連載「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。
前回紹介したogawaのヒストリーに続き、ブランドアイデンティティーが強く落とし込まれた「ロッジシェルター T/C」を徹底解析。
同アイテムは、現在主流のタイプではないため、特にビギナーの多くはその性能を正しく認識できていないはず。そこで、キャンパルジャパン株式会社、代表取締役CEOの伊川良雄さんに、魅力とメンテナンス方法を教えてもらった。
抜群の居住性と強度を誇る最高レベルのロッジ型
——ドーム型やトンネル型にはない、ロッジ型ならではの強みとはなんでしょう?
屋根が高く、壁は地面に対して垂直に近い。つまり広くて圧迫感が少ないんです。自宅にいるような優れた居住性は、ほかのタイプでは得られないはずですよ。

——今まさにロッジの中で取材していますが、確かに開放感を感じますね。「ロッジシェルター T/C」はコンシューマ用では最高クラスのモデルですが、快適性を担保するポイントは?
全面メッシュでスカートまで装備しており、使う人が求める気密性を実現できて、標準でライナーシートも付いていますから、結露に悩まされません。シェルターとはいえ単品で機能し、小型のテントを入れて使ってもOK。庇やトリプルファスナーといったディテールも優秀で、汎用性の高いモデルだと思います。

——軍用にも採用されていたタフさの由来はなんでしょう?
スチールポールを使用する点でしょうか。現在の主流となっているアルミ製ポールより圧倒的に丈夫なんです。
マニュアルを読めば初心者でも設営ラクラク
——使用時の注意点はありますか?
大型テントは風対策が欠かせません。ロッジシェルターは幕体軒部に6カ所のテープがあり、ロープが通せるようになっています。端をペグで固定し、張り具合を調節すれば、かなりの防風性が得られます。張り綱を使っても安定しないほど強風なら、撤収するのが得策でしょう。


——ビッグサイズでスチールポール、設営が難しそうですが……。
事実、ロッジ型は建てづらいとされていました。しかし、今はポールを倒したまま幕がつけられる構造なので、さほど難易度は高くありません。女性2人で設営する動画をYouTubeにアップしているので参考になさってください。

——上級者向けのイメージがありましたがビギナーでも大丈夫なんですね。
もちろん! ただ、スチールフレームの欠点として重量があります。
簡単な手入れさえ怠らなければ20年以上使える
——メンテナンスはどうすれば良いですか?
基本的にどんなテント・シェルターでも乾燥させることが重要。時々袋から出し、風を当ててやってください。特に幕に施してあるポリウレタンコーティングは湿気が天敵。万が一、加水分解してしまうと修理が困難になります。
また、雨天時に撤収するなら、ポールはしっかり拭いてください。単なる塗装より錆や傷に強い亜鉛メッキ加工ですが、濡れっ放しは劣化を早めますので。

——湿気に気をつけて保管し、時々干す。それだけで良いのはラクですね。
はい。少し意識し、修理含め手入れさえすれば20年は余裕で使えます。親子2代にかけて愛用することだって可能です。そもそも気軽に買えるアイテムではありません。私としては長く使って頂きたい。アウトドアブランドとして修理サービスの費用を抑えていますので、積極的に利用して愛着を持って育ててもらえれば幸いです。

【取材協力】
GRAND lodge SHINKIBA
住所:東京都江東区新木場1-12-19
電話:03-6457-0306
営業時間:平日10:00~19:00、土日祝9:00~18:00
定休日:火曜日、年末年始
平安名栄一=撮影 金井幸男=取材・文
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