唯一無二の存在感で、数々の話題作に出演し続ける俳優・染谷将太さん。5月15日公開の主演映画『廃用身』では、介護施設の院長として、倫理の境界線に挑む難役に挑戦しました。
重厚なテーマに向き合った撮影秘話はもちろん、プライベートでは「共働きパパ」として家事や育児に奮闘する意外な素顔もたっぷりお届けします♪

【画像を見る】優しい微笑みが素敵!染谷将太さん

――老齢期医療の最前線で患者の幸福と医療の合理性を追い求めるあまり、禁断の治療にのめり込む介護施設の院長・漆原糾役を演じられました。

台本を読んでみると非常にチャレンジングで難しい役。「やります!」と簡単には言えない、勇気が必要な作品でした。でも、吉田(光希)監督とは昔から親交があって、作品もすごく好きで。その吉田さんの新作に声をかけていただけたというのが、まず素直に嬉しかったです。監督にお会いして「この人に身をゆだねれば大丈夫だ」と確信し、漆原役に挑戦することにも大きな意味を感じて、頑張ろうと思いました。

――役作りで特に大切にされたことは何でしょうか?

この作品は人の倫理観が問われる、とてもセンシティブな内容です。倫理観を説いていくのが漆原としての役割だと思ったので、当たり前ですが説得力を持たせなくてはいけないということが前提としてありました。

でも、撮影現場に入ってみると、自分がやらなきゃいけないことが、すごくシンプルだったことに気づきました。「患者さんのためにAケア(まひなどにより回復の見込みがない手足を切断する療法)を広めたい」という彼の純粋な信念を大事にすればいいんだと。だから、お芝居しに行くというよりは、Aケアを広めに行くという感覚でしたね。

――あまりにリアルで、途中からドキュメンタリーを観ているような感覚になりました。


それは、撮り方にあるかもしれません。今回、撮影方法もすごく攻めてるなと感じていました。いわゆる細かなカット割りとは違って、ワンカットの中でズームレンズを使ってじわじわと撮っていくんです。

【染谷将太さんインタビュー】衝撃作『廃用身』で向き合った介護のリアル!共働きパパとしてのリアルな私生活も


ものすごい引きの画から、気づいたらものすごい寄りの画になっていたり…。一枚の画の中であれだけ全ショットズームを使う手法はなかなかないですし、自分にとっても初めての経験でした。役者の配置や映画の描き方を含め、吉田監督のセンスが光る独特のリアリティが出ていると思います。

撮影現場で学んだ「対話」の重要性

――今回の撮影を経験されて、染谷さんご自身の「老い」や「介護」に対する考え方や、死生観に変化はありましたか?

撮影に入る前に、介護施設のスタッフ役の役者さんと、アドリブでリハーサルを行ったんです。「○○さんという患者さんがいて、こういう状況です。今、この人にAケアをするべきか、否か」というテーマで、台本なしのエチュード(=即興劇・演技訓練のひとつ)としてディスカッションしました。

現場が始まってからも、「自分だったらどうされたいか」「家族ならどう接するか」ということを、待機中や控室で自然と話し合うことが多くて。

そこで感じたのは、対話することの大切さです。現場には実際に介護をされている方や、介護士として働いている役者さんもいて、みなさん様々な意見をお持ちでした。
答えが一つではないからこそ、話し合い、向き合う時間がとても重要なんだと学びました。

――映画『廃用身』が、観客にどのように伝わればいいと思いますか?

この映画を観て、いろいろな感情を抱いていただけたら嬉しいなと思います。深い思索にふけるのか、あるいはある種の嫌悪感を抱くのか…。きっと観る人それぞれに異なる感情を与える作品だと思います。

”この作品でしか味わえない感情”を、ぜひ映画館という特別な空間で体感していただきたいです。

「共働きですから」自然体なパパの顔

――大河ドラマをはじめ、映画やドラマなど話題作への出演が続いています。これほど多様な役柄をこなす中で、自分自身をリセットする術や、役の切り替えはどうされていますか?

実はあまり意識していないんです。役者の仕事は現場が変わると一緒に働く人たちも変わるので、やり方が違ったり、空気感ももちろん違ったりしますし、雰囲気がまったく変わるので、変えようとしなくても変わるんですよね。毎回違う会社に転職しているような感覚ですね。自然と切り替わっているんだと思います。

【染谷将太さんインタビュー】衝撃作『廃用身』で向き合った介護のリアル!共働きパパとしてのリアルな私生活も


――過去にそば打ちをされていることが話題になりましたが、料理は今も日常的にされていますか?

共働きなので、自分が作らないといけないシチュエーションは必ずありますし、料理は趣味の一つでもあります。よく作るのはおみそ汁や薬膳スープとか、汁物を作ることが多いですね。


家族の「衣装担当」は現在も継続中!

――以前、テレビ番組で「家族全員のその日の服を考える役割がある」とおっしゃっていましたが、今も継続されているのでしょうか?

アハハハハ!継続中です(笑)。特に5月のような寒暖差がある季節は難しいですよね。いつも子どもたちには「暑かったら脱げばいいし、寒かったら着ればいい。困ったらとにかく薄手の上着を持ちなさい!」と言い聞かせています(笑)。
 
※染谷将太さんのインタビューは、月刊誌『家の光』2026年6月号にも掲載されています。
https://www.ienohikari.net/press/hikari/

【プロフィール】
そめたに・しょうた
1992年、東京都生まれ。
2011年映画『ヒミズ』で第68回ヴェネツィア国際映画祭の最優秀新人俳優賞受賞。NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』ほか多数の作品に出演。
現在、『田鎖ブラザーズ』(TBS系/金曜22時~)に出演中。

【映画情報】
『廃用身』
【廃用身】とは、まひなどで回復の見込みがなく、機能を失った手足のこと。老齢期医療の最前線で、患者の幸福と医療の合理性を追い求めるあまり、医師の漆原(染谷)はしだいに禁断の治療へとのめり込んでいく。観る者の倫理観を揺さぶるヒューマンサスペンス。

5月15日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
配給 アークエンタテインメント
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