「幻のモー娘。メンバーがAV出演!」

「FRIDAY」(講談社)10月10日号に掲載された「『モー娘。』第6期メンバーオーディション第1位 AV出演SEXヘアヌード!」という記事が、いまアイドルファンのあいだで波紋を呼んでいる。9月25日にソフト・オン・デマンドから発売された『AV Debut 芸能人 美波ねい』に主演しているAV女優が、モーニング娘。第6期オーディションのファン投票で見事1位に輝いた嶋田歩だと報道したのだ。

「嶋田なんてメンバー、いたっけ?」と思われた人も多いと思うが、じつは彼女、ファン投票では1位となり「ポストゴマキに決定!」とファンのあいだで評判となったものの、最終選考にも選ばれず落選。芸名を小嶋じゅんに変えてグラビアアイドルとして活動してきた。そして先月、美波ねいと芸名を改め、AV女優として再スタートをきったのだ。

 しかし、ファンに衝撃を与えたこの第一報から一転。先週発売の「FRIDAY」では再び美波ねいのグラビアが掲載されているものの、タイトルは「超国民的アイドルグループ 第6期オーディションファン投票第1位 動くヘアヌード」と、あれだけ煽っていた「モー娘。」の文字が消え失せてしまっているのだ。どうやら、モー娘。の所属事務所であるアップフロントプロモーションから抗議があったため、あえなく"幻のモー娘。"という煽り文句が使えなくなったようだ。

 たしかにモー娘。ファンのあいだでは「正式メンバーでもないのにモー娘。と言うな」という反発も強い。だが、こうした肩書きで売り出されるAV女優は、今後爆発的に増えていくだろう。

 というのも、たとえば昨年も元AKB48研究生の高松恵理が橘梨紗としてAVデビューを飾ったが、AKBグループだけでも脱退者を含めた総計は千人規模。そして、グループアイドル戦国時代のいま、女性アイドルの数は地方アイドルもカウントすれば、数万人に下らないと思われる。元アイドルという肩書きの強さを考えると、AV業界が彼女たちに目を光らせないわけがない。

 しかも、アイドルになるのとAV女優になるのは、じつは紙一重のケースも多い。原宿でアイドルとしてスカウトされたものの、その実態はAVのスカウトだった......というのは、よくある話。これと同じように、アイドルとして売り出されたものの事務所が着エロなどのキワドイ仕事ばかりを入れ、最終的にAV出演を説得されることも、じつはよくある話である。

 さらに、多くのアイドルたちが置かれている状況が「厳しい」ことも、AV転身に拍車をかけるだろう。前述の"幻のモー娘。"である美波がAV転身を決意したきっかけを、「FRIDAY」で彼女の知人はこのように語っている。

「彼女は子どもの頃からアイドルに憧れていて、有名人になりたいという気持ちが人一倍強く、『モー娘。』以外のオーディションなども数多く受けてきました。でも、なかなか知名度を得るには至らなかったんです。そこで、今回、最後のチャンスとして、AV出演を決意したんだと思います」

 AV女優だった飯島愛が深夜のバラエティ番組で人気を博し、一躍有名タレント、作家にまで駆け上がったことで、「AV→タレント」の道が切り拓かれた。その路線は現在も継承され、AV出身のみひろは、女優としてNHK大河ドラマ『龍馬伝』に出演するまでにいたった。美波のように、アイドルとして芽が出ないことに悩む女の子たちが、その肩書きを武器にしてAVに一縷の望みをかけることは、想像に難しくない。

 だいたい、アイドルを目指す動機は「歌や踊りが好き」というものだけではない。自分という存在を知ってほしい、多くの人から注目され認められたい──こうした他者からの承認欲求も大きいものだ。いまはグループアイドルの一大ブームによって多くの女の子たちが芸能界デビューを果たし、その欲求を叶えようとしているが、このブームにもすでに陰りが見えつつある。いつか終焉を迎えたとき、彼女たちがAVという道を選択することも大いにありえる話である。たとえブームが続いたとしても、アイドルはある程度の年齢になると卒業が宿命だ。ブームが続けば、それだけ大量の元アイドルが生まれることになる。そのなかで卒業後の進路としてAV女優に転身する者が何人も出てきたとして不思議はない。

「握手会人気ナンバー1」「武道館を完売させた人気グループのセンター」「CD売り上げ100万枚の超人気メンバー」......こうしたキャッチフレーズが躍るAVが乱立する日も、そう遠くはないだろう。

 「AKBよりAV女優のほうがかわいい」などとよく言われるが、そもそもアイドルとAVの境界線自体がもはや無意味ともいえる。アイドルからAV女優になることを転落のように語ること自体が、古くさいのかもしれない。元アイドルがAVに出ることがなんの驚きでもない、アイドルとAVを自由に行き来する。そんな時代が来るのかもしれない。
(時田章弘)