実際には「記者会見」とはとても言えないシロモノでしかないのに、あたかもしっかり説明をおこなったかのように見せかける──。これを暴挙と言わずして何と言おうか。
いや、恥を知るべきは、この暴挙に加担した大手メディアの記者たちだ。
繰り返すが、菅首相は3社3記者からの質問に答えるだけで、他の記者たちはその様子を淡々と眺めるだけ。手を挙げて質問することもできず、ただ「同席」しているだけだった。国民の「知る権利」に奉仕するべき場面で、自由に質問も封じ込められた場に黙って座っていることを、記者として恥ずかしいことだとは感じなかったのか。
その上、フリージャーナリストの畠山理仁氏のツイートによると、この「グループインタビュー」への「同席」が許されたのは、先日3日に原宿のパンケーキ店でおこなわれた「完全オフレコ懇談会」の参加対象とされた内閣記者会常勤幹事社。それ以外のフリーの記者らは別室で「音声」を聞くことが許可されたというが、それも抽選だったというのである。
菅首相は就任以降、「GoToトラベル」の東京除外解除もあったというのに記者会見を一度も開かず、国会での所信表明演説さえもまだおこなっていない。そんななか、日本学術会議の問題が発覚したのだ。メディアとして記者としていま要求すべきは、広く開かれた記者会見の開催であることは論を俟たない。
にもかかわらず、記者会見開催の要求にも応えない菅首相サイドからの「パンケーキ懇談会のお誘い」には唯唯諾諾と従った(いまのところ、この“パンケーキ懇”を蹴ったことがわかっているのは朝日、東京、京都新聞のみ)。そして、今度は質問することさえ許されない「グループインタビュー」などという「会見」に擬態した国民を騙すような詐欺的な催しに乗ってみせたのである。