未来世紀シアトル●旅先(=非日常)で得るインプットは、男の日常のアウトプットに大きな影響を与える。1981年生まれ、一児の父、オーシャンズ世代ど真ん中のトラベルエディター伊澤慶一さんは、だから今日も旅に出る。

連載「度々、旅。」の1回目、目的地はアメリカ・シアトルだ。

自宅や職場以外の空間、いわゆる“サードプレイス”として我々の日常に欠かせない存在のスターバックス。現代人のライフスタイルを変えた世界的企業ですが、その1号店および本社があるのがアメリカ・シアトルです。

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オーシャンズでの旅連載「度々、旅。」の記念すべき一発目のディスティネーションはまず、そんなシアトルの「スターバックス」から。

ただし……観光地の定番となっているパイクプレイス・マーケットの1号店に行こう、という話ではありません。

セカンドウェーブの象徴であっただけに、一度はサードウェーブの波に飲まれた感のあるスターバックスでしたが、今またシアトルを起点に、コーヒーカルチャーの新しい潮流を生み出そうとしています。その現在進行形であり世界最先端ともいえる流れを、今のシアトルでは体験すべきなのです。

シアトルのスタバで散財し「コーヒーカルチャーの未来」を見た旅の話

なぜなら、もしかしたら数年後、シアトルでの光景が、私たちの生活のスタンダードになる可能性があるから。そんな未来のライフスタイルを、ひと足先に覗いてみましょう!

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早くもやってしまったプチ散財

前置きが長くなりましたが、まずはSODO(South of Down Town)エリアにあるスターバックス本社へ。社屋に一般客が入ることはできませんが、社屋の1階に2018年にオープンしたスターバックス・リザーブ・ソードー店は、本社お膝元だけあって、スターバックスが提供する最新のコーヒー・エンターテインメントが詰まっています。

シアトルのスタバで散財し「コーヒーカルチャーの未来」を見た旅の話

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ミクソロジーバーのバーテンダーによるカクテルや、蒸気圧を利用したサイフォンと呼ばれる抽出方法など、ここはコーヒーにまつわる体験すべてを楽しむことができる店舗です。

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それだけでなく、ベーカリーを併設して焼きたてのパンを提供したり、回転扉の裏に隠された貸し会議室をレンタルスペースのように使えたりなど、もはやコーヒーショップの枠を超えた存在です。

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驚くべきはショップ限定のグッズ。

マグカップやアパレル、ソードー店でしか買えないお土産はクオリティが高く、“日常”であるはずのスターバックスを“非日常”へと変えてくれます。

僕も、ここぞとばかりに見慣れぬカクテルとパンを注文し、コーヒー豆やらマグカップやら、しこたまお土産を購入し、早くも散財……。まんまとスターバックスの戦略に踊らされていまいました(笑)。

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日本より5年は進んでいるコーヒーライフ

そしてもう一店、欠かせないのが、スターバックス・リザーブ・ロースタリーです。今春、中目黒にもオープンしましたが、シアトルでこの新形態が生まれたのは2014年のこと。いかにシアトルが時代の先を見据えているかがわかります。

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最大の特徴は、その名の通り店内に置かれた巨大な焙煎機。これまでも焙煎機が併設されているコーヒーショップは珍しくありませんでしたが、店内のいちばん目立つ位置に設置し、“見世物”にしてしまったロースタリー型店舗は、確実に今のカフェスタイルの象徴。それをいち早く実現していたショップなのです。

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個人的には、初めてサンフランシスコでブルーボトルコーヒーを訪れた際、高品質な豆の選別と抽出方法へのこだわりに興奮を隠せませんでしたが、その中間にある「焙煎」という過程で、まだこんなにワクワクできるのかと、ロースタリー店舗で感動したものです。

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これがサードウェーブの次の形態かどうかはまだわかりませんが、こうした体験は確実にワクワクを与えてくれるもの。2019年に世界5店舗目となるスターバックス・リザーブ・ロースタリーが中目黒にオープンしたので、同様の体験は日本でも可能となりましたが、だからこそここシアトルは、東京よりも5年はコーヒーカルチャーの未来を行っている場所といえるのです。

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お土産とともに持ち帰りたいライフスタイル

このロースタリー店舗でもオリジナルのかわいいグッズが充実しすぎており、やはりカフェとは思えない散財をしてしまいました(笑)。

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しかし、ここでの満足感を胸に、そしてお土産に囲まれることで、いつもの30分のコーヒーブレイクは遥かに豊かな時間になるでしょう。

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ちょっと贅沢なスターバックスが、ちょっと贅沢なライフスタイルに。これぞシアトルの最新スターバックスで学び、日本に持ち帰りたいと思ったライフスタイルなのでした。

次回は、世界的企業であるAmazon(アマゾン)の本社に潜入します!

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伊澤慶一●1981年生まれ、一児の父。出版社勤務時代には『地球の歩き方』を始め、NY、LA、パリ、ベルリン、モロッコなど世界中のガイドブックを制作。60カ国以上の渡航歴を持つが、いちばんのお気に入りはハワイ。

Photographs:Ayato Ozawa

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