨の声を上げると、第一順で早くもリーチをかける。しかしその後の攻めがなかなか続かず、なさそうずの煽りの声がこだまするばかりだった。後攻のなさそうずは、松田が観客の声援を力に変えて2連続成功! はするのだが、なかなかリーチまでが遠い。ここで高森が、ビンゴホールのふちに引っかかっているボールを弾き飛ばして2個同時に穴に落とすというアイデアを提案すると、あわや有言実行! の一投でダブルリーチをかける勝負強さを見せた。なおラスト一投の村中は、高森の真似をしようとして失敗した。

両者ビンゴ成立なしで勝者なしのドロー(商品もなし)であることが告げられると一同がっかり。村中が「てなわけで泥試合のドロー試合ということで」と見事なオチをつけて終了となった。

新曲「Night Time Wander」は河瀬茉希と二ノ宮ゆいが、山下七海の歌唱音源とともに披露した。曲前には桐生つかさ、八神マキノ、大槻唯3人のイラストが表示され、この楽曲があくまで3人のものであることを強調していた。河瀬二ノ宮のクールな歌声と山下の甘やかな歌声の対比と落差が強烈で、曲として代わりが効かない構成。テクニカルでゆったりとした浮遊感のある楽曲の中で、際立った個性を持った歌声たちが別々の楽器のように響きあう不思議で心地よい体験。いつの日かオリジナルメンバーでの再会を願いたい。

Nightつながりで、続くはLiPPS(藍原ことみ、髙野麻美、飯田友子、ルゥティン、佳村はるか)の「Nightwear」。手拍子とレーザーの乱舞に包まれて登場した5人は別格の存在感だ。ライブの折り返しを超えて登場した佳村はコンディションが仕上がりきっている印象で、所作や目線のひとつひとつに見るものを釘付けにするような華がある。明滅するライトの中、鮮烈なポーズを順番にキメると、飯田の語り掛けるような「ねぇ」の吐息が闇に溶けていった。

津田美波は、鈴木みのりとのユニット・フェアリーテイル*マイテイルの楽曲「Isosceles」を初披露。ステージにはソロで立ち、鈴木の歌声の音源とともに歌うパフォーマンスとなった。津田と対称の位置にはもうひとつのスポットライトが照らし出されており、あくまでデュオパフォーマンスの見せ方だ。そしてその中から立ち上ってきたのが、ふたり分の想いを背負って歌う津田の気迫と存在感だ。ステージ中央にライトが重なった中に、津田と手を合わせて回るパートナーの存在が“視える”ような錯覚。その決意と覚悟は神々しいほどの熱量となってほとばしっていて、今日この日にしか見られない特別な何かがそこにあった。

二ノ宮ゆいは初のソロ曲「ノーチラスソナー -Nautilus Sonar-」を披露。蒼のレーザーと落ち着いたイントロの調べの中、舞うようなダンスとともに登場すると、ポッと明かりが灯ったような柔らかなスポットの中で歌唱をスタート。せり上がったスクエア型のソロステージで繰り広げるパフォーマンスは悠然として美しく、ピンと張りつめたような不思議な緊張感に満ちている。全身で訴えかけるような表現は時に激しさをはらみながら、深く深く潜航していった。後のMCで二ノ宮は「この曲は八神マキノちゃんにもう一度恋する楽曲だと思っています」と表現していた。

藍原ことみ、髙野麻美、佳村はるかは「ダンス・ダンス・ダンス」を披露。家庭用ゲーム「アイドルマスター スターリットシーズン」からアプリ「デレステ」へと輸入された楽曲という出自もあり、シンデレラガールズ単独ライブでの披露自体がある種の驚きとともに迎えられた。歌唱メンバーがLiPPSと重複していることもあり、「Nightwear」でのクールな表現とのギャップも楽しめる構成。髙野の天真爛漫な笑顔を見ていると、フレデリカとしての土台はやはりこちらだなと安心感がある。浮遊感のある楽曲に乗せて、ステージが、会場全体が宇宙のダンスフロアに変わる。そこに客席の歓声と手拍子がある喜びが大きく感じられるパフォーマンスだった。

チーム対抗よまつり王決定戦第3弾は、井上ほの花、飯田友子、二ノ宮ゆい、和氣あず未のチーム・牛たん弁当、佳村はるか、藍原ことみ、三宅麻理恵、高田憂希のチーム・豚まん絶対持って帰る(佳村命名)に分かれて、射的対決を行なった。

チーム・牛たん弁当は井上が成功、二ノ宮が失敗というスタート。ところがライフルを構える姿が最高に絵になる飯田が見た目通りの鮮やかなシューティング(成功)を見せると、和氣もあっさりと成功させて銃口をふっと吹く姿がとても決まっていて、3人成功という成績ではもちろん、ビジュアルの説得力も見せつけて後攻の心を折りに行く。

チーム・豚まん絶対持って帰るは高田と藍原が失敗。その後相手チームの飯田から佳村と三宅が同時射撃で両方成功すればサドンデスという救済提案がされたが、結果は残念な感じになり、射的対決はチーム・牛たん弁当の勝利となった。MCでは井上ほの花が自分で用意したおさかなアイテムを、最初全部髪につけたらイソギンチャクのようになってしまったというエピソードに、演者たちから「かわいい!」の声が飛んでいた。

