人材業界に特化した経営支援サービスを提供する株式会社AOは、過去に転職経験のある20代~50代の男女522名を対象に「転職活動におけるAI活用に関する調査」を実施した。今回の調査では、全体の6割以上が「AIを使っていない」と回答する一方で、AIを活用した人の多くが、その有効性を認めている実態が明らかになった。
AIは「使っていない」が6割と限定的。一方で活用者の75.2%が「効率が上がった」と評価
調査によれば、「AIを活用していない」と答えた人は全体の65.33%となった。近年、生成AIを活用した文章作成や情報整理などの技術が急速に進化しているが、今回の結果からは、少なくとも転職活動という場面において、その浸透は限定的であることがうかがえる。
一方で、AIを実際に活用したと回答した人に対し、その効果について質問したところ、「効率がとても上がった」が28.2.%、「ある程度上がった」が47%となり、あわせて75.2%が肯定的に評価している。
AIをどのように活用したかを尋ねたところ、「企業情報の収集」(17.62%)、「履歴書・職務経歴書の作成」(15.71%)、「求人の自動推薦」(12.26%)と続き、情報収集や書類作成など、転職の準備段階での活用が中心であることがわかった。
「全て人にやってほしい派」「AIサポートを受け入れる派」の意見とは
さらに、「AIによる支援をどの業務に導入してもよいか」の質問では、「すべて人にやってほしい」と回答した人は、37.16%となった。
一方で、案件紹介(33.14%)、推薦文作成(27.01%)、キャリア面談(26.25%)、面接対策(22.99%)など、一部の業務についてはAIによるサポートを受け入れる傾向も見られた。
「AIに任せたくない」理由としては、「人にやってもらうほうが安心できる」「面談で直接話し合いをして決めたい」といった、AIの活用に対する否定的な意見もある一方で、「最終的には人にやってほしいが、絞り込みまではAIでもよい」「効率的に作業を進めるために必要と感じる」「聞きにくいことなどをフォローしてくれそう」「AIの方が相談しやすいし、的確だと思う」といった肯定的な意見もあった。
転職活動の中で負担の大きい作業や定型的な業務に関しては、AIに効率的にサポートしてもらいたいと考える傾向が強いと考えられ、AIの全自動化に対しては慎重ながらも、効率化や負担軽減を目的とした部分的な利用には積極的な姿勢が広がっている。
今回の調査を受け、人材業界に特化した経営支援サービス「AOメソッド」を提供する株式会社AO(本社:東京都文京区)の代表取締役社長・吉村直樹氏は、AIが転職市場に与える影響や今後の転職市場について、以下のように考察している。
AIの役割は、単なる効率化ではありません。人間が捉えきれない構造的なマッチング、提案の裏付け、判断の補強、これらを“静かに、しかし確実に”支える力があります。
求職者の意思決定は、スキルや条件だけでなく、「自分らしく働けるか」「共感できるか」といった感情要素にシフトしています。この変化に対応するには、AIですら“感情や想い”に寄り添う力が求められる時代です。テクノロジーと人間性の共存が、今後の支援の本質になります。
我々が提供する「AOメソッド」は、これまで属人性や暗黙知を取り除けないとされてきた人材紹介業界においてAIを用いるからこそ切り込める価値提供です。業界を担ってきたトップコンサルタントチームがもつ経験をベースに、個別スキルに頼らない最適な設計を、各社の文化に合わせたベストプラクティスとして構築。経営戦略から日々の業務改善、人材育成まで、事業全体を支えるソリューションを固有ニーズに合わせて提供します。
転職市場におけるAIは今後どう変化するか
今回の調査は、転職活動という個人のキャリアに深く関わる領域においても、AIが確実に存在感を増しつつあることを示すものであった。
現在はまだ「使っていない」層が多数派である一方、使用者からの評価は高く、未使用者も高い関心を寄せている。AIによる文章生成や情報収集、面接準備といった機能が今後さらに進化・一般化すれば、転職活動の在り方そのものが大きく変わる可能性もある。
テクノロジーとキャリア形成が交差する領域において、今後AIがどのような価値を提供していくのか。その動向から目が離せない。
________________________________________
調査概要
調査概要:転職におけるAI活用に関する調査
調査期間:2025年5月8日(木)~2025年5月9日(金)
調査方法:インターネット調査
調査人数:522人
調査対象:過去に転職経験のある20代~50代の男女
元の記事を読む