2020年、NEUT Magazineがイギリス発のメンタルヘルスのスティグマをなくすためのキャンペーン#IAMWHOLEに参画!
イギリスの南海岸に位置する海沿いの街ブライトンを拠点とするラッパーJordan Stephens(ジョーダン・スティーブンス)がNHS(イギリスの国民保健サービス)とYMCA(青少年の成長を願って1844年にロンドンで誕生した世界最大規模の非営利団体)と共に2016年に立ち上げた「#IAMWHOLE」(アイアムホール)キャンペーン。同キャンペーンは、メンタルヘルスへのスティグマ(差別や偏見の対象、ネガティブなイメージ)をなくし、誰もが自身のメンタルヘルスについてオープンに話せるような社会作りを目的としている。キャンペーンのインスピレーションとなった、2016年にスティーブンスがリリースしたMV「Whole」は60万人以上の人が視聴した。
Vol.2では、haru.、松㟢翔平、みたらし加奈、TaiTan、山本奈衣瑠にインタビュー
haru.
ーメンタルヘルスが優れないと思うとき/思ったときはある?それはどんなとき?もちろんあります。私は基本的に落ち込みやすくて、絶望しやすい。最近だと会社や仕事を安定させて結果を出さないと、と責任を感じることが多くて。悪いことでは決してないですけど、正直プレッシャーに負けそうになることもありますね。あと誰かが傷ついたり悲しんだりしている姿を見ると放っておけなくて、自分がどうにかしなくてはと思い込んでしまうんです。私が元気なときはいいけど、それが重荷になって疲弊してしまうこともあります。子どもの頃から、一番距離の近い友人たちは精神的に不安定な部分を持ち合わせていることが多かった。うつ病やパニック障害、摂食障害のことも友人たちに教えてもらいました。私からしたら自分も周りも、心が優れない日があることのほうが普通です。さっきまで楽しく笑っていたかと思えば、誰かの心ない一言で泣いたりとか。

ー普段からメンタルヘルスのためにしている習慣はある?お散歩は好きです。朝7時頃に起きて、radikoで荻上チキさんの『Session-22』とかTaiTanと玉置周啓くんのポッドキャスト『奇奇怪怪明解辞典』を聴きながら早歩きで1時間歩く。これはステイホーム中に習慣になりました。「目の前にある道を踏みしめて前進することだけが目的だ」、と体が勝手に余計なスイッチを切ってくれる感覚なんです。ラジオの中で話されている内容にもめちゃくちゃ集中できるから不思議。家の中にいると考えごとが絶えないし、仕事のLINEやメールに追われながら休憩中になんとなくSNSとか見ていると、摂取したい情報とそうでないものがごちゃ混ぜになって、結局何も入ってこない。そういうときの軽い運動は身をもっておすすめできます。
haru.
1995年2月生まれ。プロデュース事業・アーティストやクリエイターのサポート事業を行う株式会社HUGの取締役であり、インディペンデントマガジンHIGH(er)magazine編集長。HIGH(er)magazineでは「私たち若者の日常の延長線上にある個人レベルの問題」に焦点を当て、「同世代の人と一緒に考える場を作ること」をコンセプトにファッション、アート、写真、映画、音楽などの様々な角度から切り込む。最近ではHUG inc.プロデュースで、「ご自愛」をテーマに日々の生活にそっと寄り添ってくれるようなシアバター「HUG “EASY CARE BUTTER” (ハグイージーケアバター)」をはじめとするアイテムをリリース。NEUTでのページはこちらから
松㟢翔平

ーメンタルヘルスが優れないと思うとき/思ったときはある?それはどんなとき?朝起きて、ああ、今日はなんだか少し変だなと思う日がたまにあるが、そういう日は体調も優れないことが多い。果たしてどっちが先に立つのかは分からないのだけれど。ーメンタルヘルスが優れないなと思ったときはどうしている/どうしていた?体調を整える方が簡単なので、仕事が休みならばとことん寝たり、ご飯をちゃんと食べる。普段と変わらず過ごしてみることも意外と良かったりする。朝起きたら駒沢公園でランニングをして、帰ってきたらシャワーを浴びて、サラダを作って食べ、着替えて仕事に行く。
ーSNSは国や文化を超えて人と繋がれたり、マスメディアでは取り上げられない声が広がったりといい面もありながら、逆に孤独を感じてしまうなどマイナスな面もあると思います。SNSをヘルシーに使うために何か意識していることはある?自分は1日の間でもそんなに長時間SNSを見ないから、特にSNSのマイナス面を強く感じたことがない。

