日本を代表するヴィンテージショップ「ベルベルジン」の店主・藤原 裕さん。数々の古着を扱ってきたレジェンドだが、最近Tシャツに対する思いに変化が現れたという。
その真相を探るとともに、オーシャンズ世代に着てほしい古着Tをセレクトしてもらった。
古着界の重鎮が懐かしむTシャツ
Tシャツが自己主張のツールになったのは戦後以降で、それまでは下着でしかなかった。ヴィンテージに傾倒してきた藤原裕さんだけに、Tシャツにもより古いものを求めがちだったという。
しかし、ここにきて考え方にちょっと変化が。
「古いTシャツとなるとカレッジものとかミリタリーものが大半で、そのほかは無地ばかり。ヴィンテージとしての価値は高いけど、そうじゃなくてもプリントやデザインが面白い1970~80年代のものもアリだな、と思うようになったんです」。
むしろ、買い付けでアメリカへ行くたび、若年層を中心にその年代のTシャツが高く評価されていることに気付かされたという。
「ここで紹介したのは、僕ら世代が実際に生きてきた時代のもの。いい大人だって古着のTシャツをこんな感じで遊んでもいいんじゃないかって、今は思ってるんです」。

ブレた(ように見える)目と、「WHO’S DRUNK?」のメッセージ。そんな酔っちゃった? なんてユーモアたっぷりに指摘してくる。ボディはフルーツオブザルームで、やはり1980年代のもの。

無地のネイビーのポケットTシャツはJ.Cペニーのストアブランド、タウンクラフトのもの。タイトが主流だった1970年代製のものには珍しく、今のトレンドにもハマる大きめシルエット。

メロコアを語るうえで外せない、グリーン・デイのバンドTシャツ。グランジやオルタナを経て、ここを通ったオーシャンズ世代も多いはず。音楽ネタでもガチっぽくなりすぎない、洒落たアートワーク。

ブラックボディの半身だけをブリーチした、自由すぎる1980年代のTシャツ。アイデア先行の個性派と思いきや、意外とデザインとしても成立している。人気が再燃したタイダイを着る感覚で。

譜面がプリントされたこのTシャツは、1989年製のデッドストックで、LAのヴィンテージディーラーがストックしていたというもの。何の曲かは不明だが、アガるデザインであることに異論はないはず。
ベルベルジン
住所:東京都渋谷区神宮前3-26-11 原宿SHビル 1F
電話番号:03-3401-4666
営業:12:00~20:00(土・日曜、祝日は11:00から) 無休
http://webstore.berberjin.com

藤原 裕(ふじはらゆたか)●1977年生まれ、高知県出身。日本を代表するヴィンテージショップ、ベルベルジンの店主にして、世界レベルのデニムツウ。
※このページに掲載されているTシャツはすべて一点ものになります。お問い合わせしていただいた時点で在庫がない場合がございますのでご了承ください。
清水健吾=写真 菊池陽之介=スタイリング 加瀬友重、髙村将司、いくら直幸、秦 大輔、今野 塁、菊地 亮=文