死ぬまでに行きたい島の旅●旅先(=非日常)で得るインプットは、男の日常のアウトプットに大きな影響を与える。1981年生まれ、一児の父、オーシャンズ世代ど真ん中のトラベルエディター伊澤慶一さんは、だから今日も旅に出る。
ヨーロッパの島々を巡る旅。前回までの西イタリアに浮かぶふたつの島から今度は、南イタリアのかかとの部分、バーリという港町から大型フェリーに乗り、ギリシャに向かいます。
イタリア半島南部とギリシャ半島西側の間の海を「イオニア海」と呼びますが、これも地中海の一部です。
ギリシャの島々というと、サントリーニ島やミコノス島など、ギリシャ半島東側に広がるエーゲ海のイメージが強いのですが、こちらのイオニア海にも魅力たっぷりの島々があります。その中でもイチオシなのが、ケファロニア島。


イオニア海に浮かぶイオニア諸島の中でも約800㎢と最大面積を誇るこの島。これまで紹介してきたプローチダ島やファヴィニャーナ島と比べても桁違いのサイズで、日本で例えると奄美大島や淡路島よりも大きいスケールになります。そして島の8割以上が山脈という緑豊かな島。

起伏が激しく、手つかずの自然に囲まれた地形で、観光にはレンタカーが必須。港に着いたらまずはレンタカーを探しましたが、あいにくどこも貸出中……。港から離れたところでやっと見つけたのは「フィアット・パンダ・4×4」、左ハンドルのマニュアル車でした。



レンタカーを手配できたところで、早速観光へ出発。真っ先に向かったのは「メリッサーニ洞窟」です。洞窟といっても、内にある地底湖の上から光が差し込んでいて、湖面が真っ青に輝く神秘的な景色を見ることができます。
真っ暗闇の中で青白く光るカプリ島の「青の洞窟」とはまた違った美しさ。「妖精が住む湖」「青い宝石の湖」などの異名のとおり、幻想的な光景は大げさじゃなく「死ぬまでに見たい景色」のひとつです。



ビーチで遊んだあとは、名物おばちゃんの食堂へ
洞窟でしばし神秘的な美に浸かったら、今度はビーチへ向かいましょう!
綺麗なビーチが数多く点在するケファロニア島ですが、特に有名なのは「ミルトスビーチ」。途中曲がりくねった山道を運転していくと急に視界が開け、ビーチの全体を上から覗き込むことができます。何色ものブルーが成す、美しいグラデーション。バカンスシーズン真っ只中だったので、端から端まで多くのビーチ客で埋め尽くされていました。


ケファロニア島では、レベルの高いギリシャ料理も楽しめます。最北端にある小さな港町フィスカルドには、雰囲気のよいレストランやタベルナ(ギリシャ語で食堂の意味)がいくつも軒を連ねており、ここも多くのバカンス客で賑わっています。



レシピ本も出版している名物おばちゃん、タシアさんが切り盛りしている家族経営の食堂。かつて映画『コレリ大尉のマンドリン』のロケの際、島に滞在していたニコラス・ケイジが頻繁に通っていたとか、マドンナやトム・ハンクスが自家用クルーズでやってきたとか、いろいろな伝説を持つ店です。
ミートパイやシーフードを使ったギリシャ料理はどれも絶品。リーズナブルなギリシャビールやギリシャワインを頼んで、グビグビ飲みたいところですが、運転があるのでお酒は我慢(涙)。



島の北端に位置する小さな町フィスカルドは、カラフルに塗られた建物や、花を大量に飾っている店が並び、とってもキュート。たっぷりとご飯を食べたあとは、ゆっくり散策を楽しむのがいいかと思います。

遊んでよし、泳いでよし、食べてよし。ケファロニア島は観光客がバランスよく楽しめる島。まだまだ名前は知られていないけど、本当におすすめです。夏季限定スケジュールでヨーロッパの主要都市から直行便も就航しています。

次はケファロニアと同じイオニア海に浮かぶ島、ジブリ映画『紅の豚』の舞台にもなったザキントス島に向かいます!

伊澤慶一●1981年生まれ、一児の父。