滝沢秀明がいよいよプロデューサー転身のため年内引退ということで、多くのテレビや雑誌に登場している。
本日29日夜も、滝沢は『超豪華!! 最初で最後の大同窓会!8時だJ』(テレビ朝日)という特番にメインとして出演した。
現在の嵐や関ジャニ∞のメンバーのほか、山下智久、生田斗真、風間俊介など後にブレイクする面々の、半ばお宝的な十代前半からの映像と、当時の人間関係についてのトークを楽しみにしているファンも多いことだろう。
なかでも注目されるのが、滝沢秀明をめぐる人間関係だ。周知のとおり、当時の滝沢はジュニアながら単独でドラマやバラエティに数多く出演、ジュニアのリーダー役を務めるなど、のちに多くの人材を輩出することになるジュニアブームのなかでも“顔”“エース”的存在だった。この『8時だJ』でも、当時16、17歳ながらヒロミとともにMCを務めている。
滝沢がこうした特別扱いともいえるポジションにあったのは、もちろんジャニー喜多川社長からの寵愛によるところが大きい。特別扱いを受ける滝沢に対する嫉妬、あるいは滝沢と仲良くしていたらデビューしやすいんじゃないかという下心。デビューできるかどうかわからないという不安定なポジションとあいまって、当時滝沢の存在をめぐって、ジュニアの間ではそうした利害と感情が入り乱れる複雑な人間模様が展開されていた。
とりわけ、滝沢と敵対関係にあったのが嵐だった。櫻井翔と滝沢の不仲は有名な話だが、滝沢への複雑な感情は櫻井に限ったことではなかった。
2015年に出版された嵐の暴露本『嵐、ブレイク前夜』(元「嵐」側近スタッフ一同/主婦と生活社)には、そのことが詳しく描かれている。
上述したジュニアブームのなかで、まず先にメジャーデビューしたのは人気・知名度ともに他を圧倒していたエースの滝沢ではなく、大野智、櫻井翔、二宮和也、相葉雅紀、松本潤の5人、嵐だった。そのため嵐のメンバーは、滝沢に対して〈優越感と気まずさとが入り交じった微妙な感情を抱くことに〉なったという。
そして嵐から遅れること3年、滝沢が今井翼とともに「タッキー&翼」としてデビューすることになるのだが、当時の嵐は華々しくデビューしたもののいまひとつブレイクしきれていない状況にあった。そのため、タキツバに一気に抜かされるのではないかと5人はかなりナーバスになっていたという。
「タキツバ、ドーンと来ちゃったらどうしよう」
「俺ら、あっという間に抜かれて置いていかれるんじゃない?」
メンバーの間ではこんな会話が交わされていたという。
また、タキツバがデビューを控えた2002年9月、地方でコンサートをしていた嵐の楽屋で、タキツバのデビュー作『Hatachi』がBGMとして流れ出したのに対し、〈5人はあからさまにイヤな顔をし始め、ピリピリとした空気が漂〉ったのだという。
〈「これ、誰がかけてんの?」
「タキツバのデビューアルバムだよね」
誰が言ったというわけでもないが、
「ちょっとCDかけるのやめようよ」
という空気が蔓延してCDは止められ、マネジャーがスタッフを呼んで注意した。
「そういう話はやめてほしいし、CDもかけないで。タキツバがデビューするんで、みんなピリピリしてるんだからさ」〉
●タキツバが予想ほど売れなかったことに安堵した櫻井翔
嵐がいかにタキツバの存在にナーバスになっていたかがよくわかるエピソードだ。ところが、タッキー&翼がそこまで売れないと見ると、今度はこんなことを言い出したという。
〈そんなある日、嵐の5人でタキツバが予想していたほどには売れていないという話題になり、櫻井がしみじみとした口調で、
「俺たちって、いい時期にギリギリでデビューできてよかったよね」
と、言った〉
嵐の元側近スタッフはこの櫻井の発言をこう解説する。
〈Jr.ブームは嵐がデビューした翌年、ピークに達し、それ以降は失速。
Jr.のエースと2番手として本体に残された2人のデビューは、「満を持して」ではなく、「時すでに遅し」だったともいえる〉
そして、〈タキツバは嵐にとって脅威ではなくなった〉のだという。
しかし、その後も嵐と滝沢が共演する機会はほとんどなかった。今年7月、『櫻井・有吉THE夜会』(TBS)で滝沢と櫻井翔が、和解のキスをして話題になったが、嵐と滝沢の共演がほとんどなかったのは、両者の個人的な感情だけが理由ではない。
最大の要因は、SMAP解散の原因にもなったジャニーズ事務所における派閥抗争の影響だ。
●ジュリー副社長の影響で、嵐の番組に出演できなかったタッキー
周知のとおり、嵐は藤島ジュリー景子副社長の肝いりのグループであるのに対し、滝沢はジャニー社長のお気に入り。そのためジュリー氏がキャスティングに大きな権限をもつ嵐関連の番組に、滝沢が出してもらえず共演の機会もほとんどなかったのだ。
そして、滝沢の引退・プロデューサー転身の背景にあるのも、ジュリー派vsジャニー派の対立だ。「ジュニアへの愛情が深く、タレントを育てることと良質のエンタテインメントを作ることだけを考えている」(事務所関係者)ジャニー社長は、「クリエイティビティがなく金儲け主義で、タレントを育てようという意識が薄い」(同)ジュリー副社長の路線に不満を抱いており、ジュリー路線への抵抗としてぶち上げたのが滝沢後継指名だった。
ところが、ジュリー副社長と母親のメリー喜多川副社長の反撃により、引退後の滝沢の位置づけは「ジャニー社長の後継」から「ジャニーさんのお手伝い」にいつの間にか後退させられている。
来年以降、嵐と滝沢の関係はどうなっていくのか、滝沢の処遇は一体どうなるのか、ジャニーズ事務所はどうなるのか。今後も注視したい。
(林グンマ)