「働く服改革」 Vol.1
働き方改革はもちろん大事。でも、そのためには「働く服改革」 も同じくらい大事。
照りつける太陽 にまとわりつく湿気。敵は競合企業だけではない。見た目もパフォーマンスも“いつも以上”を発揮できる仕事着とは何か? オーシャンズ的、本当にクールなクールビズを考える。
何かと使えるビジネス服の代表といえばネイビースーツ。スタンダードに着ればシーンを選ばず、合わせ方次第でカジュアルに見せることもできる。ゆえに1着はクローゼットに用意しておきたい存在だが、ただの“いいスーツ”では暑さにまでは勝てまい。
では、仕立ても良く、暑さを和らげる気立ての良さも持った万能型はないものか? と、信頼の紳士服ブランドとして長い歴史を持つ6つの老舗から、最新の“技巧派”をピックアップした。
ブルックス ブラザーズの「ブルックスクール」
ウール100%でどこまで快適にできるかの挑戦
機能素材を採用したコンフォートスーツやセットアップは今どきたくさんある。でも、いかにも化繊な素材感は、ビジネスシーンにおいて躊躇することもある。今年創業200周年を迎えたブルックス ブラザーズが日本の気候に対応すべく開発した「ブルックスクール」シリーズは、そんなジレンマを解決してくれる。

イタリアの名門生地メーカー、レダ社が織り上げたブルックス ブラザーズのエクスクルーシブ生地を使ったこちらのラインは、ウール100%ながら通気性、ストレッチ性、撥水性、軽量性、防シワ性に優れるという技巧派。もちろん、ウール100%だから見た目はあくまでいつものブルックス ブラザーズだ。
上質さを保ちながら得た快適性。立場がそれなりになってきたオッサンにとって、この両立はありがたい。
イザイアの「アクアスパイダー」
貫禄あるオジサマをサポートする“ヨゴレ対策”

1957年にイタリア・ナポリで創業した、クラシコイタリアを代表するイザイアのネイビースーツ。2Bのスタンダードなシルエットで、パンツも適度なテーパードの効いたクラス感ある仕立て。やや明るめの色みも爽やかな印象を与えてくれる。
イザイアのエクスクルーシブ素材「アクアスパイダー」は、そこに高い機能を備えた逸品だ。

ウール100%と天然の風合いにこだわりながらも、梅雨時季や真夏に安心して着られるよう、高い撥水性と防汚性を実現。これが雨にも汗にも効果てきめん。襟や袖口の黒ずみからも守ってくれる。ナチュラルストレッチも効いているから快適だ。
アクアスキュータムの「ワイト」
都会のオフィス街でリゾート気分を味わうならば

ヴィクトリア女王が避暑地として好んだワイト島。英国の老舗アクアスキュータムのスーツには、その名を冠した「ワイト」生地を使ったシリーズがある。

昨年デビューしたこの「ワイト」は、通気性、防シワ性、ストレッチ性、軽量性、撥水性などの中から複数の機能を備える盛夏対応機能性素材シリーズ。
写真の1着は、防シワ性とストレッチ性を備えており、同ブランドのベーシックラインよりも軽量の専用芯地を使用していることもポイント。
ジー ゼニアの「テック メリノ」
自宅で洗濯できてとことん快適な革新派

100年以上の歴史を持つイタリアの名門。世界中のエグゼクティブを顧客に抱えるエルメネジルド ゼニアが手掛けるジー ゼニアで、伝統と革新が宿った傑作を発見!

ファブリックメーカーとしての起源を持つ名門らしく上質なピュアメリノウールを使いつつも、ジー ゼニアが展開する「テック メリノ」生地は、通気性、速乾性、透湿性、ストレッチ性に優れており、快適な着心地で働く男たちを包んでくれる。

オマケに、こちらのウォッシュ & ゴー スーツはウォッシャブル仕様となっており、付属のメッシュバッグに入れて家庭用洗濯機で洗うこともできる。繰り返し着るとニオイが気になるこの時季の出張もこれさえあれば安心。そろそろ加齢臭が気になるオッサン世代にも心強い。さらに、ウエストの内側にドローコードも装備と、とことん快適にしてくれる存在だ。
ラルディーニの「ストレッチウール」
仕立てのいい一着に加わったパッカブルという価値

体型を美しく見せるパターンに、トレンドを捉えた色と柄。そんな高いデザイン性に定評のあるイタリアのラルディーニ。2018年の春夏シーズンの注目は、このパッカブルスーツである。

トラベルシーンを想定した「イージーウェア」シリーズのパッカブルスーツは、通気性、ストレッチ性を備える機能性生地であるストレッチウールを使用。ウールにポリウレタン2%を混紡した生地は特に防シワに優れているので、収納用の付属ポーチに小さくしまうことができる。仕事だけでなく、旅先の気軽な正装としても活躍してくれそうだ。
ダンヒルの「シルクシアサッカー」
夏素材の代表を天然の機能素材でアップデート!

03-4335-1755
春夏の生地として定番のシアサッカー。
滑らかで光沢のあるシルクを使ったダンヒルのシアサッカースーツは、本来の軽快さにラグジュアリーな雰囲気を加味。パッドを入れたショルダーや持ち出しの長いスラックスなど、クラシックテイストが滲むデザインとともに華やかさを演出してくれる。ちなみに、シルクは抗菌性を備え、汗による臭いを軽減する効果も持つ。
ルックスも着心地も、そして清潔感においても利のある「シルクシアサッカー」は、大人の春夏スーツにおける懐刀といえそうだ。
クールビズの定義や取り入れ方って、業界や企業によってまちまち。でもこうしたあくまで“ちゃんとしたネイビースーツ”なら、涼しい顔をして「ちゃんとした人」と思われること請け合いである。
鈴木泰之=写真 星 光彦=スタイリング 安岡将文=文