ー普段からメンタルヘルスのためにしている習慣はある?俺は身体を動かすのが好きなので走ったりバスケをしたりすることが精神衛生を保っている気がしている。そして胃にもたれないものを食べる。ー自分自身とのヘルシーな関係(セルフラブ)を築くうえで大切なことってなんだと思う?俺はずっと螺旋階段を登っているんだという気持ちでいる。淡々と送る1日1日は、それでも何か野望へと近づいていると思っています。それはいつか面白い映画を作るということだったり、犬と一緒に暮らすということだったりするのですが。
松㟢翔平
松㟢翔平 Shohei Matsuzaki まつざき・しょうへい埼玉県生。俳優、モデル、コラムニスト。東京と台北で生活している。編集人・長畑宏明と一緒にポッドキャスト『HAPPYDAYS 松㟢翔平の楽しい日々』を配信中。mail : matuzakishouhei@gmail.com

みたらし加奈

ーメンタルヘルスが優れないと思うとき/思ったときはある?それはどんなとき?なんとなく「自分らしさ」が失われているように感じるとき、またゆっくり休息が取れなかったときにメンタルヘルスの不調を感じます。また気圧が不安定なときには頭痛や身体の怠さを感じるので、それに伴って気分が落ち込むこともあります。表に立って活動することが多いので、つい「強くてパワフルな自分の一面」に意識がむきがちですが、そればかりに囚われてしまうと心が苦しくなってしまうため、自分のなかにある「弱くてくよくよしてしまう一面」にも意識的にアンテナを張るようにしています。ーメンタルヘルスが優れないなと思ったときはどうしている/どうしていた?心が凝り固まってしまっているときって、どうしても「素直になれない自分」がいるので、出来る限り「素直で頑張っていない自分」を引き出せるような行動をとっています。例えば「休む!」と決めて、ひたすら自分を甘やかします。また、涙を流すと心が浄化された気持ちになるので、泣ける映画やドラマを見るときもあります。涙を流すときは、ああえて大きな声で泣くことで、心が安定することも。あとはパートナーにひたすら話を聞いてもらうことも多いです。
ーSNSは国や文化を超えて人と繋がれたり、マスメディアでは取り上げられない声が広がったりといい面もありながら、逆に孤独を感じてしまうなどマイナスな面もあると思います。SNSをヘルシーに使うために何か意識していることはある?あくまで「私がSNSを”利用”している」という立場を崩さずに、「SNSに振り回されないこと」を意識しています。常に持ち歩いているスマートフォンの中には、私たちの生活に役立つことや、世界中の情報が常に流れています。ただ、それを見続けたからと言って自分の人生が必ずしも豊かになる…とは考えてはいません。情報はあくまで情報であって、人生とは自分が実際に触れたり、見たり、実感してきた体験によって作り上げられている部分もあります。SNSはSNSで上手く活用し、利用しながらも、疲れたときにはアプリを消して、スマートフォンを見ずに「今の私自身」にフォーカスを当てるようにしています。
ー普段からメンタルヘルスのためにしている習慣はある?「教育分析」といってカウンセラー自身のカウンセリングをしてもらえる機会があるのですが、そこに3年間、週に1度のペースで通っています。語学留学に行っているときは一旦中断になったのですが、それでも一時帰国をした際には必ず通っていました。自分自身がクライアント(カウンセリングを受ける側)になることによって、「受ける側はこんな気持ちなんだな」と学ぶことも多いです。なので、私のカウンセラーのことを、敬愛を込めて「師匠」と呼んでいます(笑)。カウンセリングを受けることによって、自分自身の知らなかった一面に気付くことができたり、「こういったときに私は傷つくんだな」という部分を知ることができるので、これからも通い続けていきたいと思っています。あとは上記にも書いたように、必ず定期的に「とことん休む!」という日を決めています。休息は身体や心にとっても、本当に大切な時間の一つ。その日だけは一切仕事関連のことはしないようにして、ニュースや情報にもあまり触れないようにしています。ー自分自身とのヘルシーな関係(セルフラブ)を築くうえで大切なことってなんだと思う?等身大の自分自身を知ることだと考えています。「等身大の自分自身」とは、”出来ている自分”も”出来ていない自分”も把握して手綱を握っておくことです。人にはコンディションというものがあって、「良いとき」も「悪いとき」もあります。その2つがあって、私自身、そしてあなた自身も構成されてるんです。「出来ない自分」を疎外させずに、その事実を”受け入れがたい”自分自身についても分かっておくことが必要だと考えています。例えば誰かと自分を比べてしまうときも、「なんで比べてしまうんだろう、自分のどういった側面が”それ”をさせてしまうんだろう」と、自分自身を責めずに受容していくことがセルフケアの第一歩。セルフラブとは「自分の全てが大好き!」な状態ではないと思うので、ポジティブな感情もネガティブな感情も「私らしさ」として知っておくことが大切だと考えています。
みたらし加奈
1993年、東京都生まれ。臨床心理士。SNSを通して、精神疾患の認知を広める活動を行なっている。大学院卒業後は、総合病院の精神科にて勤務。現在は、フリーランスの活動をメインに行っている。女性のパートナーと共に「わがしChannel」というYoutubeチャンネルを運営。6月30日には初のエッセイ『マインドトーク-あなたと私の心の話』を出版。性暴力や性的同意についての情報発信をするメディア『mimosas(ミモザ)』の理事。NEUTでのインタビューはこちらから
TaiTan

