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名建築「中銀カプセルタワービル」のカプセルを再利用
歌舞伎座や新橋演舞場などが位置し、伝統文化が息づく街・東銀座に新たなアートスポットがオープンしました。その名は「SHUTL」。広報の松本さんに伺うとシャトルには「宇宙に放たれる飛行体の「シャトル」、離れた土地をつなぐ往復便の「シャトル」、織物において縦糸と横糸をつなぐ杼(ひ)の「シャトル」をモチーフに、現代の表現者が日本文化と出会い直し、自らの表現と伝統を結びつけることで、「未来のオーセンティック」を生み出す実験場・ラボになる」という意味が込められているのだとか。歌舞伎や映画配給で知られる松竹が運営する新スペースで、スケルトンの外観から見える大きなふたつのカプセルは、かつて銀座8丁目にあった建築家・黒川紀章の代表作「中銀カプセルタワービル」の一部なんです。

建物の完成当初、生き物の細胞が生まれ変わるように、カプセルは古くなったら一基ずつリプレイスすることを想定していました。しかし実際には一部のカプセルが交換困難だったことなどから交換は実施されず、老朽化により2022年に惜しまれつつ解体。解体工事の際、松竹はオリジナルの内装を保持した状態のカプセルと、内装を取り払ったスケルトン状態のカプセルを取得し、保管をしていたのだそう。
「東劇ビルに本社を構える東銀座エリアを日本文化の発信拠点にしようとしていた松竹は、新しく始めるスペースのキーとして、東劇ビルと同時代である1975年竣工で近郊エリアを代表する建築物の中銀カプセルタワービルのカプセルを取得しました。古い建物をただ保存するのではなく、地域の中で過去から未来にかけて継続して文化の醸成に寄与し続けてきた松竹だからこそできるカプセルの活用法があると思い、保存・再生プロジェクト様にコンタクトさせて頂きました。」と松竹株式会社不動産本部の藤井さんと山﨑さん。
今回、「日本文化の伝統を継承、発展させ、世界文化に貢献する」という松竹グループのミッションのもと、東銀座エリアを日本文化の発信拠点として発展させるべく実験的な取り組みとして、歴史的建築物に新たな命が吹き込まれました。


伝統と現代の新たな接続方法を生み出す“実験場”に

「SHUTLのスペースレンタルを検討していただいているクリエイターの皆さんへは、ここでしかできない表現をやっていただきたいと考えています。実際にカプセルを使って企画を行う経験はなかなかない機会だと思いますので。様々な条件にあわせて、私含めSHUTLチームで誠心誠意サポートできればと思います」とスペースマネージャーの黒田さん。

空間には自然光が差し込み、ギャラリーと東銀座の街とがシームレスにつながっている印象を受けました。駅からのアクセスもよく、ふらっと気軽に立ち寄れるアートスポットとして親しまれそうです。スペースマネージャーの黒田さんは、「SHUTLは様々なモノ・コトの実験場をコンセプトとした場所ですので、SHUTLがお客様にとって何かと初めて出会うきっかけをつくる場になれたらと思っています。自主企画でもレンタルでも、ここでしか出会えないコンテンツに注目し楽しんでいただけたらと考えています」 とのこと。

かつて居住空間だったカプセルは、現代の作家によって新解釈される表現の場に。これからさまざまなアーティストとのコラボレーションによって、既成概念にとらわれない自由な表現が広がっていきそうです。
オープニング展は「伝統のメタボリズム~言葉と文字~」








2010年からSNS上で匿名のアーティストとして活動し、泣き笑いの絵文字を用いた代表作《The Laughing Man》(画像左)をはじめ、さまざまなメディアを駆使したコンセプチュアルアートで国内外から注目を集める松田将英さん。
最後にSHUTLのロゴデザインをはじめ、関西から日本のみならず世界にその存在感を発揮している新進気鋭のデザイナー三重野龍(画像右)さん。これら3組のアーティストが、今回のテーマに応答した作品を発表します。
週末のお出かけは、伝統と現代アートの新たな出会いに思いを巡らせてみませんか?
SHUTL(シャトル)
住所:東京都中央区築地4-1-8(東劇ビル隣)アクセス:東京メトロ「東銀座駅」5出口・徒歩3分、東京メトロ「築地駅」2出口・徒歩4分問い合わせ先:03-5550-1567公式サイト:https://shutl.shochiku.co.jp/
Instagram:@shutl_shochiku
Facebook:@shutl.shochiku
X(旧Twitter):@shutl_shochiku展覧会 DATA
SHUTLオープニング展示シリーズ 第1期「伝統のメタボリズム~言葉と文字~」出展作家:最果タヒ+佐々木俊、松田将英、三重野龍会期:2023年10月13日(金)~11月5日(日)開廊:13:00~19:00(月・木・金・土・日・祝)休廊:火・水入場料:無料※展示・イベント最終日は17時まで
※企画内容によって時間変更あり
※年末年始はCLOSE
※施設メンテナンス等で臨時休廊あり
