西日本有数のセロリ産地、岡山県総社市で農業を営む高越友紀さん。農業の担い手が減る中、この地で食べたセロリの味に心を奪われ、産地の味を守りたい!と縁もゆかりもない地に飛び込みました。
セロリの魅力をPRするため、インスタグラムで農作業の様子や採れたて野菜を使ったレシピを発信しています。就農してしまうほどにおいしいセロリとは、一体どんな味なのか!?高越さんに”セロリ愛”を伺いました。

【農家直伝】混ぜるだけでOK♪セロリ大量投入の「サルサ」作ってみた!シャキシャキ爽やかメキシカ~ン☆

イマドキ農業女子・高越さんが「セロリ栽培」を始めたきっかけとは

【農業女子インタビュー】経験ゼロ土地勘ゼロからのスタート!インスタで発信するセロリ愛と農業ビジョン‼


近年、農業現場で若い女性の活躍が目立ってきていますが、高越友紀さんも30代で就農した1人。
もともと高越さんのおばあさんが家庭菜園をしていて、幼いころに野菜や花を育てるのを手伝ったり、畑で遊んだりした思い出があり、農業にいいイメージを抱いていたそう。
ですが、本格的に農業をやろう!と決意したのは、社会人になってからだといいます。

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「大学は農学部でその後、JAに就職して6年。
農業に興味があったものの、自分が農家になるとは決めていなくて。でも勉強していくうちに、栽培のおもしろさにどんどん惹かれていきました。作物は手をかけて育てた分応えてくれるのが楽しいし、何より幼いころから祖母の姿を見ていて、自分も農業が好きだし、向いていると思ったんです」(高越さん)

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高越さんが背中を見て育ったという、大好きなおばあさん。

そこから高越さんは、農地とメインに育てる作物を探し始めました。

「まず決めたのは、地元の岡山県でやるということ。そして作るのは果物でも花でもなく、岡山県が特産の野菜ということ。
この2つを念頭にして探していたところ、総社市のセロリに巡り合い、これだ!と」(高越さん)

総社市は、高越さんにとっては縁もゆかりもない場所だったそうですが、6年前に総社市に移り住み、農業を始めたといいます。

知る人ぞ知るセロリの名産地、岡山県総社市

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岡山県は、「晴れの国おかやま」ともいわれ、温暖な気候と長い日照時間に恵まれ、桃やぶどうなどの果物をはじめ、さまざまな農作物が栽培されています。
その中でも総社市は、西日本有数のセロリ産地として知られ、40年ほど前は約100軒のセロリ農家があったとか。しかし近年は生産者が激減し、現在は高越さんを含めてセロリ農家は5軒ほどとなってしまっているそう。

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「わたしが農業をしているのは、総社市の山手地区なんですが、そこで育てられたセロリを初めて食べたとき、その品質のよさとおいしさに感動したんです。セロリは鮮度が命で、収穫した瞬間から水分が抜けていくため、このおいしさを味わえるのは産地とその近隣の地域だけ。
ここのセロリをなくしてしまうのは、もったいない!わたしが守りたい!と思いました」(高越さん)

メインに育てる野菜は決まったものの、セロリを栽培するのは初めての高越さん。周りの人に助言を仰ぎながら、新しい取り組みにも挑戦していきます。

露地育ちの「そうじゃWILDセロリ」を全国へ!

