紙の表面に塗る原料の一部に米を採用！ 鮮やかな発色で環境にも優しい「kome-kami 浮世絵ホワイト」

株式会社ペーパルが「kome-kami 浮世絵ホワイト」を開発しました。米を使った塗工液「コメグロス」を表面に施した紙です。2024年3月から販売が開始され、薬品を減らすことでのCO2削減と資源循環への貢献が期待されています。

【目次】

米を活用することで環境に配慮

一般的に紙（塗工紙／微塗工紙）の表面には強度や発色を高めるための薬品が塗られています。「kome-kami 浮世絵ホワイト」では、その一部の薬品の代わりに米由来の塗工液「コメグロス」が採用されました。

ペーパルが展開している「kome-kami」は、フードロス問題や子どもの貧困問題に向き合うブランドです。さらに、食用以外での米の需要促進にも取り組んでいます。「kome-kami 浮世絵ホワイト」のアイデアは、「米を表面に使えないか」という発想のもと2020年から構想されていたそうです。

化学薬品を「コメグロス」に変えることで、1ロット（6トン）の紙の製造でのCO2排出量は、約104kg削減されます。これは、約12本の杉の木が1年間に吸収する量に相当します。

ラインナップには強度がある厚めの規格も含まれるため、冊子はもちろんパッケージなどでも活躍できる紙です。

「kome-kami 浮世絵ホワイト」の規格寸法連量（kg）坪量（g/㎡）厚み（mm）菊判93.51570.23L判215.52450.35290.53300.47310350受注生産350400受注生産※紙の目（流れ目）はいずれも横目（Y）

新時代の “ジャポニズム” を目指した紙

紙の名前のうち「kome-kami」はブランド名であるとともに、“米の紙” であることが分かります。それでは「浮世絵ホワイト」の名前はどこから来たものでしょうか？ そこには「日本発の温故知新な素材として、サステナブル時代の “ジャポニズム” を起こし、未来のデザインに新たな表現力と可能性を広げたい」という願いが込められています。

江戸時代に隆盛を極めた日本の浮世絵は、鮮やかな色彩で人気を集め、国内のみならず世界中の芸術家にもインスピレーションを与えました。今回の「kome-kami 浮世絵ホワイト」は、その “ジャポニズム” の伝統を受け継ぎ、現代の印刷や加工に合う形で再発明されています。はっきりとした白さや美しい発色が特徴で、光沢のある表面に “上品な煌めき” が見られます。

2020年からテストを繰り返して量産化に成功

2020年からスタートした「kome-kami 浮世絵ホワイト」の開発では、“紙に米を塗る” という挑戦に対して多くの課題がありましたが、テストを繰り返して最適な手法が編み出され、量産化が実現されました。米とパルプを一体化させた原料を薄く引き伸ばし、表面に「コメグロス」を均一に塗ることで耐久性や印刷特性が付与されます。

米とパルプを一体化させて引き伸ばし、表面に塗工してカットする製造工程もともとペーパルは1890年（明治23年）に奈良県で創業した企業で、130年以上にわたる紙の販売を通じて日本の紙の文化を支えてきました。「kome-kami」以外の “フードロスペーパー” の開発も手掛けており、「クラフトビールペーパー」「momi-kami コートボール紙」「vegi-kami にんじん」を開発しています。脱炭素に貢献する紙ゼロCO2ペーパーも販売中です。

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SDGs・環境への配慮は、現代においてどの分野でも重要なテーマですが、特に印刷にまつわる仕事では森林伐採などを伴う “紙のエコロジー” に注目が集まっています。ペーパーレス化も非常に効果的な対策ですが、それでもやはり、アナログの紙の文化が廃れてしまうのは寂しいものです。

紙の文化を残すためにも、印刷関連の仕事に携わる者はデザイナーも含めて「自分には関係ない」と考えるのではなく、日頃から環境配慮への意識を高めておくことが重要でしょう。その意味でも、今回の「kome-kami 浮世絵ホワイト」は注目しておきたい取り組みです。

株式会社ペーパル
URL：https://foodlosspaper.com/kome-kami

2024/03/06