ーメンタルヘルスが優れないと思うとき/思ったときはある?それはどんなとき?
時間の決裁権が自分にない状態が続くとき。生き物としての背骨を強引に拘束されているような苦痛が・・。めちゃくちゃわがままなんだと思います。ーメンタルヘルスが優れないなと思ったときはどうしている/どうしていた?できるけどやりたくないことを、やらない。例えば、LINEのレスとか、残高照会とか、ティッシュの補充とか。全部、未来の自分に押し付ける。ーSNSは国や文化を超えて人と繋がれたり、マスメディアでは取り上げられない声が広がったりといい面もありながら、逆に孤独を感じてしまうなどマイナスな面もあると思います。SNSをヘルシーに使うために何か意識していることはある?僕は、TwitterとInstagramしかやってないので、その体験に限定されますが・・。Twitterに関しては、正論、批判、自虐、大喜利、ポエム、はたまた日常系のどうでもいいつぶやき等々、いろいろな言葉の表出があると思いますが、基本的にはいずれも、“書きたい”んじゃなくて、プラットフォームの磁場に“書かされている”のだと意識するといいのかなとは思います。発言する際も、他人のそれを読む際にも、所詮そんなものだと思える感覚が大事かなと。だから、僕は自分の過去の投稿とかめちゃくちゃ消すし、ちょっとでも不愉快に思ったアカウントはなんの他意なくミュートします。とにもかくにも、アカウントと実際の人格を混ぜずに不真面目に向き合うことは心がけてます。Instagramは、そもそもあんまり不愉快を感じることないので(逆にいうと面白さもまだほんとはわかってない)、なんも考えてないです!
ー普段からメンタルヘルスのためにしている習慣はある?
MONO NO AWAREの玉置くんとPodcastをはじめました。コロナ渦中、正論や嘆き以外を語る雑談場がほしくて勢いではじめたのですが、これがなかなか楽しく、今では毎週の欠かせない時間に。ラジオとも喫茶店のだべりとも、ましてや打ち合わせともまったく違う、無制限な時間が発信者(つまり僕ら)に与えられているPodcastでは、きちんとした議題も結末も用意する必要がないので、互いの無秩序な思考の流れに身を委ねられます。その会話のなかで、自分の無意識の発言に自分で驚く瞬間、ぼくはメンタルの回復を得ている気がします。ー自分自身とのヘルシーな関係(セルフラブ)を築くうえで大切なことってなんだと思う?自分の声を聞く。“心の声を聞く”的な観念的な心がけではなく、物理的に自分の生き物としての声を聞くこと。ちょうど坂口恭平氏も新著内で、「自分の声が最大の薬である」というふうなことを説いているのですが、声にはメンタルの治癒効果があると思います。その意味でも、自分の声を聞くには聞き手がいるととても楽なので、友人とPodcastはじめるのとてもおすすめ。TaiTan
奇奇怪怪明解事典|WIRED/TIRED with Dos Monos
1993年生まれ。ラッパー。Dos Monosのメンバーとして2018年にアメリカのレーベル・Deathbomb Arcと契約し、19年にファーストアルバム『Dos City』、2020年にセカンドアルバム『Dos Siki』を発表。コピーライター/プランナーとしても活動し、Dos Monos「Abletonトラック制作画面公開広告」やBudweiserの「RE:CONNECT」等を手掛ける。最近は音声コンテンツ制作にも注力し、MONO NO AWARE 玉置周啓氏とのPodcast『奇奇怪怪明解事典』やWIREDの音声連載『WIRED/TIRED with Dos Monos』を担当。NEUTでのページがこちらから
山本奈衣瑠