「セロリは、暑さにも寒さにも弱いので、冬から春にかけてセロリを育てるにはビニールハウスが必須。総社市ではハウス栽培が一般的です」(高越さん)

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ハウス栽培のセロリ

「でも始めたばかりの頃は、ビニールハウスを建てるお金もない。なんとか露地でも作れないかなと思って、一昨年から試験的に栽培を始めたのが、ハウスを使わない露地栽培です」(高越さん)

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露地栽培のセロリ

ハウスで栽培するセロリと違うのは、太陽の光、雨や風、昼夜や年間の温度差など、厳しい環境を与えて育てている点。ハウス栽培に比べてワイルドに育つので、「そうじゃWILDセロリ」と名付けて販売しているそうです。


【農業女子インタビュー】経験ゼロ土地勘ゼロからのスタート!インスタで発信するセロリ愛と農業ビジョン‼


「ハウス栽培のセロリは、マイルドな味わいが特徴ですが、露地のセロリは味が濃く、歯応えが段違い! 噛み応えはあるけれど、筋張っているわけではなく爽快な食感です。セロリ特有のクセもそこまで強くなく食べやすいと言ってもらえます。セロリが苦手という方にもぜひ食べて欲しいですね」(高越さん)

当初は作付けが少なかった露地セロリですが、今後はどんどん増やしていきたいとのこと。
「そうじゃWILDセロリ」が全国に知れ渡り、近所のスーパーで見かける日を待ち望んでいます!

良い野菜作りは、良い土づくりから

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「就農してから今までは、基本に忠実に肥料を入れていましたが、そろそろ見直す時期だなと」(高越さん)

高越さんが農業を始めたころは1袋1,200円だった肥料が、今では倍以上に跳ね上がるなど近年は農業資材が高騰。
それに加えて、野菜の販売価格は変わらず厳しい状況が続いているそうです。

「今まで通りのやり方では、農業を続けていくことができなくなるかもしれない。
だから、できるだけ化成肥料を減らしていきたいと思っています。土壌診断を活用して土の状態をちゃんと見える化して、足りない成分だけをピンポイントに与えたり、有機質肥料を積極的に選んだり…」

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「土の状態を改善して、野菜が肥料を吸いやすいようにするなど、土づくりについてしっかり向き合っていきます!」と、野菜作りにこれまで以上に情熱を注ぐ高越さん。

「良い野菜づくりは、良い土づくりから」と堆肥を取り入れるなど、日々努力を重ねています。

インスタグラムで農業の魅力を発信中!

そんな高越さんの農業ライフをより身近に知れるのが、不定期で投稿しているインスタグラムです。栽培の様子や高越さんが育てた野菜で作る料理、ときには農作業用のテンションのあがる服装などをキレイな画像と楽しい文字加工を施して発信しています。

この投稿をInstagramで見るメゾンやまて@晴れの国おかやまの野菜農家(@maison_yamate)がシェアした投稿
「インスタグラムは、自分の記録として残している部分もありますが、見てくれた人が農業や野菜にもっと興味を持ってくれたらと思って始めました。
ただ見てもらえるだけでもうれしいですが、インスタグラムでも積極的に交流していきたいと思っています」(高越さん)

高越さんが育てた野菜は、JA晴れの国岡山農産物直売所「旬感広場 晴れのち晴れ」や、農マル園芸 吉備路農園などのほか、不定期に開催されるイベントなどでも購入できます。出荷情報はインスタグラムのストーリーなどで配信中!

インスタグラムでは、高越さんが紹介するレシピを実際に作ったフォロワーの方のコメントもたくさん掲載されています。
セロリ愛が詰まった高越さんのインスタグラム、ぜひみなさんもチェックしてみてくださいね。

【農業女子インタビュー】経験ゼロ土地勘ゼロからのスタート!インスタで発信するセロリ愛と農業ビジョン‼
メゾンやまて高越友紀さんセロリが特産の岡山県総社市で、土地なし、機械なしのゼロから農業を始めて6年目。現在は、70a(アール)の畑で、セロリ、白菜、かぶ、カリフラワーなど季節の野菜約10品目を育てている。日々の栽培の様子や、野菜を使った料理のレシピをインスタグラムで発信中。高越さんが育てた野菜は、総社市内にあるJA晴れの国岡山農産物直売所「旬感広場 晴れのち晴れ」や、農マル園芸 吉備路農園などで購入できる。

●インスタグラム @maison_yamate
https://www.instagram.com/maison_yamate/