
■USJの方針大転換、その舞台裏
低迷中だったUSJに入社後、驚異のV字回復へと導いた森岡さん。USJを退社後は自らの会社「株式会社刀」を立ち上げ、さまざまな企業の立て直しを成し遂げてきた。
今回、林先生がぜひとも聞きたかったのはUSJ復活劇。森岡さんは、創業時からUSJがこだわっていた"ハリウッド映画だけの世界観"から、日本のアニメやゲームを取り入れた"いいとこ取り"のテーマパークに進化させた。
企業ブランド自体のイメージを大きく変える大転換を「勝つためにはそれしかなかったと思えた」と振り返った森岡さん。映画をはじめ各コンテンツへの消費者の接触時間や関西圏の人口などのデータを元に、「USJはお客さんの幅を狭めたらダメ。広く取らないと勝てない」という結論に行きついたという。
こうした結論の導き方を「数学的に自明なことだった」と説明した森岡さん。「数学を勉強する理由はただ一つで、論理的思考の練習をやっているんです。"数学"といいながら、あれは問題解決能力なんです」と、数学的に考えることの意味を説いた。
■企業立て直しのため狩猟免許を取得??
「大事なのは、マイナスの特徴をポジティブに捉えなおすこと」と森岡さん。
大自然の楽しさを本能で理解するため、森岡さんみずから猟師に弟子入りし、専門の学校に通って狩猟免許も取得。山道で転んで「これはアトラクションになる!」と思いつき、現在の"大自然だからできる冒険テーマパーク"を作り上げた。売上げは2年で3倍に増えた。
「本気でやらないと、本能はわからない」「本能にぶっ刺されば当たるんです」というのが、森岡さんの勝利の方程式だ。
老朽化し入場者数減に歯止めがかからなかった西武園ゆうえんちの立て直しにも、この"特徴を捉えなおす"プロセスが生きた。あえて昭和の商店街をコンセプトにし、古くて時代遅れの遊園地をノスタルジックで懐かしい場所へと生まれ変わらせた。チケット売上げはコロナ前の13倍になった。
「物自体が変えられない、では何を変えるか。お客さんがかけている"メガネ"を変えるんです。文脈を変えることによって、中身の価値を操作することができます」と森岡さん。徹底して合理的に物事を捉える姿勢に、林先生も「すごい戦略家ですね」と舌を巻いた。
■「ナスビはナスビにしかならんのです」
"特徴を捉えなおす"ことは、人間にも当てはまる。林先生が「今のお話って人にも当てはまって、自分が欠点だと思っているところが実は、いいところだったりします」と提起すると、森岡さんも「一番学校の先生や親が子供にしてあげられる一番価値の高いことなんじゃないかって私は思うんですよね」と共感しきり。
そして、人のよい面を見つけてあげることの意味を「ナスビはナスビにしかならんのですよ。逆にナスビであること、丸みがあること、紫色が黒光ってることを誇りに思うようにしてあげなくてはいけない。ナスビをキュウリになれ、玉ねぎになれっていってもしょぼくれたナスビにしかならんでしょ。ナスビは立派なナスビにするしかないんです」とわかりやすく説明した。
森岡さんは現在、沖縄の北部に計画されている"大自然を生かした本能にぶっ刺さるテーマパーク"の建設中。「沖縄をアメリカのハワイのように、観光の宝石にしたい。(テーマパークを)沖縄にいろんな投資が集まるためのきっかけにしたい」という。森岡さんの珠玉の言葉の数々に、視聴者からも「自分にもぶっ刺さった!」の声が飛び交っていた。
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【TVer】
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【公式YouTubeチャンネル】
次回の「日曜日の初耳学」は11月21日(日)に放送する。<インタビュアー林修>は大沢たかお、天海祐希、ムロツヨシ、中村倫也の出演回を振り返るスペシャル。
「日曜日の初耳学」はMBS/TBS系で毎週日曜よる10時放送。