ディーゼルカーという選択●1990年代には悪者のようにやり玉に挙げられていたが、技術の進歩により環境規制をクリアし、最近は日本国内でも多くのメーカーから登場しているディーゼル(軽油)カー。
環境性がクリアになることで、ディーゼル独特のねばりのある走りやパワー、燃費が評価され、選ぶ人も多くなってきている。

電気という選択肢も一般的になったここにきて、エンジン車の救世主に変わろうとしているディーゼルカー。今乗るべき最新車種を紹介しよう。

ヨーロッパでは、島国の日本と違い、国と国が陸続きで、どこまでも道が続いて隣国やその先までも走ることができる。それもあってヨーロッパでは、燃費が良くて、アクセルを踏み込まずとも強いパワーを感じられるディーゼル車が昔から人気だ。

最近では、ヨーロッパメーカーのスポーツモデルでもディーゼル搭載車が増えている。

それは決して“妥協の産物”ではなく、技術進化によって生まれた最強のモデルと言って良いほど。

そんなディーゼル先進国ヨーロッパのスポーツモデルを見ていこう。


攻めるときも流すときも気持ちいい
BMW 8シリーズ

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「駆け抜ける歓び」を掲げる同社の、最上級にラグジュアリーかつスポーティなクーペ&カブリオレが、8シリーズ。この8シリーズにも3L直6ディーゼルターボエンジン×8速ATモデルが用意されている。

同社のスポーツモデルの頂点ともいえるべき8シリーズにディーゼルという組みあわせは少し意外かもしれないが、低回転域から最大トルク680Nmを発揮する力強い加速感をもたらすディーゼルエンジンは、スポーティな車と相性がいいのは当然なのだ。

ディーゼルカー最強説。欧州名門のスポーツモデルで実力検証する 

しかもBMWは低速用と高速用の2つのターボを備えることで、低速時は軽やかな走りを、高速時には優雅でゆとりのある走りを実現している。また瞬時に駆動配分を制御する4WDを搭載し、どんな路面状況でもスムーズに気持ち良く駆け抜けることができる。攻めるときも、ゆっくり流すときも気持ちがいい。

そんなBMWらしい余裕の走りを、存分に味わえるモデルと言えるだろう。


独特のエンジンサウンドはディーゼルでも健在
マセラティ ギブリ

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「ギブリ ディーゼル」車両本体価格875万円。

モータースポーツ界の名門マセラティが初めてディーゼルエンジンを搭載したモデルがギブリだ。スーパーカー全盛期の1960年代に名匠ジウジアーロのデザインをまとって登場してから約50年。現在ではクーペのようなフォルムのスポーツセダンとして人気を得ている。

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そんなギブリに搭載された3LのV6ディーゼルエンジンは最高出力275ps/最大トルク580Nmを発揮。8速ATを介して後輪を駆動させる。最大トルクは、実はギブリのガソリンエンジンモデルよりも力強く、優雅に巡行するグランドツアラーという車のキャラクターに合う。

さらに走行モードをスポーツにすると、エンジン音がマセラティ伝統の、たくましい音色に変化し、ドライバーの気持ちを高めるという新技術も搭載している。

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ジュリアよりスポーティなディーゼルSUV
アルファロメオ ステルヴィオ

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「ステルヴィオ 2.2 ターボ ディーゼル Q4」車両本体価格635万円。

マセラティ同様モータースポーツで名を馳せたアルファロメオも、今年4月より新型ディーゼルエンジンを搭載したモデルを日本に導入している。ひとつはスポーツセダンのジュリアと、もうひとつがSUVのステルヴィオだ。

直列4気筒の2.2Lディーゼルターボエンジンは最高出力210ps/最大トルク470Nmを発揮。アルファ史上初のアルミ製エンジンブロックを採用するなど軽量化が施されていて、アルファロメオらしい軽快なハンドリングは損なわない。

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しかもこのステルヴィオは0-100km/hの加速タイムは6.6秒と、基本同じエンジンを搭載するジュリア(最高出力190ps/最大トルク450Nm)の7.2秒を上回る。単に車体が大きく荷物も多いSUVだからディーゼル、というわけではなく、十分にスポーティな味付けがステルヴィオのディーゼルエンジンには施されているのだ。


M社のディーゼルエンジンが産んだスポーツSUV
BMW X3

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「X3 M40d」車両本体価格896万円。

BMWにはスポーツモデル(Mモデル)と通常モデルの間に、「Mパフォーマンスモデル」というラインが存在する。BMW M社が開発を担当し、通常モデル以上、スポーツモデル以下というポジションなのだが、このMパフォーマンスモデルのディーゼルエンジンを積んだX3M40dが話題を呼んでいる。

X3 M40dに搭載されたのは、BMW M社が手掛けた3Lディーゼルターボエンジン。最高出力326ps/最大トルク680Nmという数値もさることながら、アクセルを踏むとガソリンエンジンのように素早く回転数とパワーを盛り上げるエンジンに仕立てられた点が特徴だ。

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もちろんSUVでも「駆け抜ける歓び」を提供すべく、コーナリングではグイグイと気持ち良く曲がり、組み合わされる8速ATとともに、スポーツカーか! と突っ込みたくなるような走りを披露する。SUVに載せておくにはもったいないと思えるほどのディーゼルエンジンなのだ。

どの車も、最新のクリーンなディーゼルエンジンによって厳しい環境基準をクリアしていることはもちろん、「ディーゼルは安いから」という妥協ではなく、独自の走りを楽しめる最強のスポーツカーに仕上がっている。

籠島康弘=文

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