週末マカオ●旅先(=非日常)で得るインプットは、男の日常のアウトプットに大きな影響を与える。1981年生まれ、一児の父、オーシャンズ世代ど真ん中のトラベルエディター伊澤慶一さんは、だから今日も旅に出る。

連載「度々、旅。」の今回の目的地は、マカオ!

週末を利用してマカオに行ってきました。マカオは香港と同じく中国の特別行政区にあたり、一国二制度のもと高度な自治が認められています。具体的に何が違うかというと、例えば中国本土では使えないGmailやLINE、Facebookがマカオでは利用可能。これは場所や週末関係なく働くノマドワークスタイルの自分にとって、非常に大事なポイントだったりします。

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さて、いきなり本題から逸れてしまいましたが、今回の旅のテーマは3つ。「ホテル」「グルメ」「アート」です。「マカオといえばカジノでしょ?」と思う人も多いでしょうが、そんな先入観を打ち壊す、マカオのもうひとつの顔を紹介していきたいと思います。


そういえばマカオってどんなとこ?

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世界最長の海上橋「港珠澳大橋」。全長55kmもあり、マカオと香港とつなぐ。

その前に、もう少しだけマカオの基本情報について説明しておきましょう。珠江河口を挟み、香港の対岸に位置するマカオへは、日本からマカオ航空が直行便を就航しているほか、香港経由での入境もポピュラー。

沢木耕太郎さんの『深夜特急』読者の方は、香港~マカオはフェリー移動のイメージが強いと思いますが、2018年に開通した港珠澳大橋(全長55km、世界最長の海上橋)を渡ってバスでもアクセスが可能となり、ぐっと便利になりました。

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マカオの面積は、東京・大田区の半分ほど。ごく限られた範囲なのに、実はマカオには世界の名だたるホテルブランドが集結しているのです。

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週末マカオの楽しみはホテルステイにある、と言い切れる根拠

ザ・リッツ・カールトン、フォーシーズンズ、マンダリン・オリエンタル、グランド・ハイアット、セントレジス、MGM、ザ・ヴェネチアン、ザ・パリジャン、ウィン・パレスなどなど。このホテルの多さは、端的にマカオの観光客の多さを物語っています。

2018年、マカオを訪れた観光客は3580万人。同年、日本全体での訪日外国人が過去最高を記録しても3119万人だったことを考えると、その数字の凄まじさがわかるでしょう!

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「ザ・べネチアン・マカオ」のきらびやかでゴージャスな内装。

そして、そんなマカオの高級ホテルですが、実は相当リーズナブルに宿泊可能。時季にもよりますが、安いときは東京の同じホテルブランドの半額くらいで泊まれます。

理由はシンプル。IR(統合型リゾート)全体でカジノや食事、買い物をしてもらって、施設内での収益が担保される仕組みが出来上がっているからです。つまり、観光客を敷地内に誘致するためホテル代が抑えられている。よって、宿泊だけなら名だたる世界の一流ホテルブランドにお得に泊まれるわけです。しかもマカオは、毎年のように最新ホテルがオープン。個人的に、マカオ最大の魅力はホテルステイにあると思っています。

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話題のホテル「モーフィアス」に泊まってみた!

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では、お待たせしました。今、マカオで、いやアジアにおいてもいちばん注目すべきホテルを紹介します。それがこちらの「モーフィアス」です。設計は、東京オリンピック・パランピック大会の新国立競技場で一度は採用され、その後、白紙撤回となり話題になったザハ・ハディド(2016年没)。

彼女が手掛けたホテルはほかの国にもありますが、外骨格鉄骨構造のホテルはこれが唯一。この建築方法が、高さ35mという巨大な吹き抜けを実現し、ホテルに足を踏み入れたすべてのゲストに感動のため息をつかせます。

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建物に穴が空いた外観も驚きですが、ホテル内部もこれぞザハ建築、と言うべき独創性溢れる構造。レセプションの後ろで、6機のエレベーターが高速で上下を繰り返す様子は、まるで宇宙船内を移動しているかのようです。

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客室数は772室。部屋のデザインは世界的に有名なピーター・レメディオス氏によるもの。ミニマルでありながら、多角形を組み合わせた幾何学的なインテリアデザインが印象的です。これもまた「宇宙船に客室があるとしたらこんな感じだろうか」と思わせる、未来的なスペースになっています。

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「プールはどこにある?」と思ったら、なんと最上階の40階。マカオで屋上にホテルが設置されているのは非常に珍しく、地上130mの天空プールからは、足元のコタイからマカオ半島まで、絶景が見渡せます。

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いきなりミシュラン2つ星のレストラン

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ちなみにホテル内に出店するレストランやカフェも話題の店ばかり。フレンチの巨匠アラン・デュカス氏がプロデュースしたレストラン「Alain Ducasse at Morpheus(アラン・デュカス アット モーフィアス)」は2019年発表のミシュランガイドでいきなり2つ星を獲得しました。

1階ロビーに入っているマカオ初出店の「Pierre Hermé
Lounge(ピエール・エルメ・ラウンジ)」も見逃せません。

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最注目は、21階に入る新感覚チャイニーズレストラン「Yi(イー)」。世界中から取り寄せた食材を、シェフのおまかせコースのみで提供。洗練されたプレゼンテーションは8品、メニュー表には「鮮」「菜」「飯」など漢字一文字しか書かれておらず、想像力が刺激されるグルメ体験が待っています。

店内は、竜の鱗をイメージしたという斬新な仕切りにより、各テーブルがプライベート感を確保。既にマカオはもとより、香港にも多くのファンを獲得しており、連日満席とのこと。こちらは日本から事前予約を強くお勧めします。

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ほかの観光を忘れてしまいそうなくらい、ホテル内が楽しすぎるモーフィアス。ちなみにロビーでひときわ目立つシルバーの像があるなと思ったら、ディオールの2019年プレフォールコレクションでも話題を呼んだ「セクシーロボット」でした。こちら、日本人アーティスト空山基の作品ですが、実は今、このようにマカオではいたるところでアートを無料で見ることができるんです。

次回は、そんなマカオでのアート体験について紹介します。

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伊澤慶一●1981年生まれ、一児の父。

出版社勤務時代には『地球の歩き方』を始め、NY、LA、パリ、ベルリン、モロッコなど世界中のガイドブックを制作。60カ国以上の渡航歴を持つが、いちばんのお気に入りはハワイ。

マカオ政府観光局=取材協力

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