【かぶオプコラム】
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【かぶオプコラム】第15回:無限の可能性を持つ「かぶオプ」戦略 | 東証マネ部!
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新年度に入り、米トランプ政権が発表した高関税をきっかけに大荒れの相場が続いています。最近投資を始めたばかりという方は、未曽有の事態に驚かれていることでしょう。
連載の第1回は、稀代の相場師、本間宗久の格言を取り上げます。本間宗久は、出羽庄内(現山形県酒田市)出身の江戸時代の米商人で、米相場で現在の金額にして1兆円以上を稼いだとも言われる人物です。現代でいうところのテクニカル分析の先駆者とされています。そんな宗久が書き残した相場秘伝が『宗久翁秘録』です。米相場での値動きや相場哲学、投資の心得を書いたもので、江戸時代の書物でありながら現代の投資にも通じるところが沢山あります。「もうはまだなり、まだはもうなり」などの定番の格言も記されています。
そんな宗久の格言の一つに、「十人が十人片寄るときは決してその裏くるものなり」があります。現代語訳すれば、「十人中十人がみな同じ方向の相場感に傾いたときは、必ずその逆が来る」という意味です。
どうしてこのような格言が意味を持つのでしょうか。相場の誰もが株を買いに走ったら、次は何が起こるでしょうか。もう買う人が続かないので、買った株を誰かが売り始めます。すると高い価格で買った人たちは、後を追って売り始めるはずです。すると今度は全員が売るという状況になってしまいます。このように、「十人が十人片寄るときは決してその裏くるものなり」という格言は、ただの経験則ではなく、人々の行動を極めて合理的に説明したものなのです。
今年4月の相場でも、まさにこの格言を思い出すべきでしょう。不安心理が一方方向に相場を突き動かして毎日大幅に上下していますが、もはやこれはファンダメンタルズでもなんでもなく、まるで鳥の群れが一斉に飛び立つような“群集心理”です。このような時は、売られ過ぎたり買われ過ぎたりして、行き過ぎたのちに反転することが多いので、逆張りが有効なことも多々あります。
とはいえ、連日2,000円も日経平均が動く中で、多くの人の動きに逆らって逆張りをするのは恐ろしいですね。
4月7日に日経平均は前日比-2,644円と大幅に下落しました。これは、米国の相互関税や、中国による報復関税などを受けて景気後退を懸念しての動きです。一方、翌日4月8日には関税の一時停止の話題から一気に買い戻されて、終値は前日比+1,876円の33,012.58円でした。両日とも、値動きが極端です。そこで宗久の格言、「十人が十人片寄るときは決してその裏くるものなり」を思い出し、4月8日の午後に、プットオプションを買ってみたとしましょう。
ここでは例として、三菱商事(8058)の4月限行使価格2,300円のプットの取引をみてみます。4月8日の午前中、三菱商事の株価は2,500円前後で推移していました。
さて、翌日4月9日、再び株価は急落し、三菱商事の株価は後場には2,400円前後で推移し、終値は2,404.5円(前日比-61.5円)でした。この日、同じく後場にプットは12.8円で取引されていました。仮に12.8円で転売したとすれば利益は7,800円、わずか1日で156%の収益率です。
このようにオプションの買いは損失限定なので、逆張りをしたいときにも安心して取り組むことができます。過熱感が感じられるときなどには、逆方向に動くことも念頭に、オプションを買ってみてはどうでしょうか。もちろん、こうした成功はタイミングと判断がうまく合致した結果であり、常にこうなるとは限りませんから、オプションの価値がゼロになることもありますので、少額にしておくなどの注意は必要です。
ちなみに、宗久の格言と通じる意味をもつものとして、「人の行く裏に道あり花の山」ということわざがあります。こちらは千利休の句で、下の句は「いずれを行くも散らぬ間に行け」と続きます。
(株式会社シンプレクス・インスティテュート)
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