映画『キングダム2 遥かなる大地へ』が公開された。オーシャンズ看板モデルの平山祐介さんも蒙武役で出演しているが、何を隠そう平山さん自身、原作『キングダム』にどハマりしたひとり。


試しに思い入れのある武将や名シーンについて聞いてみたところ、見事に話が止まらない。そこで今回は、平山さんの”キングダム愛”を全3回でお届け。初回は、憧れの武将たちだ。

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※以下の内容は、コミックス版『キングダム』のネタバレを含みます。
[PROFILE]
蒙武役の平山祐介が語る『キングダム』の魅力。魂震わす名武将 BEST 3を熱弁!


平山祐介●1970年生まれ。オーシャンズ看板モデル。俳優としても活躍し、ドラマ『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日テレ系)、『今際の国のアリス』(Netflix)、映画『ミッドナイトスワン』など数々の話題作に出演。現在公開中の映画『キングダム2 遥かなる大地へ』では蒙武役を熱演した。


中華全体に甚大な影響を及ぼした秦の怪鳥

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そもそも『キングダム』とは……
7つの王国が中華の覇権を争っていた春秋戦国時代を舞台に、下僕の出である主人公、信(しん)が大将軍へと昇りつめるまでのストーリーを描いた作品。『週刊ヤングジャンプ』にて2006年に連載がスタートし、16年が経った今も熱狂的な人気を集める大河ロマンである。
編集部 まずは『キングダム2』の公開おめでとうございます!

平山 ありがとうございます!

編集部 今回は映画の公開を記念し、漫画も映画も含め、『キングダム』の魅力について語ってもらおうかと。

平山 『キングダム』すごく面白いですよね。登場人物が多くて、誰もが魅力的。
胸が熱くなりますし、思わず泣いちゃうときもある(笑)。

編集部 わかります(笑)。ではまず、平山さんのお気に入りの武将について語っていただけますか? 3人ほど厳選していただければ。

平山 もうめちゃくちゃ悩みましたよ(笑)。今もまだ迷っています。

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編集部 個性派揃いですからね(笑)。

平山 でも、まずはやっぱりこの人でしょう。

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編集部 秦の怪鳥、王騎将軍ですか。

平山 この人は外せないでしょう。秦の旧六大将軍のひとり、王騎。彼が活躍する馬陽(ばよう)の戦いは、まさに序盤のハイライト。信に多大な影響を与えた武将で、見た目も話し方もすごく個性的です。


編集部 たしかに、我の強い登場人物たちの中でも特に際立っています。

平山 武人としての強さもあれば、人望もある。回想シーンで他国の武将と酒を酌み交わす場面も出てきますが、そこで語れられる内容からも、いかに王騎が魅力的で、中華全土に名前を響かせた偉人だったのかが垣間見えますよね。

編集部 他国から誰よりも恨まれていたけど、同じだけ敬意も抱かれている印象ですね。

平山 序盤で退場したのに、コミックスの表紙を飾る回数も多い。蒙武なんて、まだ表紙を務めたのは一回だけですよ。あとは表紙をめくった……ここぐらい。しかもボロボロの状態です(笑)。

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編集部 さすが、チェックしてますね~(笑)。

平山 “ヤンジャン”が行った「好きな武将ランキング」でも、蒙武はすごく下位でした(苦笑)。なんとかこの映画に携わっているうちに、蒙武をベストテンに押し上げたい!

編集部 役に対する愛が滲み出ていますね(笑)。えーっと、そろそろ王騎の話に戻ってもらって……。


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平山 そうそう、王騎の話ね(笑)。常に飄々としていて、ただただ強い王騎ですが、婚約者だった摎(きょう)との関係性や、副官である騰(とう)との会話で見せるお茶目な部分など、随所に描かれる彼の人間性に触れるたび、人の厚みのようなものが感じられます。

編集部 なるほど、たしかに。

平山 だからこそ、主人公の信も王騎将軍に傾倒し、自分が目指すべき大将軍のイメージを彼に重ね合わせていったんでしょう。

編集部 王騎将軍との出会いによって、信もおぼろげながら抱いていた大将軍像の輪郭がハッキリ見えるようになったのかもしれません。信に与えた影響は計り知れませんね。

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信念を曲げず、ただ愚直に中華最強を目指す男

編集部 王騎に続いて、ふたりめは誰でしょう?

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平山 もちろん、蒙武です。なにせ演じさせていただきましたからね(笑)。

編集部 オファーがきたとき、蒙武がどんなキャラかは知っていたんですか?

