米中首脳会談 両首脳の思惑は?
米中首脳会談が14日開かれました。
今秋の中間選挙に向けて経済分野で成果を得たいトランプ大統領。その思惑につけ込むように台湾問題で譲歩を引き出したい習近平国家主席。
“G2”とも呼ばれ世界を牽引する両国。会談はどのような雰囲気で行われたのか?思惑はどこにあるのか?現時点で分かることは?
現地からの生情報や元JNN北京特派員のジャーナリスト・武田一顕氏らの見解を踏まえて、MBS山中真解説がお伝えします。
ガッツポーズのトランプ大統領 友好ムード演出する習主席
13日夜、約9年ぶりに中国に降り立ったトランプ大統領。両国の国旗を振りタラップの下で歓迎する300人もの学生にガッツポーズで応えました。
翌日、中国側は盛大な歓迎式典で大統領を出迎えて友好ムードを演出。会談の冒頭で習近平国家主席は「北京でお会いできたことを嬉しく思う」と歓迎の言葉を述べました。
一方のトランプ大統領は「私たちはすばらしい関係を築いてきた」「これからもともにすばらしい未来を築いていくだろう」などと応えました。
和やかな雰囲気が見られる今回の首脳会談。実際はどうなのか…
現地・北京からの生情報 会談の雰囲気は?台湾問題は?
14日の会談について、現地北京からJNNワシントン支局長の涌井文晶記者がお伝えします。
―――会談の雰囲気は?
「アメリカ側も中国側も、現時点では対立ムードを一旦棚上げにして緊張緩和・友好ムードを前面に押し出そうということが感じられます」
「トランプ大統領は『何か問題があった場合も電話をしてきてくれた』『私もあなたに電話をしてきた』など習主席との個人的な関係を強調していました」
「習主席のことを『偉大な指導者』という表現で讃えて持ち上げるという場面も見られました」
「習主席が対中強硬派のルビオ国務長官(上院議員時代に中国から制裁を受けて入国禁止に)と握手してみせました」
―――歓迎式典は非常に豪華な印象を受けました。
「トランプ大統領は『どう画面に映るか』を気にする人ですが、今回はアメリカ側も豪華な式典を望んでいたと言われていて、それに中国側が応えるというような形になりました」
「世界の2大大国のリーダーが人民大会堂前の広場を並んで歩き、その周りで軍楽隊が演奏し、子どもたちが旗を振り…トランプ大統領が好むような演出が満載でした」
―――「天壇公園」視察時の様子は?
「親しげな様子をカメラに撮らせたという感じでした」
「トランプ大統領は大体カメラの前に来ると、質問に答えるなどのアピールをしますが、それも習主席の前では控えていて、気を遣っているのかなという印象でした」
―――台湾問題については?
「アメリカ側はあまり深入りしないというのが基本的な戦略ではないかと思います」
「高市総理にはリップサービスとして『今度習主席に会ったら日本は良い国だと言っておくよ』と言いましたが、それがクローズドの場で実行されるかどうか…少し微妙ではないかと見ています」
表向きは「皇帝級の破格待遇」 裏では「利益をシビアに考える」
トランプ大統領の待遇について「皇帝級の破格待遇」と評価するのは、ジャーナリストの武田一顕氏。今回は晩さん会とワーキングランチが設定されていますが、「通常はどちらか一方が多い」ようです。
会談は予定より45分オーバーの2時間15分にわたって行われ、その後、習主席が北京市内の世界遺産「天壇公園」を案内しました。
(ジャーナリスト・武田一顕氏)
「天壇公園は明や清の皇帝が『天』を祀った場所。
「中国は、礼と利の国。表向きでは大々的にもてなし、裏では利益をシビアに考える」
「ベネズエラやイランでのこともあり、習主席はトランプ大統領をどこかで怖いと思っている。習主席は『いつ自分がやられるか分からない』と考えているわけです。やはり緊張関係にあることは間違いない」
そんな中、会談では何が語られたのか?両国の思惑はどこにあるのか?
【アメリカの思惑】11月には中間選挙「経済面の成果あげたい」
まずはアメリカです。今年11月に中間選挙が控えているトランプ大統領としては、「経済面で成果をあげたい」という思惑がありそうです。具体的には…
▼中国に売りたい:ボーイング・豆類・牛肉・農業・半導体半導体・航空宇宙分野など
▼中国に売りたくない:先端の半導体・AI分野
▼中国から買いたい:レアアース
▼中国から買いたくない:フェンタニル
会談には、イーロン・マスク氏や、ボーイング・アップル・エヌビディアのCEOらが同行しています。
【中国の思惑】曖昧戦略のアメリカから「台湾問題で譲歩を引き出したい」
対する中国・習近平国家主席としては「台湾問題で譲歩を引き出したい」思惑がありそうです。
これまでアメリカは「台湾独立を支持しない」立場である一方、台湾に対して100億ドル(約1.5兆円)の武器売却を承認していますが、中国側としては「台湾の独立反対を公式に表明してほしい」のです。
一方、日本はこれまで「中国の立場を十分理解し尊重する」立場を取ってきましたが、去年11月に“台湾有事”をめぐる高市総理の「存立危機事態」発言により日中関係が悪化しています。
仮に米中が接近した場合、日本の立場がどうなるのか。この点も、今回の首脳会談でポイントとなりそうです。
習主席が見せる“袈裟の下の鎧”「台湾問題は譲らないと釘を刺している」
習国家主席は冒頭あいさつで「中米両国は“トゥキュディデスの罠”を乗り越え世界により多くの安定をもたらすことができるだろうか」と述べました。
一方、台湾問題については、次のように述べたと言います(中国外務省より)。
「台湾問題は中米関係の最も重要な問題」
「うまく処理すれば両国関係は相対的に安定するが、できなければ両国は衝突し危険な状況に陥るだろう」
「台湾独立と台湾海峡の平和は水と火のように相容れないものだ」
(ジャーナリスト・武田一顕)
「経済の話では上手くやる。
「習主席は、袈裟の下から鎧を見せている。カメラの前では“トゥキュディデスの罠”を持ち出しながら、会談の中では台湾問題では衝突することもあり得ると言う」
※トゥキュディデスの罠=(古代ギリシャ時代の話から)力を持つ国と新しく台頭する国がぶつかると、双方が望まなくても戦争に発展する危険があるという考え方。
「今回劣勢なのはアメリカ」専門家の見立て
一方、トランプ大統領は冒頭あいさつで次のように述べています。
「あなたは偉大な指導者です。そういうことを言うと嫌がる人もいますがやめません。それが真実だから」
「世界最高のビジネスマンが来ています。トップ30の企業に声をかけました」
「貿易やビジネスを楽しみにしている」
習主席を持ち上げているようにも思えますが…
(ジャーナリスト・立岩陽一郎)
「2国間の交渉で“個人的な関係”に話を持っていきたい側=劣勢です。今回劣勢なのはアメリカ。経済の話でも決定権を持っているのは中国です」
世界が注目する2大大国の首脳会談。台湾だけではなく、イラン情勢などについてもどのような話し合いが行われていくのでしょうか。
(2026年5月14日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『山中プレゼン』より)

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