ーメンタルヘルスが優れないと思うとき/思ったときはある?それはどんなとき?私はどちらかというと心の精神状態が良いことの方が多い人間だと思います。だからこそ年齢を重ねていくなかで(二年前頃)突然現れた生理前のPMSや仕事が忙しすぎるときに良くない状態になったことなど、それに対する免疫や対処法が自分の経験にはないことだったので初めは戸惑いました。ーメンタルヘルスが優れないなと思ったときはどうしている/どうしていた?出来る限り自分を甘やかす。私の場合は生理や仕事の忙しさから来る場合が多いので、自分のせいなんだ。と思うことはやめる。自分の心の状況の原因や理由を自分で理解してあげるのは自分にしか出来ないし自分のためだと思いました。そして趣味の時間を存分に楽しんで好きなものたちだけに浸りまくります。
ーSNSは国や文化を超えて人と繋がれたり、マスメディアでは取り上げられない声が広がったりといい面もありながら、逆に孤独を感じてしまうなどマイナスな面もあると思います。SNSをヘルシーに使うために何か意識していることはある?自分の好きなもの(趣味や大切な時間)は自分を助けてくれるように日常のなかでそれを見つけてあげれれば自然とSNSに費やす時間も少なくなります。自分のことを知るということは自分を肯定してあげれることに繋がります。SNSでの孤独に限らず自分のことを知ることはどんなピンチも自分で自分を救える第一歩だと思います。
ー普段からメンタルヘルスのためにしている習慣はある?良いとき、良くないとき、楽しかったとき、むかついたとき、悲しかったとき、ワクワクしたとき全ての自分の心境をなるべく忘れないこと。メモ好きなので日々残して置いていろんな自分が自分のなかにいることを許す。ー自分自身とのヘルシーな関係(セルフラブ)を築くうえで大切なことってなんだと思う?自分の外見ではなくて自分の中身を自分で知ること。誰かとじゃなくて自分と話すこと。趣味の時間自分の好きなものは自分を助けてくれるものでもある。ラジオ、椅子、西洋絵画など私の好きなものたちはいつも私をワクワクさせてくれるし楽しませてくれます。
山本奈衣瑠
2014年~モデル活動2019年~所属事務所を辞めフリーランスで活動雑誌や広告CMなど幅広い分野で活動中NEUTでのインタビュー記事がこちらから

#IAMWHOLE
#IAMWHOLEとは、2016年の世界メンタルヘルスデーにイギリスの歌手・俳優のJordan Stephens(ジョーダン・ステファンズ)が設立した、若者を中心にメンタルヘルスに関する啓蒙を行う団体。「I am whole.」は、 「ありのままの自分で十分素晴らしい」という意味を持つ。自分自身を受け入れることの大切さを理解するのと同時に、自分が周囲の人も受け入れると言う考え方に対する賛同の証として、手の平に丸を描きSNSに投稿するキャンペーンを開始するやいなやバイラルし、エド・シーランやリアム・ギャラガー、ジェイムス・コーデンなどの著名人も参加し、1.2億人以上の人にリーチした。その後、毎年このキャンペーンは実施され、英国議会でも取り上げられるなど、イギリスをはじめとする各国で注目されている。ナチュラルコスメブランドラッシュが本キャンペーン限定のチャリティ商品としてバスボム「リアルライフ」を発売。売りあげの全額(消費税を除く)を世界中のメンタルヘルスケアに関わる草の根団体に寄付する。なお、チャリティ商品「リアルライフ」は、日本やイギリスなど計19カ国で発売されます。
デジタル・デトックス・キャンペーン
ナチュラルコスメブランドのラッシュが、8月29日(土)から世界メンタルヘルスデーにあたる10月10日(土)までの期間、#IAMWHOLE(アイアムホール)とイギリスのインフルエンサーZoe Sugg(ゾーイ・サグ)と共同でデジタル・デトックス・キャンペーンを実施しています。本キャンンペーンは、 使い方次第ではSNSやインターネットの依存や誤用が心身に悪影響を及ぼす可能性があることを伝え、SNSなどに影響されることなく、自分自身を受け入れ労わることの大切さを世界中に伝えることを目的としており、世界40ヵ国以上で実施されている。9月5日(土)をデジタル・デトックス・デーと定め、丸一日スマホなどのデバイスから離れ、SNSなどに支配されない、リアルライフや人とのリアルな繋がりの大切さを人々に呼びかけた。