ラストブロックは嘉山未紗、長野佑紀、松田颯水による「N.O.R.~Notes of Revolution~革命についての覚書」からスタート。イントロの重低音を嘉山の高く貫くようなシャウトが切り拓き、革命の刻が始まる。長野と松田の弾け方が高いレベルで期待通りであるからこそ、それと伍してセンターの存在感を放つ嘉山の覚悟が突き抜けてギラギラと輝いて感じられる。ステージに花火の柱が上がり、3人の煽りに応えるように会場の狂騒の度が増す。長野と松田が絶望のシャウトで空間を揺るがせば、嘉山はそれをさらに切り裂くような「YEAHHHHHHHHH!!」の叫びを叩きつけてと、誰がどこまで突き抜けられるかのチキンレースを見ているようだ。そして個の武勇が優れているからこそ、サビでひとつになってステージを暴れまわる3人の姿が無敵の印象を残すパフォーマンスだった。

「毎度! 難波の笑美ちゃん、歌うで!」と伊達朱里紗が力強い台詞で入ってくるも、流れ出すリズミカルなイントロは「あんきら!?狂騒曲」の物。一瞬の混乱の答となる演目は、高森奈津美、都丸ちよ、伊達朱里紗による替え歌「おおさか!?狂騒曲」だった。アンキモ連呼の流れは「お好み(焼き)」「たこ焼き」に差し替えられるなど、事実上の新曲と言ってもいい替え歌っぷりで、歌詞の中ではアイドル(キャラ)3人が大阪出身つながりであることが明かされた。曲中で描かれるかわいらしいケンカのシーンは、この曲でもドーナツをごり押しする(某有名ドーナツチェーンの一号店は大阪とのこと)法子と笑美のバトルとなっていた。間奏ではたこ焼き・イカ焼き・ネギ焼き・土手焼きのコテコテコールアンドレスポンスが行なわれるなど、「シンデレラガールズ」史に残ってしまう自由すぎる時間だった。

さらに、ラストに都丸が法子として「新作ドーナツ考えたよ! その名も、たこ焼きドーナツ!」と宣言することで、DAY2最初の“よまつり王決定戦”での「ドーナツとタコ焼きで無限(∞)」の合体ポーズの伏線までが回収されていた。

そしてここからは、津田美波、井上ほの花、河瀬茉希、村中知、長野佑紀、和氣あず未による「情熱ファンファンファーレ」から始まる怒涛のクライマックスだ。河瀬が「体力全部出し切って、叫べ~!」と全力の煽りを見せると、満場の大阪城ホールの声援がうねりのようにエネルギーを返していく。津田が「皆さんの声、もっといっぱい聞かせてください!」と笑顔で頼むと、なんだか空気中の幸せ成分が増したように感じた。

高まりきったテンションはそのままに三宅麻理恵、ルゥティン、伊達朱里紗、松田颯水、佳村はるかによる「サマカニ!!」へ。ステージのどセンターに立つ伊達の“ちょちょちょ待って”からのパートは独唱と言ってもいいぐらいロングで、大阪での2日間が伊達朱里紗と難波笑美の日だったと言っても過言ではないぐらいの印象を残す。佳村や松田、三宅やルゥがここぞのワンフレーズで強い印象を残すのも流石の一言。特に松田がシャウトモードとは真逆のふにゃふにゃモードになりながらも楽しそうな感情をしっかりと乗せて伝えていたのがとても印象的だった。

会場がウルトラオレンジのオレンジ色の熱に染まったまま、最強ナンバー・「Orange Sapphire」へ。歌唱メンバーは藍原ことみ、飯田友子、井上ほの花、桜咲千依、二ノ宮ゆい、長野佑紀。元はパッションの属性曲だったが、いつしか属性にこだわらず最高の盛り上がりを約束する全体曲になった印象だ。そしてその中で、飯田や二ノ宮がクールの味や温度を残してくるのがアクセントとなって楽しい(井上や桜咲は表面的な属性を超越している)。そしてクールチームが多い中、単身強烈な異彩を放つパッションの王・長野佑紀のはみ出さんばかりの存在感。ラストのキメが藍原の新鮮なピースサインの大写しだったことも含め、属性がミスマッチだからこその魅力的な「Orange Sapphire」だった。

「みんなー、今夜の夜祭りもすっごく盛り上がったね!」とマイクを取ったのはルゥティン。津田美波、三宅麻理恵、嘉山未紗、ルゥティン、高田憂希による「Wish you Happiness!!」の時間だ。最強曲の三連投を受けて、さらなるパーティを始めようと告げられた観衆の体力が心配になるが、センターの安部菜々=三宅に先頭に立って煽られてはこちらも全力以上で応えるしかない。宴は続くのだ。津田はDAY2のみ参加だが、彼女の優しく品のある美穂そのものの笑顔があると、パッと場が明るくなる感じがある。ステージを見つめる全員の幸せを願い、現実に笑顔にしてしまうだけの力を秘めた一曲だった。

