教習所の練習時に乗ったのが「CB400 SUPER FOUR」だった、という人も少なくないだろう。©︎Honda


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スニーカーの大定番がコンバースのオールスターなら、バイクのソレはホンダの「CB400 SUPER FOUR(スーパーフォア 。
以下SF)」で間違いない。

そんな希代の名車が、排ガス規制の問題から今年10月生産分をもって終了となるらしい。

1992年の登場以来、日本独自の400ccカテゴリーを牽引してきた「CB400SF」。その30年にわたる歴史をザッと振り返ってみよう。


デザイン、扱いやすさ、すべてが丁度いい

「CB400SF」は、現行の400ccクラスで4気筒エンジンを搭載する唯一無二の存在。普通自動二輪車免許で乗れるバイクの最高峰として君臨している。

その源流は、’74年に誕生した「CB400 FOUR(フォア)」にまで遡る。

さようなら!ホンダ「CB400SF」。生産終了となる名車の歴史をザッとおさらい

「ドリームCB400 FOUR」。当初408ccとして売り出されたものの、’75年に125~400ccまでの免許カテゴリーが設立されたことで、’76年に398ccの「CB400 FOUR-I」と「CB400 FOUR-II」が追加された。©︎Honda


当時、世界的大ブームだった英国スタイル“カフェレーサー”の流れを汲んで日本向けにアレンジされた本作。

“カフェレーサー”スタイルは、オンロードバイクが主流だった’60年台に、カフェの周りの小径を舞台に、いかに速く周回できるかを競うストリートレースが始まりとされる。

小回りの効きやすい操縦性とクラシカルで小粋なルックスは、現在でも旧車として人気だ。

さようなら!ホンダ「CB400SF」。生産終了となる名車の歴史をザッとおさらい



最大の特徴は4本の排気管を1本のマフラーにまとめた、当時としてはユニークな集合排気システム。


コイツがあらゆる速度域で充分なパワーを発揮し、街中から高速道路まで、どんなシーンでも快適に乗りこなせるバイクとして支持を集めた。

またスタイリングだけでなく、高速走行時におけるスムーズな制動力を発揮する前輪油圧ディスクブレーキをはじめ、スイッチ類を手元に集中させるなど安全対策にも配慮。

「CB400SF」が定番たる“扱いやすさ”の系譜は、こういった点にも垣間見える。
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最新の安全性能を携えて新世代ネイキッドの顔に

「4気筒エンジンを積んだ普通自動二輪車免許で乗れるバイク」というのは、非常に魅力的ではあったものの、大型の750ccバイクと生産コストがほぼ変わらない、などといった採算上の理由から、「CB400 FOUR」は登場からわずか3年で生産終了に。

時を経て、’92年に登場したのが初代「CB400SF」だ。

さようなら!ホンダ「CB400SF」。生産終了となる名車の歴史をザッとおさらい

当時としては個性的だったフォルムに最新の機能を融合させた新しいネイキッド・ロードスポーツバイクとして登場した「CB400SF」。©︎Honda


滑らかな曲線と面で構成されたボリュームのあるタンク形状や跳ね上がり気味のリアカウルからなるワイルドなデザインは、それ以前のネイキッドバイクのイメージを覆すような力強さを放っている。

エンジンは“4 in 1”の水冷直列4気筒。前述の「CB400 FOUR」同様、低・中回転域で走らせる普段使いでは扱いやすく、高速道路などの走行に必要な高回転域でも力強い走り味を実現。

それにより、「質実剛健で使い勝手良し」というパブリックイメージは、これ以降確固たるものとなった。

バイク乗りならご存知の通り、教習車としても広く採用されるようになったことで、免許取得後の最初の1台として選択した人も多いのではないだろうか。

さようなら!ホンダ「CB400SF」。生産終了となる名車の歴史をザッとおさらい

新世代のロードスポーツバイクとしてカラーイメージも一新した「CB400SF」。

©︎Honda


その後’99年にフルモデルチェンジを敢行。これが写真の現行最新「CB400SF」である。

ワイルドなルックスはそのまま、 ホンダ独自のバルブ制御システムであるVTEC技術をさらに進化させた「ハイパーVTEC」にエンジン機構をアップデート。

気筒あたりの作動バルブ数を低回転では2バルブ、高回転では4バルブとすることで、各走行シーンに最適なエンジンの出力特性を実現。燃料効率など機能面での向上が図られた。

またフレーム設計も見直され、従来モデルから定評のあったシャープなハンドリングをさらにブラッシュアップ。

完成度極まる希代のロングセラーバイクとして、現在まで広く親しまれることとなったわけである。

さようなら!ホンダ「CB400SF」。生産終了となる名車の歴史をザッとおさらい

高速走行を快適にするハーフカウルを搭載したモデルとして2005年に登場した「CB400SF ボルドール」。©︎Honda


排ガス規制が地球環境にとって大切な問題なのは百も承知。そうは言っても、憧れでもあり定番中の定番でもあった「CB400SF」が姿を消してしまうのは、この上なく寂しいものだ。
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