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もう10年も前のことか。筆者はTBSの会議室にいた。
「すみません、白髪で背の高いじいさんが、これから僕はここで会議だってワケの分からないことを喋ってるんです」
「部屋は確かに予約しましたから動かなくて大丈夫です」
何か、いやな予感がしてドアの外に出てみた。外に出た途端あやまった。
「すみません、直ぐ部屋を動きます。どうぞこちらにはいって、おかけ下さい」
白髪で背の高いワケの分からないことを喋っているじいさんとは永六輔さんだったのである。若いADは5人とも、永さんを知らなかったのだ。
【参考】<放送作家40年・日本コント史の裏側>「ひょうきん族」と「全員集合」は視聴率争いなどしていなか
すぐさまラジオ局に連絡を取らせて、永さんが間違ってやって来た部屋をラジオ局の打ち合わせ場所に変更するようお願いした。ラジオ局は我々に平身低頭であった。
ところで、永さんといえば、インタビューを編集されるのが大嫌いだった。筆者もインタビューをお願いしたことがあるが、その時も、
「それは何秒使うのか? 15秒なら15秒ぴったりで喋るから取材は15秒で終わってくれ」
と言われた。
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