MCを経て、ラストナンバーは本ライブのテーマソングである「悠久星涼」。クライマックスの狂騒で燃え上がったテンションを、優しく受け止めて涼やかに落ち着かせてくれるような美しく、おだやかな時間だった。

今後に向けた業務連絡のコーナーでは、ネクストライブとしてデレステ8周年記念LIVE「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Shout out Live!!!」の開催決定が告知された。開催は2023年9月9日~10日で、会場は愛知県国際展示場ホールA。同ライブにはシンデレラバンドの出演が決定している。

アンコールでは、津田美波、都丸ちよ、飯田友子、井上ほの花、嘉山未紗、村中知、ルゥティン、長野佑紀が「思い出じゃない今日を」を披露した。同曲は喜多見柚(武田羅梨沙多胡)のソロ曲であり、それをライブを締めくくる全体曲として解釈した新しいアプローチは、会場にさざ波のような静かな驚きの輪を広げた。情感豊かな楽曲のフレーズひとつひとつに、各メンバーが楽しいライブの終わりを迎えた想いを込めて歌い継いでいく。サビで歌声がひとつになると合唱のような力強さと壮大さが加わって、楽曲に新たな輝きを与えていた。

ライブを締めくくるラストナンバーは、和のアレンジを加えた「お願い!シンデレラ」。全員がアイドルの描かれた法被をまとってのパフォーマンスだ。津田美波が今回直接参加できなかった藤原肇の法被を持って登場すると、河瀬茉希と二ノ宮ゆいは大槻唯の法被を見せて、「お願い!シンデレラ」に参加させていた。ダンサーが一列になって挨拶をしたあとには高田憂希がほら貝を手に取り、かわいらしく「ぶぉ~」の声と、「もう一回!」の合図を決めていた。

最後は高田が「アイマスですよ、アイマス!」の音頭を取ると、来場者と視聴者に向けて「おおきに!」の大合唱で、少し早い真夏のライブは幕を下ろしたのだった。

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 燿城夜祭 -かがやきよまつり-DAY2
2023.06.11 大阪城ホール

<セットリスト>
M01:Yes! Party Time!!(和太鼓アレンジ)(都丸ちよ、飯田友子、嘉山未紗、二ノ宮ゆい、高田憂希、伊達朱里紗、長野佑紀、和氣あず未)
M02:Bloody Festa(桜咲千依、松田颯水)
M03:ハートボイルドウォーズ(村中知、和氣あず未)
M04:アタシガルール(河瀬茉希)
M05:全開!ミラクルアドベンチャー!(高森奈津美、三宅麻理恵、井上ほの花)
M06:パ・リ・ラ(津田美波、河瀬茉希、伊達朱里紗、松田颯水)
M07:不埒なCANVAS(飯田友子、二ノ宮ゆい、ルゥティン)
M08:エチュードは一曲だけ(三宅麻理恵、村中知、和氣あず未)
M09:Sunshine See May(高田憂希)
M10:花簪 HANAKANZASHI(藍原ことみ、髙野麻美、都丸ちよ)
M11:廻談詣り(桜咲千依、高田憂希)
M12:ささのはに、うたかたに。(髙野麻美、三宅麻理恵、河瀬茉希、村中知、和氣あず未)
M13:なつっこ音頭(都丸ちよ、井上ほの花、桜咲千依、長野佑紀、松田颯水)
M14:Night Time Wander(河瀬茉希、二ノ宮ゆい)
M15:Nightwear(藍原ことみ、髙野麻美、飯田友子、ルゥティン、佳村はるか)
M16:Isosceles(津田美波)
M17:ノーチラスソナー -Nautilus Sonar-(二ノ宮ゆい)
M18:ダンス・ダンス・ダンス(藍原ことみ、髙野麻美、佳村はるか)
M19:N.O.R.~Notes of Revolution~革命についての覚書(嘉山未紗、長野佑紀、松田颯水)
M20:おおさか!?狂騒曲(高森奈津美、都丸ちよ、伊達朱里紗)
M21:情熱ファンファンファーレ(津田美波、井上ほの花、河瀬茉希、村中知、長野佑紀、和氣あず未)
M22:サマカニ!!(三宅麻理恵、ルゥティン、伊達朱里紗、松田颯水、佳村はるか)
M23:Orange Sapphire(藍原ことみ、飯田友子、井上ほの花、桜咲千依、二ノ宮ゆい、長野佑紀)
M24:Wish you Happiness!!(津田美波、三宅麻理恵、嘉山未紗、ルゥティン、高田憂希)M25:悠久星涼(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
-ENCORE-
M26:思い出じゃない今日を(津田美波、都丸ちよ、飯田友子、井上ほの花、嘉山未紗、村中知、ルゥティン、長野佑紀)
M27:お願い!シンデレラ(和太鼓アレンジ)(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)

THE IDOLM@STER™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.

関連リンク
アイドルマスターシンデレラガールズ」日本コロムビア公式サイト
https://columbia.jp/idolmaster/

「アイドルマスター」公式ポータルサイト
https://idolmaster-official.jp/