>連載「Good Packing Guy」を読む
パッキングと聞いて思い浮かべるものは、スーツケースやバッグがほとんどだろう。しかし、外遊び好きな趣味人にとって、 “クルマ”も大事なパッキングの道具。
そこで今回は、特にクルマ移動の多いサーフィンを嗜む趣味人に、その相棒を見せてもらおう。
話を伺ったのは、2社の投資用不動産会社の代表取締役を務める新川義忠さん。実は以前もこの連載で、エクストリーム出社を実践するビジネスパーソンとしてバッグの中身を見せてもらった。
サーフィン歴30年の新川さんは、7月にスポル品川大井町にある人工サーフィンスポット・citywaveで開催された大会「Jeep® presents “citywave pro WORLD TOUR in Tokyo”」に出場し、マスターズクラス(40歳以上)で4位を獲得した実力者だ。
2社の社長を務める多忙な毎日の中でも趣味の時間をしっかり確保できるのは、きっとクルマの中に秘訣があるに違いない。

収納も車中泊も叶う、ワンボックスが相棒
新川さんが日々乗っているのは日産のエルグランド。新古車で2年ほど前に購入した。3~4年に1度のペースでずっとワンボックスタイプのクルマを乗り継いでいるそうだが、それにはこんな理由がある。
「10年以上前はセダンタイプに乗っていました。助手席のシートを倒してサーフボードを積んでいたんです。でも、早朝海に行くことが多く車中泊することもしばしば。積載量とクルマの中で寝られる広さを求めワンボックスに乗り換えてから、ずっとこのタイプを選んでいます」。
また、良い波を求め千葉から茨城まで移動する日もある。そんな日々を送っているため、走行距離は年間5万kmを優に超えるとか。20万kmを超えたタイミングで買い換えることが多いそう。

いつでも、趣味に没頭するためのクルマ
愛車の中を拝見すると、ラゲッジルームはサーフギアのほか、海で遊ぶためのギアが満載。2列ある後部座席はシートを倒さず、現在はドローンといった大型アイテムの収納スペースに。
必要な場合は人を乗せることもできるためクルマはこれ1台のみ。シーンによって乗り換えが不要なのも、時間ができたらすぐ海へ向かうことができる最大のメリットだろう。
そのため会社から自宅はもちろん、仕事終わりに千葉へ向かい、そのまま早朝波に乗ってから出社するなんてこともザラ。いつでも趣味に没頭できる準備は万全の状態だ。

ハンガーポールは、ビジネスパーソンの必需品
シートを倒さずサーフボードのような長モノを積むことができるのは、このハンガーポールのおかげ。
両脇に付いたフックを純正のアシストグリップに引っ掛けるだけで、使い方も非常に簡単。ウェットスーツや洋服などをハンガーに掛けておける点も使い勝手バツグンだ。

また、新川さんはエクストリーム出社のため、スーツや革靴をクルマに常備。当日着るスーツのほか、ジャケットは別にもう1着積んでいるそう。

複数持ちに勧めたい、チェーンハンギング
3列目シートのアシストグリップには、ホームセンターで購入したというプラスチック製のチェーンを活用。厚みのあるサーフボードを2枚挟むには、ハンガーポールでは狭すぎる場合が。とは言ってもゆとりがあり過ぎて“遊び”ができ、デリケートな板に傷を付けてしまうのも問題だ。
1枚目の板はきっちり固定させ、2枚目の板は天井と1枚目の板の隙間にそっと差し込む、この組み合わせがベストだとか。

クセをつけない。手軽にできるナイスアイデア
サーフィンの必須ギア、リーシュコードはくるくる丸めて持ち運ぶ様子をよく見かける。しかし、本来はまっすぐにして保管すべきアイテム。そのため活用しているのが3列目のシートベルト。
これでまっすぐに保管でき、わざわざハンガーなどに掛けずとも乾燥させることができる、まさに一石二鳥のアイデアだ。

また、ベルト自体が伸縮するためコードをしっかり挟み込んでくれる。ベルトの隙間から落ちる心配や、ズレることがない点も優秀だ。

シーアクティビティには、プラ製ボックスが鉄板
ラゲッジルームにぴったりサイズで収まる収納ボックスは、どれもホームセンターや量販店で購入したもの。
サンダルやワックス、フィンといった細々としたアイテムが入っているが、砂や水分にも強く、掃除がしやすいプラスチック製がマストとのこと。
常に同タイプの車種を乗り継いでいるため、クルマを乗り換えるタイミングで収納を新調する必要はないとか。そのため、どれも10年近く愛用している。

また、ラバー製の取っ手付きボックスも常備。中には大量のフィンが入っているが、波の状況やその日の気分で付け変えるため、そのまま海辺へ持ち出すこともある。砂浜に置いても水濡れの心配がなく、砂も落としやすいので重宝している。
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ヘッドレストの隙間をハンガーラックに
ウェットスーツ同様、ヘッドキャップやシューズ、グローブなど主に冬場の海で着用する小物は、乾燥させるためクリップハンガーを活用。
サーフショップで購入した1列タイプのハンガーやブーツハンガーは幅がない分、ヘッドレストの隙間に引っ掛け可能だ。スーツを掛けている2列目シートと使い分けできるのも安心。
海から上がったばかりのタイミングでは、バックドアなどを使い乾燥させているそう。

濡れたものはバケツにひとまとめ
小物はハンガーを使うが、大きさのあるウェットスーツはどう収納するのだろう。
海から上がるとウェット類はバケツにしまい、クルマの2列目床に収納することが多いそう。実はこのバケツにポイントあり! 濡れたウェットを砂浜の上に置いてしまうと砂が付いてしまうため、このバケツの中に入って着替えるのだ。
そのため、中で動けるよう柔らかいラバー素材、足が入る四角形が必須とのこと。

妥協できない日は、濡れたまま移動⁉︎
良い波を求めて大移動する新川さんだが、なんとそのままウェットスーツを着て運転することも。そんなとき、防水効果のあるウェット素材のシートカバーが大活躍。
ヘッドレストに引っ掛け、ひざ下まで隠れるサイズ感で、シートを濡らすことなくクルマに飛び乗ることができる。風の向きを調べつつ、3時間も移動する日も珍しくない。コンパクトに折り畳めるので、普段はラゲッジルームの隙間に収納中だ。
ギアもクルマも大事に扱うことが、収納の極意
アクティビティに夢中になり過ぎると、移動できればいい、道具もとりあえず入ればOKと思ってしまうことがないだろうか。濡れたものをそのまま積み込んだり、ギアを隙間に押し込んでしまったり。
そんなことが積み重なると、クルマの故障や、道具の破損に繋がってしまう。せっかくの趣味の時間がダメになってしまう可能性だってある。
多忙な毎日を送る新川さんだが、クルマやギアといった趣味の道具を大事にパッキングすることで、常に万全な状態をキープ。限られた時間の中で趣味を満喫しているのだ。
次回はシーアクティビティに欠かせない、お役立ちアイテムを拝見する。
櫛ビキチエ=写真 金光照子=取材・文