【かぶオプコラム】
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第8回:暴落をチャンスに変える投資家必見のテクニック
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「このコラムでは、株式投資をより効率的にしてくれる仕組み『かぶオプ』について連載でお伝えしてゆきます。」
かぶオプコラムの連載も、早いもので第9回を迎えました。今回は、これまでお伝えしてきたかぶオプの基礎知識をまとめてみましょう。
そもそも「かぶオプ」とはどのような商品なのでしょうか。一言でいえば、「株式投資の効率を高めたり、リスクをヘッジしたりすることを可能にする商品」と言えるでしょう。かぶオプが無くても株式投資は可能ですが、かぶオプがあると株式投資の可能性はさらに広がります。
もう少し詳しく説明すると、かぶオプは「コール」と「プット」の二種類に大別されます。コールとは、「将来のあらかじめ決められた日(=取引最終日)に、あらかじめ決めておいた株価(=行使価格)で株を買うことができる権利」のことです。
したがって、「コール」と一言で言っても、「どの株を対象としたコールなのか?」「行使価格はいくらか?」「いつの最終日に株が買えるのか?」によって別々の銘柄として扱われます。例えば、「トヨタ自動車の10月限行使価格2,400円のコール」もあれば、「ソフトバンクグループの12月限行使価格8,500円のコール」もあります。これら多数のコールが個別株と同じように市場で取引されています。
コールを買い持ちしていれば、前もって決めた値段で将来株を買うことができるので、対象となる株の値段が上昇すると、コールもより高い値段で取引される傾向があります。
例えば、「トヨタ自動車の10月限行使価格2,400円のコール」は9月11日にトヨタ自動車の株価が2,400円台のころには、1枚あたり75円ほどで取引されていましたが、翌日9月12日にトヨタ自動車の株価が2,500円に上昇すると、コールも130円ほどに値上がりしていました。仮に、9月11日にこのコールを1枚75円で買って、翌日に130円で売っていれば、利益は5,500円(= (130-75)×100株))です。
このコールを1枚75円で買うのに必要な代金は7,500円(= 75円×100株分)ですから、トヨタ自動車の株を100株買うよりもずっと少ない金額で、トヨタ自動車の値上がりに連動した利益を得られたことがわかります。
一方、「プット」は、コールとはちょうど逆のような性質をもつ商品です。プットとは、「取引最終日に、行使価格で株を売ることができる権利」のことです。プットにもコールと同様にたくさんの種類があり、例えば、「任天堂の9月限行使価格7,500円のプット」もあれば、「三菱UFJフィナンシャル・グループの10月限行使価格1,450円のプット」などがあります。
■図9-1かぶオプの銘柄
プットを買うのは、このあと株価の下落が予想される場合です。プットを買い持ちしていれば将来決めた値段で株を売ることができるので、すでに株を保有している場合に保険としてプットを買っておくという使い道もありますし、対象となる株の値段が下落すると、プットも値上がりするので、その性質を利用してプットを単体で取引することもできます。すなわち、リスクヘッジにも活用でき、一方で効率的な投資にも活用できるというわけです。
例えば、「日本製鉄の10月限行使価格3,000円のプット」は9月3日に日本製鉄の株価が3,200円台のころには、1枚あたり24円ほどで取引されていましたが、翌週9月11日に日本製鉄の株価が2,900円台に入ると、プットは5倍以上に値上がりし、140円ほどになっていました。仮に、9月3日にこのプットを1枚24円で買って、140円で売っていれば、利益は11,600円(= (140-24)×100株))です。個別株が一週間で5倍の値段になることは珍しいことですが、かぶオプが数日で数倍の値段に跳ね上がることはよくあることです。
以上の話を整理すると、以下のようになります。
(1)かぶオプは、株を買う権利の取引であるコールと、株を売る権利の取引であるプットの二種類に分かれている。
(2)コールを買って保有していると、取引最終日にその権利を行使して、あらかじめ決めた行使価格で株を買うことができる。一方、プットを買って保有していると、取引最終日にその権利を行使してあらかじめ決めた行使価格で株を売ることができる。したがって、株価の値上がり・値下がりに対する保険としてかぶオプを活用できる。
(3)コールもプットも、取引最終日までの間に途中で転売することができるので、株と同じように値上がり益を狙うことができる。
(4)ある個別株について、その株を100株買うよりも、その株100株分のかぶオプを買うほうが少ない資金で買うことができるため、資金効率よく株価の騰落に連動した収益を狙うことができる。
このように、かぶオプにはたくさんの魅力があり、米国などでは多くの株式投資家が、かぶオプも活用しながらより高い収益を実現したり、リスクヘッジをしています。日本でも徐々にかぶオプの取引高は増えてきており、これからも市場の拡大が期待されています。ぜひこの機会にかぶオプ取引にも挑戦してみてください。
次回からはかぶオプを使った面白い戦略をご紹介してゆきます。引き続きどうぞお楽しみに。
(株式会社シンプレクス・インスティテュート)
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