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平山 当時はまだ『キングダム』を読んでいなかったので、知らなかったんですよ。『誰それ?』っていう感じ。で、調べてみたら顔が似てる……そういうことか! と思いましたね(笑)。

編集部 でも、蒙武もまた魅力的なキャラクターです。

平山 蒙武はなんの技も策も持たない力一辺倒の男だと、どこか小馬鹿されている節もありますよね。
それでもなお、武力が策略を凌駕することを自ら証明しようとしている。本来、決して力一辺倒で頭の悪い人間ではないんですけどね。

編集部 たしかに。

平山 現に、難度の高い戦術を操るシーンも見受けられますから。ただ、大半は真正面から力でねじ伏せようとする。自分が中華最強であることを証明するために。僕はそんな蒙武の愚直ゆえの刹那的な部分に惹かれてしまいますね。

編集部 作中で、もっとも不器用な男かもしれません。

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平山 人一倍、承認欲求が強いんでしょうね。序盤なんて特に。ただ、王騎と戦場を共にしたことで、彼の中に変化もありました。王騎以上に活躍すれば、それが格好のアピールになったのでしょうが、結果、足を引っ張ってしまう。
愚直、不器用だからこそ、その姿に悲しさを覚えてしまいます。

編集部 主人公の信ともクロスオーバーするところがあります。

平山 そうですね。まっすぐな頑張りが彼らの魅力だと思いますし、ただ一辺倒に突き進んでいく感じがちょっと自分自身にも被るところがあるなと。

編集部 そうですか?

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平山 僕自身、もう少し器用に振る舞えたらもっと売れてると思いますし、それができない歯痒さも日々感じてますよ(笑)。自分を信じてただ前に進むことしかできない感覚は共感できますよね。

編集部 策略を張り巡らしながら相手を陥れていく武将が多い中、彼のやり方は分りやすい。ただ、その背中には男らしさを感じます。まさに“漢”ですね。

蒙武役の平山祐介が語る『キングダム』の魅力。魂震わす名武将 BEST 3を熱弁!



平山 あんな背中を見せられたらもう惚れますよ。自分を信じて戦い抜くなんて、簡単にできることじゃない。それは今の時代でも言えることですよね。
どうしてもいろんな脇道に逸れ、ズルして相手を出し抜こうと考えてしまう。だからこそ、彼の生き方は眩しく映るんだと思います。
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自分にないものを持っている男

編集部 ここまで王騎、蒙武ときました。最後のひとりは?

蒙武役の平山祐介が語る『キングダム』の魅力。魂震わす名武将 BEST 3を熱弁!



平山 迷いに迷いましたが、桓騎ですかね。最初のふたりとは対照的だし、どのキャラクターと比べてもずば抜けて異質。何考えているかわからないのですが、だからこそ無視できない。

編集部 その突き抜けた残虐性から、賛否両論のある武将でもあります。

蒙武役の平山祐介が語る『キングダム』の魅力。魂震わす名武将 BEST 3を熱弁!



平山 非道を極めた人ですけど、側近たちからは絶大な信頼を得ている。その理由はどこにあるんだろうって思いますね。

編集部 現状、桓騎の本質がまったく見えてきません。

蒙武役の平山祐介が語る『キングダム』の魅力。魂震わす名武将 BEST 3を熱弁!



平山 このミステリアスな感じが、どうしても読者としては魅力に感じてしまう。気になってしまうんですよ。僕自身、彼のような要素はまったく持ち合わせていません。自分が持ってないものを持っていることへの嫉妬みたいなものですね。

編集部 なるほど、嫉妬ですか。

平山 側近が拷問を受けてバラバラの死体になって帰ってきたときも、その亡骸をなんともいえない目で見つめるじゃないですか。怒りもしなければ、泣きもしない。ただ黙って顔の一部分に触れながら、「この…大馬鹿野郎が」と呟く。その姿に震えましたね。

編集部 まだ描かれてはいませんが、桓騎の本質がこれから徐々に明るみになっていくのでしょう。

蒙武役の平山祐介が語る『キングダム』の魅力。魂震わす名武将 BEST 3を熱弁!



平山 でもきっと、"いい人でした~"みたいにはしないと思うなぁ。そんなふうにされたら「えっ⁉︎」て戸惑っちゃう。とはいえ、悲劇のヒーローみたいに描かれても、結局泣いちゃうと思いますけどね。

編集部 どういう感情ですか?

平山 結局、ズルいんですよ。あんな顔で「心配すんな、全部上手くいく」なんて言われたら、絶対について行くじゃないですか(笑)。やってることもズルいし、人としてもズルいし、キャラクターとしてもズルい。それでいて読者の我々がどっぷり引き込まれているわけですから……うん、ズルい(笑)。

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「頭脳で戦う武将、例えば現趙三大天の李牧や魏の名将、呉鳳明もカッコイイけど、結局、戦う背中を部下たちに見せていく武骨なスタイルの武将が好きなんですよね」と平山さん。

やはり、いつの時代も背中で語る男には惹かれてしまうものである。さて次回は、平山さんの心に残った名シーンについて。
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