夏本番。長かった梅雨の影響もあって、外で遊びたい欲は最高潮。
「世界中を旅すれば必ずどこかに夏がある」と言ったのは誰だったか。
梅雨明けが遅れた今年、日本の夏は例年以上に短くなりそうだ。海好きの諸兄は、バカンス先として海外に目を向けるのも賢明かもしれない。
ということで、海の街で生まれ、海に揉まれて育ってきた男、マーシーこと三浦理志さんに、今まで訪れた世界のベストビーチを訪ねた。この人が行くところには常に終わりなき夏がある。【国内編】に続く、海外編のはじまりはじまり~。
マーシー的ベスト③
バスク(フランス)

「ベスト3はフランスのバスクですね! 特にゲタリーという街は、古いバスクの街並みと綺麗な海、極上の波があって、もう最高に気持ちいい!」。
見よ、この波を! ピレネー山脈を挟んで、スペインとフランスにまたがるバスク地方。この地方、ヨーロッパ随一のサーフパラダイスとして世界中のビッグウェーバーを虜しているようで、どうやらマーシーさんもバスクに取りつかれたひとりらしい。

ゲタリーは人気のサーフスポットがひしめくバスクの中心部「ビアリッツ」から、車で南に20分ほどの下ったところにある、長い歴史を持つ小さな港街。このあたり、通称「フレンチ・パイプライン」と呼ばれ、ヨーロッパサーフィンの発祥の地のひとつとも言われている。
極上のライトブレイクを手なずけるトップサーファーたちのライディングをビーチから眺めるだけでも楽しそうだ。

そして「古いバスクの街並み」というのがこちら。まるでジブリの世界のような趣ある街並みを、通りの奥に海を覗きながらカフェやビストロを散策してみるのもよさそう!
「ゲタリーはご飯も最高! アフターサーフはゲタリー港周辺のカフェやレストランのテラスから、何一つさえぎる物のない海の景色と美食を存分に楽しめるんです!」。

以前オーシャンズで紹介したが、バスク地方にはビアリッツやゲタリーだけでなく、世界一の美食の街と言われる“サン・セバスティアン”や、典型的なバスク建築様式の家屋が軒を連ねる“サン・ジャン・ド・リュズ”など、とにかく見どころだらけ!
続いて2位を見てみよう!
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バハ・カリフォルニア(メキシコ)

うわ、壮大! どこですか、ここ?
「メキシコのバハ・カリフォルニアというところです。スケールが違うでしょ? 見て、サボテンもこんなですよ!」。

なんじゃこりゃ! マーシーさんの身長が184センチで、このサボテンはだいたいその5倍くらい? ってことは9~10メートルだとして……だいたい3階建てのビルに匹敵するだろうか。本当にとんでもないスケールだ!
「人間が手を加えたところがまったくないんです。ただただひたすら広大な大自然が広がるんですよね。あるのは波だけ。年中サーフパラダイスって感じで! しかも夜になるとプラネタリウムのような星空が広がるんですよ。もう、目に映るすべてがワイルドで、とにかく感動しますよ!」。

「そしてこの辺は人もまったくいないんですよね! キャンピングカーで向かって、これでもかってくらい波に乗りまくったあとは、自作の石窯でクッキング!」。
やっぱりマーシーさんは地球のどこへ行っても“マーシーしてる”なぁ!

バハ・カリフォルニア州は、メキシコ最北の州。実はカリフォルニアというのはアメリカのカリフォルニア州のことだけでなく、バハ・カリフォルニア州も含む総称なのだ。

こんなサンセット、一生のうちで何回見られるだろうか……。マーシーさん、いい旅してますね。
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ラグラン(ニュージーランド)

「とにかくここは波が最高なんですよ!」。
……ずっとそればっかりじゃないですか! でも本当に、ものすごく綺麗ですね。
ということで、栄えある世界ナンバーワンビーチにマーシーさんが挙げたコチラは、1964年の公開から今に至るまで、サーフドキュメントの金字塔と言われ続けてきた映画『エンドレス・サマー』にも登場した世界的サーフタウン、ニュージーランドのラグランだ!

「小さな町なんですけど、レトロサーフな街がすごくかわいいんですよ。ところどころにサーフなアートがあったりするから散策も楽しいし、緑豊かな大自然もとても魅力的ですよ!」。

ニュージーランドのノースアイランドの北西部に位置する人口約3000人程度の小さな町、ラグラン。実はここ、数百というサーフポイントを持つニュージーランドのなかでも有数のサーフポイントとして知られており、週末になると大勢のサーファーで賑わっている。

これはルアプケビーチの波。「ここの海は間違いなく世界屈指の波だと思いますよ! 特に波がいい日なんかは本当に長いことライドできますし、もうサーファーには天国って感じで、たまらないっすね!」。
マーシー「海が僕の人生を豊かにしてくれた」

マーシーさんの話を聞いてると、本当に海とサーフィンが大好きなんだなぁって改めて思うし、本当に筋金入りの“海男”ですね。
「ん~、そうっすね、実際に国内も海外も、本当にたくさんの海に行っていると思います。
なるほど。マーシーさんの誰にでも気さくに接する“ノーボーダー”な人柄も海に育まれたものなのかもしれませんね。
「自然の素晴らしさや大切さも海を通して知りましたし、海から学んだことは計り知れません。本当に、海が僕の人生を豊かにしてくれました。これは大袈裟じゃなく。まだまだ世界中には行ったことのない海が数え切れないほどあるので、これからも時間の許す限り海と過ごしていきたいですね」。
自称「精神年齢中学生2年生」の49歳。熱い海への想いとまなざしに引き込まれ、こちらまでより一層海が恋しく思えてきた。さぁ、夏は短い。今年はどこの海へ行こう?
三浦理志=写真 谷澤修太朗=文