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ウクライナでいま最も大切なことは即時停戦を実現すること。人命を守ることを最優先するべきだ。
第一は、イラク戦争とウクライナ戦乱における報道の相違。
第二は、今回の戦乱に至る経過。
第三は、ゼレンスキー大統領と支援者であるロコモイスキー氏の関係。
「力による一方的な現状変更」は認められない。紛争を武力によらずに解決することを基本に置くべきだ。しかし、この基本を逸脱して武力行使が行われてきたのは今回に限らない。
代表事例として比較しなければならないのは2003年のイラク戦争。
このイラク戦争の際、西側メディアはイラクの各地に対する米軍等によるミサイル攻撃などを報道し続けた。イラクの側から、市民が犠牲になっているとの報道は皆無に近かった。
第二の問題は、今回の戦乱が発生するまでの経緯。
ウクライナでは2004年と2014年に二度、政権が転覆されている。このことについての事実経過を知るには、オリバー・ストーン監督のドクメンタリー映画『ウクライナ・オン・ファイヤー』を視聴することが必須だ。ウェブ上で閲覧できるから、ぜひご高覧されたい。2004年の政権転覆で親ロ政権が破壊され、反ロ政権=親欧米政権が樹立された。大統領に就任したユシチェンコ氏の妻は米国国務省勤務経験者である。米国と直結する工作員と言えるサハシヴィリ氏とも極めて関係が近い人物。米国が背後で糸を引いた政権転覆であったと考えられる。
ところが、2010年の大統領選で親ロ派のヤヌコヴィッチ氏が大統領に選出される。
合意形成にはドイツ、フランスも関与した。ミンスク合意は国連安保理で決議され、国際法の地位を獲得した。2019年に大統領に就任したゼレンスキー氏は東部の平和確立を公約に掲げたが、大統領就任後にミンスク合意を踏みにじる方向に転向した。ミンスク合意を踏みにじり、ロシアと軍事対決する方向を鮮明にした。その結果として今回のウクライナ戦乱が発生している。そのゼレンスキーの最大の支援者がウクライナ・オリガルヒのイホル・コロモイスキー氏。このコロモイスキー氏がウクライナ極右勢力最有力支援者の一人。
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