「虫食いの野菜は無農薬栽培の証拠でおいしい」という説を耳にしたことはありませんか? 虫に食われた野菜は無農薬栽培の証拠になるのでしょうか。園芸病害虫防除技術研究家で農学博士の根本 久(ねもと・ひさし)さんに伺いました。


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虫食いだから、無農薬栽培とは限りません。同じ農薬を使いすぎる畑では、特定の虫の害が逆に増えることがあります。それは、害虫に農薬への抵抗性がついたため。さらに、害虫を食べてくれる天敵も農薬によって死んでいるので、野菜が虫に食われやすくなります。貸し農園など広い敷地で、みんなが同じ農薬を常に使っていると、この問題が起きるかもしれません。
「虫食いでも無農薬栽培の野菜はおいしい」もウソ。
虫食いなのはチッ素肥料が多すぎた証拠で、チッ素分が効いた野菜はえぐみが出て、あまりおいしくありません。
■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2021年12月・2022年1月号より