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『サンデーモーニング』は、唯一毎週視聴率ベスト20に入る、TBSにとって橋頭堡とも言える番組だ。スタッフも優秀な人が集まっていることが感じられて、リベラルの筆者にとっては、毎週かならず見る番組の一つになっている。
「私達が(テレビで放送される)スポーツに心惹かれるのはなぜでしょうか」
筆者は、なぜだか嫌あな予感がした。これに端的に答えれば答えは一つしかない。
「スポーツにはうそがない。ほかのテレビの番組はうそばかりだ」
視聴者はもう、テレビの嘘に飽き飽きしている。だから嘘のない(もしくは少ない)スポーツを見るのだ。だから、ラグビーワールドカップの日本×南アフリカは41.6%もの視聴率を取るのだ。テレビ屋は反省しなければならない。
とまあ。
[参考]ウッチャンナンチャンMCが木村拓哉を超えた瞬間
今は都市伝説の一つとして否定されている話も登場した。1984年8月のロサンゼルスオリンピック柔道男子無差別決勝。山下泰裕と対戦したラシュワンが、山下の負傷していた右足を攻めなかったという話だ。ラシュワンは山下の右足を狙った。スポーツマンなら相手の弱点をつくのは当然だ。山下自身もこれについて「ラシュワンは決して、卑怯な手段を使っていないし、そもそも、ケガしたところを狙うのは立派な戦略である」と語っている。これはちょっと調べれば分かる話である。教訓は美談は疑えか。
結局この日のVTRの主張は「スポーツにはフェアプレイ精神があるから、皆心惹かれるのだ」というものだったように筆者は感じた。
『サンデーモーニング』は、コメンテーターに十分な時間をとって話させるところが魅力の一つだが、この日のコメントは何か皆あっちこっちに話が飛び、ちぐはぐだった。何を語らせた以下の方針ができていないからである。
ただ、中で一つ注目したのは、毎日新聞の元村有希子論説委員が言った、「公平と平等は違う」というコメントだった。「風をよむ」は、せめて、「公平(fair)と平等(equality)」くらいまで、踏み込んだテーマにして「風をよんで」ほしいと思いながら見終わった。