>連載「隣のオッサンは青いか?」を読む
現代のコミュニケーションツールとしてお馴染みのSNS。その便利さゆえ、40代ならずとも何かしらのSNSを活用している人は多い。
確かに40代ともなれば、他人のプライベートに正直そこまで興味はないし、自己顕示欲、承認欲求といったことも次第に薄れていくもの。まわりを見れば、SNS離れが進んでいると感じているのはオレだけか? そこで40代のSNSの利用実態を探ってみた。
身内のやり取りに便利なLINEは40代でも利用率は高いが……
●平成30年度 主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率(トップ5)
【40代】
・LINE 87.7%
・Facebook 36.7%
・Instagram 35.8%
・Twitter 34.0%
・Tik Tok 6.5%
【20代】
・LINE 98.1%
・Twitter 75.1%
・Instagram 63.2%
・Facebook 47.4%
・Tik Tok 21.1%
※「平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(総務省情報通信政策研究所)より抜粋
まずは40代の利用率から見てみよう。総務省情報通信政策研究所が、2019年9月に発表した調査報告書によれば、2018年度における40代のソーシャルメディア系サービスの利用率は、LINEが最も多い87.7%。さらにFacebookが36.7%、Instagramが35.8%、Twitterが34.0%と続く。
これと同じデータを20代で見ると、LINEが98.1%で最も利用率が高いのは変わらないが、続くTwitterが75.1%、Instagramが63.2%と、40代と比べて利用率はほぼ2倍となっており、この数値傾向は過去5年間ほぼ変わっていない。
家族や知人とのやり取りがメインのLINEは、いわばクローズドのメディア。一方でTwitterやInstagramは、世界中の人々に投稿内容が開示され、リツイートや“いいね”など、相手からの反応が見れるオープンなメディアである。
ソーシャルメディアやアプリは、その人のライフスタイルに合わせて選択されるべきなので、自分の家族と安定した友人関係をすでに獲得している40代のSNSがLINEに絞られていくのは自然なことだろう。したがって“SNS疲れ”というより、TwitterやInstagram、Facebookといったオープンなソーシャルメディアの利用率はそもそも高くないのだ。
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男性は「面倒くさい」、女性「トラブル」が原因で離れやすい
とはいえ、SNSを始めたけれどやめてしまった、という意見を聞くことが多いのもまた事実。利用率には表れない、接触頻度の低下や濃厚なコミュニケーションを求めなくなった、という人も少なくないだろう。
●途中で利用するのをやめたSNSはありますか?ある場合、やめた理由を教えてください。
【面倒くさい】
・「ブログ/毎日更新が面倒」(44歳・男性)
・「Facebook/通知が面倒くさい」(45歳・女性)
・「Twitter/面倒になった」(42歳・男性)
・「Facebook/投稿しなくなったから」(43歳・女性)
男女ともに多かったのが、「面倒くさい」という実に率直な理由。更新、投稿、通知……。SNSを続ける以上付きまとうこれらの“作業”を、働きざかりの40代が煩わしいのは納得だ。ましては前述通り、すでに人間関係が出来上がっているならば尚更のこと。
オンオフ問わずやってくる通知の嵐がいい加減うっとうしくなり、通知設定をオフにしたら自然とSNSからフェードアウトしていた、なんて人も少なくないのでは。
【性に合わない】
・「Facebook/利用するメリットを感じられなかったから」(48歳・男性)
・「Instagram/あまり写真を撮らない」(47歳・女性)
・「Facebook/複雑だったから」(47歳・女性)
・「Facebook/登録したが何となく怖くてやめた」(45歳・女性)
・「Facebook/人の自慢にならない自慢をみせられるのがくだらなすぎる。携帯にいちいち通知がくるのもうっとうしい」(44歳・男性)
別の傾向として、SNSを始めてみたものの、そもそも性に合ってなかったという回答も目立つ。他人の自慢を見せられている(かのような)ツラさ。見ず知らずの人に個人情報を公開する怖さ。デジタルネットワークに対する疎さ……。
【トラブル】
・「mixi/面倒くさいミク友がいた」(46歳・女性)
・「Facebook/乗っ取りがあったから」(40歳・女性)
・「ブログ/ネタをパクられるから」(43歳・女性)
・「Twitter/コメントが酷い」(46歳・女性)
最後に、これはほぼ女性の回答者にみられた傾向だが、SNS上でのトラブルが挙げられる。アカウントの乗っ取りをはじめ、SNS上での人間関係のトラブルや心ない中傷コメントなど、社会問題としてもたびたび取り上げられていることが、SNS離れの原因となっている実情も明らかになった。
また「ブログのネタをパクられた」と回答した人もいるように、SNSもひとつの情報源として利用されていることの裏返しであり、今後もトラブルを招く可能性を大いに秘めていると言えるだろう。
「楽しそう」と思って始めたSNSが、知らず知らずのうちに生活の足を引っ張っているようでは本末転倒。もし“SNS疲れ”を感じているなら、思い切ってやめてしまうのもアリなんじゃないだろうか。だってSNS上の人間関係ほど、“断捨離”しやすいものもほかにないのだから。

ファストアスク=アンケート協力
対象:40代の男女205人